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takeruoreda
2022-03-12 20:17:59
1273文字
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私の愛はあなたの愛より深い
花をめぐってのヘンプリ夏海ちゃんと葉月さん
*ネタバレや捏造あり。いろんなルートがごちゃ混ぜです。原作よりもちょっと人のことが信じられている葉月さん。
*捏造箇所以外は原作に忠実にと努めましたが、明らかに矛盾する記述があった場合教えていただけたら幸いです……!
https://odaibako.net/u/oredayotakeru
「入ってもいいわよ」
「え」
夏海は、葉月に言われたことが一瞬理解できなかった。今日も看守長である彼女に呼び出され、またどこかに連れていくよう指示されるのだろうと思っていたのだ。それがどういうことだろう。以前同じように部屋の前まで呼び出された際、何度中に入れてほしいと頼んでも拒まれたはずだ。自分の空間に他人を招き入れるのが嫌いだとも聞いている。自分の耳がおかしくなってしまったのではないか、と夏海は疑った。
「夏海? 聞いているの?」
「は、はい! 聞こえておりました。もちろん入りたいです、入れてください」
葉月さんの部屋に入れる
——
今まさに起ころうとしている事実で夏海は胸がいっぱいになる。
案内された葉月の部屋は、夏海にとって難しそうな書籍以外に目立ったものは特に何もなく、ひどくこざっぱりとしていた。テーブルの上には花が生けてあり、これは日本庭園で葉月が育てているものだ。以前庭園までの移動を手伝った際に花を何本か切って持って帰ったのを覚えている。
「あら、その花が気になるの?」
夏海の分まで飲み物を用意してくれた葉月が気がつく。その飲み物を受け取り、一口飲んでから夏海は喋った。
「この前持ってきたお花ですよね。葉月さんに似合いますね」
「
……
何の花か分かって言っている、なんてことないわよね?」
「いいえ。何の花なんですか」
小さくため息をついた葉月は、この紫色の花がエゾギク、別名をアスターだと説明した。
「今が盛りで一番綺麗だから持ってきたのだけど。
……
そうね、夏海にも分けてあげるわ」
花瓶に四本生けてあった花のうち二本を抜き取り、もう一つ別の花瓶に生けたものを夏海は受け取る。
それから退室するまでの間、葉月が自分から話し出すことはなかったが、夏海がする質問やふった話題には反応してくれた。葉月と少し距離が縮まった気がして夏海は嬉しく思った。
——
これからどんなことが待ち受けているかも知らずに。
☆
「葉月さん、今日もお見舞いに来ました。今回はお花を持ってきましたよ」
痛手を負い、入院した葉月を夏海は毎日見舞いに来ている。めっきり口数が少なくなってしまったその労しい姿に夏海の胸は傷んだ。けれども、そんな時こそ自分が愛する葉月のそばにいなくては
——
すべては葉月のためにと行動していた。
「その花
……
」
珍しく葉月が口を開いた。
「やっぱり葉月さんなら気づいてくれると思いました。『あの時の』お花です」
夏海が持参したのは、紫色のエゾギクの花束だった。「今生けますね」と同じく持ってきた花瓶に手際よく生けていく。
「葉月さん。今の私にはこのお花の意味が分かりますよ」
「
……
!」
ことり、と花瓶をサイドテーブルに置く。
「元気になったら、また日本庭園でお花の世話をしましょうね。私にもやり方を教えてください。頑張って覚えますから」
「
…………
ありがとう」
葉月が消え入りそうな声で感謝してくれたのが聞こえた。それに返事をする代わりに、夏海は葉月の両手を柔らかく包み込んだ。
了
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