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峰岸かなめ
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小説
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骨壺と魂
死ネタ・父水。
書きたいところだけざっと書いたので今度前後を書く予定(あくまで予定)です。
君が戻ってきてほしいけど、君の一部は失いたくないと言う話。
水木が死んだ。
朝いつも通り出て行って、帰って来なかった。仕事とやらかと思い我慢していると、数日後小さな箱になって戻ってきた。あんなに温かく納まりの良い体だったと言うのに、なんだかコレは。水木を連れて帰ってきた者曰く、列車に撥ねられたらしい。誰かに背中を押されて、そのまま。そう男は言っていた。気がつけば男は去っており、玄関には己と小さくなってしまった水木。あんなに温かかった体温はもうない。涙は枯れてしまったように出ない。
生前水木は己は地獄行きだと言っていた。今行けば会えるだろう。なんせ地獄は幽霊族にとって庭のようなモノなのだから。水木を抱えたまま地獄へ行けば、水木はここにいないと言う。思わず獄卒の襟元を掴むと、閻魔はペラペラと喋り出した。曰く特例の男だったのだ。曰く地獄には置いておけない男だったのだ。それを聞き愕然とした。あれだけ地獄に落ちると豪語していたと言うのに、何故。閻魔は言葉を続ける。お前たちのおかげであの人間は特例になったのだと。幽霊族の血を浴び過ぎて人の理から外れてしまっただの、諸悪の根源を叩き潰した功績があるだの、幽霊族の幼子を育てた実績があるだの、体内に幽霊族の体液を入れてしまっただの、淡々と言われる。あの男はもう輪廻には戻れぬ。魂も肉も器には十分だから依代になるしか道は無かったのだと。肉は欠けたが魂さえあれば依代なんて簡単に作れる。お前が持ってきたその骨があればより強靭なモノができるだろう。閻魔はにこやかに笑った。巫山戯な。これ以上ワシから水木を奪う気かと問えば、閻魔はたかだか人間一人に何故ムキになるのだと言う。お前たちを滅ぼそうとした人間たちだぞ。それが偶々良い器として利用できるのだ。お前たちを虐げた罰には丁度良かろう。閻魔は真顔で言う。駄目だ。水木の魂も此処から持ち出さねば、水木は永遠に囚われる。まだ四十九日も過ぎていない。それならば閻魔の元にはきていないはずだ。そう考えていると、閻魔が全てを見通したように笑う。あの男の魂はもう既に地獄の底に閉じ込めているわ。お前が骨を持ってくるのを期待していただけで、器としてはほぼできている。仕上げに軸椎を入れてやればより力の強いモノとなるだろう。其れをくれてくれるなら、どの神の依代になるかぐらい教えてやっていい。あれだけ魂をこねくり回したのだ。自力で見つけるのは骨が折れるぞ。それにお前の生きている間に見つけられるとは思えん。閻魔は太々しく笑う。一体水木が何をしたと言うのだ。ただ平穏に暮らしていただけではないか。神の依代だなんて、彼奴の自我は消えて無くなるも同然だ。ただ水木だったモノに、別の何かが入り込むだけ。何故人間たちの業を、たった一人で背負わなければならぬ。依代だなんて、壊れてしまえば輪廻の輪に戻れない。早く壊れる方が水木にとって幸せなのか、永久と呼べるような時を過ごす方が水木にとっての幸せなのか。どちらが良いのか到底分からぬ。
閻魔は最後に一言、こう言った。その骨壺ごと全て渡せば、器に自我が宿るかもしれぬなあ。
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