じいっとこちらを見つめるアメジストを覗き込み、「好きだよ」と胸のうちを晒した。正直に伝えるつもりなんて欠片もなかった、ほんとうは。けれど、じぶんでも気付かぬうちに膨れ上がっていた感情は呆気なくくちびるから零れ、彼の前に差し出された。「……嬉しいです、レン」そう言う彼は、当たり前のような顔でオレの好意を受け取ってしまう。――可哀想なイッチー。きっともう、なにがあっても手放してあげられない。愛しい彼を腕のなかに閉じ込め、ちゅ、と小鳥が啄むようなフレンチキスを送る。恥ずかしそうに目を伏せるイッチーが、かわいくて、いじらしくて、たまらない気持ちになった。ふたたび薄い皮膚をくっつけて、今度はもうすこし長く余韻の残るキスをプレゼントする。お世辞にも恋愛経験豊富なおとこには見えないけれど、それなら焦らずゆっくりと、彼に合わせたふたりらしい恋を進めていけば良い。だから、すくなくともこの場において、これ以上の展開をオレはひとつも期待していなかったのだ。――それなのに。薄くひらいたくちびるの隙間から熱い舌が差し込まれる。誰のものかなんて考えるまでもないことだ。先程まで初心な反応を見せていたはずの愛しい彼は、オレの首に両腕をまわし、溺れるような重たいキスをくりかえす。そうして濡れた余韻とともに、彼のくちびるが美しい弧をえがくのだった。やっと手に入れた、と。
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