17歳。ミコッテ族。黒衣森出身。
光の戦士であり英雄。解放者。闇の戦士。同時に、白魔法の継承者でもある。
若くして少女は冒険者を志し、グリダニアの冒険者ギルドの門を叩いた。
とはいえ、黒衣森の集落から遠く離れることもなく育ったエリンは、冒険者どころか外を旅する者としても駆け出しであった。
幸い、ムーンキーパー族の先輩冒険者『ナギ・ミュリラー』に声をかけられ、まずは勧められるままに彼女は幻術士ギルドの門を叩いた。
やがて、エ・スミ・ヤンとシルフィと共に幻術の修行を進めていく一方で、グリダニアの人々からの依頼をこなしていくことで、エリンは一人前の冒険者の片鱗を覗かせるようになった。
その後、彼女がいかにして英雄となり解放者になったかについては、『暁の血盟』を代表とした、彼女の冒険に関わった者たちの言葉に委ねよう。
温厚な性格で、争いを好まない。一方で、必要とあれば誰かを傷つけることを厭わない一面も持つ。
癒しの魔法を得意としており、戦場でも杖を振るい、傷ついた者を癒やしている姿がよく目撃されている。一方で、剣や弓、槍の扱いは不得手。
昨今は『英雄』としての通り名が広く知れ渡っているが、本人はその称号に反しては苦笑いを見せている場面が多い。
暁の血盟の面々と共にいるときは、最年少に近い年頃のために、妹のような扱いを受けているようだ。
***
グ・エリンはその名前の通り、ミコッテ族の中でもサンシーカー族に属する。
エリンが師匠である老婆から聞いた話によると、彼女の名でもある『グ』の氏族は、本来はエオルゼアから遠く離れた土地で、古い時代から受け継がれている遺産を護るための氏族だったようだ。一説には、それはアラグ帝国にまつわるものとも言われている。
だが、いつ終わるともしれない守護の任務に堪えかねた一部の者たちが、エオルゼアへと居を移した。彼らは主にアラミゴ周辺を自身の縄張りとして、慎ましやかに生活をしていた。その生活は、永劫続くかのように思われた。
しかし、ガレマール帝国のアラミゴ侵攻が、グ氏族のささやかな平安を破壊した。氏族の者の一部は帝国の侵攻に逆らおうとしたが、無事に生きて戻ってきた者は一人もいなかった。
同胞の死を悲しんだ、氏族の長であるヌン
――エリンの父親は、氏族全員を束ねて、現在の縄張りを捨てる決断をした。当時、エリンはまだ生まれてすらいなかったが、その命は既に自身の母に宿っていた。
彼らは流浪の末に、黒衣森へと流れ着いた。だが、本来ならば黒衣森に住み着く精霊たちが、彼らを阻む壁となるはずだった。精霊たちは、よそ者の移住をそうそう簡単に許しはしない存在だからだ。
そこで、かつて幻術士として冒険者の名をあげていた女性
――後にエリンの師匠となるグ・シャタが精霊たちの交渉役を買って出た。結果、彼らは小さな集落を得ることに成功したのだった。
決死の引っ越しの後、無事にこの世に生まれ出たエリンは、姉と母の愛を一身に受けてすくすくと育った。
しかし、悲しいかな、エリンはミコッテ族なら当然持っているべき狩猟のセンスというものに欠けていた。一方で、彼女は精霊の声を聞く才に長けていた。
その才能にいち早く気がついたグ・シャタは、エリンを幻術士として鍛えた。エーテルを操る才能に長けていた彼女は、時に失敗を重ねつつも、着実に成長の萌芽を見せていた。
エリンの転換点となったのは、第七霊災が起きた5年前に起きた、とある事件だ。
霊災直前に、エオルゼア各地で勃発していた帝国兵の進軍により、エリンの周辺でも不穏な空気が漂い始めていた。
そんな中、エリンは依頼主を殺害した冒険者崩れのならず者に出くわしてしまう。そうとは知らずに、エリンは負傷していたならず者を救助していたが、ふとしたことから彼が殺人犯であると気がついてしまう。
己の悪事を知られたならず者の手により、あわや殺されるかと思ったときにエリンを助けたのは、長らくエリンを厳しくも優しく導いていた実姉のカラだった。
しかし、その姉すらも、抵抗むなしくならず者に手にかかろうとしていた。そのとき、咄嗟にエリンは自身が習得していた幻術でならず者を殺害した。
誰かを助けるために学んだ魔法で、人を殺めた。その事件は、当時まだ12歳の少女の心に深い傷を残した。
しかし、師匠に導かれ、諭され、彼女はその傷を『失った命を背負う』という形で昇華した。
だからこそ、というべきか。エリンは第七霊災の5年後に、ある冒険者の任務を手伝ったのを切っ掛けに、誰かを助けるために力を使いたいと望むようになる。
姉と両親の後押しも受けた彼女は、ある晴れた日の早朝に集落を旅立つ。その先にどんな未来が待ち受けているのかも知らずに。
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