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水晶氷山
2024-06-09 21:33:09
1460文字
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おやさい鬼9先生作品
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最愛で最後のキミに(マコ最?)
べんち男性陣彼女事情公式ツイからの妄想SSです
漫画版井上真さんが最後の彼女さんのことを思い出して落ち込んじゃう話
こちらの二次小説は2024年6月9日時点で判明している情報を基に書かれたものです
※追記(2024/11/3)
2024年11月3日時点で判明している情報を基に、内容が変わらない範囲で一部を修正いたしました
気が付くと僕の目の前にはあの子が立っていた。
僕の最愛の
女性
ひと
。
幸せにしたかった彼女が、結ばれたかった彼女が、当然のように息をしてそこにいてくれた。
彼女は僕に微笑みかけて名前を呼んでくれる。あの頃と同じように、いつもそうしてくれていたように。
僕はそれに何の言葉も返せないでいた。
……
これはきっと夢だ。
起きている時よりいやに冴えた頭でそう思った。
だってあの子はもうこの世界のどこにもいないんだから。それでも会えるのならここは夢の中なんだろう。
それに僕も、本当ならとっくにあの子の言葉に応えられるような頭じゃない。
僕の心の声を知ってか知らずか、夢の中のあの子は僕に手を差し伸べている。
記憶の中と同じ笑顔を向けて、同じ声で同じように僕の、井上真の名前を呼ぶ。
変わらないその姿に酷く泣きたくなった。
―――
ごめんね。
―――
ボクにはもうキミに合わせる顔がない。
いつのまにか手の中にあった銃、その銃口を己のこめかみに押し当てて引き金を引いた。
「
……
」
悲しい夢から目を覚ます。
昔のボクに戻れた夢だった。どうせもう元には戻れないのにこんな夢を見るなんてとても悲しいね。
でも悲しい理由はそれだけじゃなくて。
「久しぶりに会えたなぁ」
……
夢の中であの子に会ったからこんなに悲しい気持ちになってるんだろうな。
こんな頭じゃもう顔も名前も声もうまく思い出せないけど、思い出せないだけでそれでもボクの記憶の中に確かにいる子。
ハナちゃんに出会うよりずっと昔に大好きだったあの子。今の一番はハナちゃんだけど、それでもボクにとって大切なのは変わらない。
骨と灰になっちゃってもう会えないあの子。きっとボクの命が終わっても同じ場所には行けない。ボクはそれだけのことをしてしまった。
もう思い出の中でしか
……
ううん、たぶん思い出の中ですら会えない。現に夢の中ではあんなにはっきりと思い出せていたはずなのに、起きた途端にボクの頭はあの子のことを忘れていってる。それは夢だからとか、ずっと昔にお別れしちゃったからだとかそんな理由だけじゃない。
「大好きだったのになぁ」
……
あの子のこと、忘れたくなかったな。
確かに大好きだったんだ。それこそそれまで出会った誰よりも。なのに忘れちゃうなんて酷いじゃないか。きっとあの子を悲しませてしまう。こんなバカなボクじゃあの子に合わせる顔がない。
……
たとえ記憶の断片に過ぎないとしても、彼女を思い出したくなかった。
彼女の愛してくれた井上真はもうどこにもいない。道を踏み外したその果てでチーズのように蕩かされてぐちゃぐちゃになってしまった。今の自分が彼女を思い出してはいけない。きっとそれだけで彼女との思い出を穢してしまう。何よりこんなナリでは彼女に合わせる顔がない。
もう会えないことが、忘れてしまったことが、忘れられないことが、全部がとても悲しくて仕方なくて。
「
……
なんでもないよ、ハナちゃん
……
大丈夫、大丈夫」
そんな
ボク
自分
を慰めるように、
ハナちゃんが
傍らの造花を
そっと優しく
抱き締めてくれた
抱き締めた
。
……
早くいつもの元気いっぱいなブラットリーにならなくちゃ。今日も青空の下でいっぱい遊んでいっぱい笑っていなくちゃ。
あの子のこともきっと遊んでるうちに全部忘れてるよ。寂しいけどきっとそれでいいんだ、それがいいんだ。
どのみち今のボクにはキミに合わせる顔がないんだから。
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