久しぶりの二人きり。先程まではフレンジーとランブルもいたが、二人きりになるんだからうまくやれよな、という言葉をサンダークラッカーに耳打ちしてどこかへ出掛けてしまった。ジャガーやコンドル達の他のカセットロンは元々偵察任務に出ているようで、今この場に完全にサンダークラッカーは恋人であるサウンドウェーブと二人きりであった。
と言っても、お互いに仕事をしているだけで恋人同士の甘い雰囲気は微塵もなく、会話もない。
特に任務もなく手持ち無沙汰にしていた時にサウンドウェーブから連絡が入り少し期待したものの、案の定仕事を手伝ってくれという呼び出しであった。手伝いと言っても機密情報に関わらない雑務で大きなモニターに向かって仕事をしている後姿を見ることしかできない。
せっかく二人きりになれたというのにこちらを見向きもしないサウンドウェーブにサンダークラッカーは内心溜息を吐いた。
一応なりとも、恋人同士なわけなのだが正式に付き合うようになってからは恋人らしいこと――例えば、キスであったり接続であったり――を全くできていない。フェイスマスク越しにキスをしたことはあるが、それは親愛のものであり性愛などとは程遠いものであった。
そもそもサンダークラッカーはジェットロンであり、一般航空兵であるため、大きな任務の時以外はサウンドウェーブと関わることは少ない。そんな相手とお付き合いをするようになるのには紆余曲折あったのだが、今はその話は置いていく。
ただそのようなことが理由でサンダークラッカー自身、彼にキスや接続をしたいと言い出せていない。正直なところそれも問題なのであるが、忙しそうにしているサウンドウェーブを目にするとなかなか言い出せない。せっかく手に入れることが出来た相手に嫌われるようなことは極力したくない。
まさか自分が本命相手になると消極的になるなど思いもしていなかった。たまに好きなのは自分だけじゃないのかという考えが頭を過ぎることもあるが、お前のことが好きだとエフェクトのかかっていない切羽詰まった声で告げてきたのはサウンドウェーブの方であるためそのようなことはないとは思いたい。
「サンダークラッカー」
「え、あっ、なんだ?」
「何故ソンナ渋イ顔ヲシテイル? ソレニ手ガ止マッテイルゾ」
「あー、すいません……。大したことないんで、気にしないでください」
「別ニ、謝ラナクテモ良イノダガ。変ナ奴ダ」
あー、せめてキスだけでもできたらなぁ、と考えていると声を掛けられて、話し掛けられるとは思っていなかったため驚いてしまう。考え事をしていたせいで、いつの間にか手が止まっていたらしい。振り向いてこちらを見ているサウンドウェーブにもしかしてブレインスキャンされて邪なことを考えていたことがバレてしまったのだろうかと内心ヒヤヒヤしたが、変な奴だとすぐに興味を失ったように自分の仕事に戻っていくサウンドウェーブに内心ホッとする。
そして、再び作業に戻ろうとすると、サウンドウェーブが「ソウイエバ」とこちらを再び見てきた。やっぱりブレインスキャンされて邪な考えがバレたのだろうかと身を固くする。
「――俺タチは接続をシナイノカ?」
「はい……?」
しかし、聞こえてきたのは思いも寄らない言葉だった。ついに欲求不満で幻聴が聞こえるようになってしまったのだろうか。仕事中に聞くことがないはずの“接続”という言葉にサンダークラッカーは思わず聞き返してしまう。しかし、それはサウンドウェーブには否定の返事に聞こえてしまったらしい。
「イヤ、オマエガシタクナイノナラソレデ良イ」
「いや、そんなわけないって! アンタがしても良いってのなら俺としても有り難いっていうかなんというか」
サウンドウェーブは僅かに声を落として再び仕事へと戻っていこうとするので、慌てて接続をしたくないわけではないと訂正する。すると、「ソウカ……」と少しホッとしたような声色で呟くので、まるで仕事の話かのように話してきたのは照れ隠しだったのかと察して、頬が緩む。相変わらず可愛い人だなと無性に抱き締めたい欲求にかられるが、それを我慢してサンダークラッカーはサウンドウェーブに誘いをかけることにした。
「なぁ、今日これが終わったら暇ですか?」
「……あ、アァ」
「じゃあ、アンタの部屋行きますね」
暗にこの後接続したいという意を込めてそう言えばサウンドウェーブは小さく頷いた。
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2011.12に書いていたリメイク作品
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