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mikagami3
2019-02-09 22:40:17
1896文字
Public
エスコン7 空引
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秘めたるは仄暗い蒼
空守事変の勢いに任せて書きました。ヤンデレなスカイキーパーです。自慰行為を行っているため注意。
空守→→→引金
「これでいいのか?」
「ああ。無理を言って、すまない」
同僚に軽く頭を下げる。周囲に軽く目を配り警戒しながら、彼はそっと耳打ちした。
「俺のことはどうでもいい
…
お前、どうして彼のことを知りたがるんだ?」
「実のところ、疑っているんだ。彼はとても
……
真面目で、有能だ。そんな彼が、まかり間違ってもあの局面でしくじるとは
……
今になって、有り得ないのではないかと思っているんだ」
声を潜めて神妙な顔で答えれば、同僚も小さく頷いた。
その頷きが同意を示すのか、はたまた私を慮ってのことなのかは分からない。
もし同意なら、まったく虫唾が走るところだ。
私は柔らかく微笑んで、他の書類の束の中に受け取った封筒を隠した。
「そいつは、極秘情報
…
とまではいかないが、時勢が時勢だ。気をつけろよ」
「ありがとう。気を付ける」
完全な善意からの忠告を有難く受け取り、私は同僚と別れた。
心はすでに此処になく、上の空で、浮足立ちそうな私を、その封筒は押さえつけてくれていた。
その後、残っていた業務を終え、私は定時で自室に引き上げた。
内鍵とチェーンをかけ、やりすぎかとは思ったが簡易装置で盗聴器の有無を調べる。
特に異常は見当たらない。
制服を投げ捨て、顔を洗う。
2,3度冷水で濯ぎ、タオルで水気を拭って鏡を見る。
そこに映るのは、笑みが滲む中々のハンサムだ。
我ながら人のよさそうな顔だと思う。
彼も、ぎこちない誉め言葉をくれたほどだ。口数の少ない彼が。
「ふっ
……
ふふっ
……
」
彼を思うと、笑いが止められない。
私は金の髪をかき上げ、デスクに座った。
受け取った封筒の眺め、光に透かし、そして指を差し込んだ。
入っていたのは一枚の簡素なレポートと、写真。
彼の写真だ。
彼の機体の前を横切ろうとしている、あの日と変わらない精悍な顔。
「くっくっ
……
ああ、トリガー。愛しい君。元気だったかい?」
私は笑いが止められない。
やや垂れ目の、しかし真っ直ぐな強い瞳。
しかし写真の彼は、少しやつれているように見える。
それでも、とても美しい。
「ああ
……
なんて可愛いんだろう
……
」
写真の彼に口付ける。
何度も。
何度も。
何度も。
ハッと気づいて確認する。良かった。ふやけてはいない。
私は締まらない顔のまま、レポートを読む。
彼は大罪人となってしまったがゆえ、その情報は秘匿されるようになってしまった。
同僚が手を回して得た情報は、彼が軍刑務所ではなく懲罰部隊にいることを教えてくれた。
そして、まだ飛んでいることも。
その懲罰部隊の中で、随一の戦果を挙げていることも。
三本線と揶揄されながらも、前を向いている君の姿が浮かぶようなレポートだ。
「君は空が好きだったな。ああ。知っているとも。上手に飛ぶ君の姿は、昔から知っている。だから、君を選んだんだよ。トリガー。救出作戦の嚆矢として。あの作戦の引金として選ばれたんだ。素晴らしい。素晴らしいよトリガー」
彼の後ろに映る機体に視線を移す。
彼が好んだのはF-15Cだったが、どうやらあちらでも同系統の機体を得られたようだ。
そういえば、最初に見たのがイーグルだとか言っていたか?憧れだとか。
可愛い。
可愛い人だ。
私は高揚した。興奮が抑えきれず、シャツのボタンを二つ開けた。
そっと、手を伸ばす。
機体の尾翼に描かれた、白い三本の線を指で、ゆぅっくりとなぞった。
「トリガー。ああ、私がつけた傷。私だけの、君。その傷がある限り私のものだ。誰のものでもない、私の。誰よりも最初につけた徴なのだから」
指先からぞくぞくと震える。
悦楽にも似たその震えは、甘く痺れて脳を満たす。
無意識に、下腹部に手を伸ばしていた。
「トリガー
……
トリガー、トリガー、トリガー。私の可愛い子犬。どんな思いでいる?その青く美しい目で、何を見ているんだ?私のことを、まだ少しでも覚えているかい?」
最後に見たのは、絶望に塗りつぶされた暗く澱んだ青い瞳。
あの時の私は、唇を噛み締めるしかなかった。
そうしなければ、あの厳粛な場で、不釣り合いな笑みを浮かべてしまうところだった。 手の動きが早まる。
止まらない。
彼の、罪悪感に潰されそうな顔が忘れられない。
君は、私をまだ信じているだろうか。
だとしたら、だとしたら。
「愛している。愛しているよトリガー
……
っ」
君を腕に抱く夢想をしながら、私は恍惚とした甘美に身を任せた。
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