mikagami3
2018-11-11 22:16:10
821文字
Public エスコン04 スカメビ
 

「今日はポッキーの日らしいよ?」

うちのスカメビでポッキーゲーム。全年齢向けバージョンBL短文

ぽりぽり
ぽりぽり
かりかり

「掃除機を見てる気分だなぁ」
「そう?」
食堂のとある席の、同僚の目の前でメビウスがひたすら菓子を食べている。
どこかの問屋から箱買いでもしたのか、手に持っているポッキーの箱のほかにも色々詰まれている。
プリッツだのフランだのトッポだの、複数ある箱のそれぞれは、フレーバーが全て違うのだから恐れ入る。

「うまいか?」
「うん」

一言。心ここにあらずという声音で返事をして、そのまま食べ続ける。
それ以外の動作はほぼ無く、小気味よい咀嚼音だけが聞こえる。
あまりにも滑らかに口に吸いこまれていくので、同僚は先ほどの言葉を思わずつぶやいたのだった。
視線は、窓の外。遥か彼方の青空へ。

「俺そろそろ行くわ。お前は菓子はほどほどにしろよ」
「これ食べたら行くよ」
……この箱全部か?」
「うん」
「ほどほどって意味をお前は考えたほうがいいぞ。じゃーな」

立ち去る同僚の背中を目でしばらく追ったあと、また窓へと視線を戻した。

ぽりぽり
ぽりぽり
ぽりぽり

「メビウス」
「ん」

一袋食べ終わったところで、酷く優しく声をかけられた。
メビウスは袋を開けようとしていた手を止め、微笑んで声の主を出迎えた。

「スカイアイ」
「また、たくさん食べてるな」
「そうかな?」
「私ではそんなに食べられないよ。ひと箱でも多いくらいだ」
「えぇ? 困ったなぁ」

首を傾げるスカイアイを余所に、メビウスは新しく袋を開けた。
唇に一本だけ銜えて、スカイアイに向き直る。

「これ、いらない?」
……いただこうか」

入口側に背を向けるように座り、スカイアイは差し出されたポッキーの先を口に含んだ。


……俺らもいるんだけど」
「しっ!気づかれるぞ。今すぐここから逃げるんだ」

チョコレートよりも甘い空気にこれ以上当てられまいと、食堂から一人また一人と人影が姿を消していった。
遊戯の結果は誰も知らない。