苗木様
2024-06-02 20:08:13
1033文字
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ストーリー1

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ストーリー_1

「ん"……、あ?」

 背中の硬い感触に、深く闇に落ちていた意識が頭に舞い戻る。顔に円形の革の感触を感じ、目覚めたばかりのろくに動かん腕でそれをどかせば、目の前にはさっきと変わらない暗闇が広がった。不思議に思って起き上がると、顔になんだか湿った感触があり、気持ち悪くて頭を振った。今のは小さな花びらだったようだ。
 花もないのになんで花びらが

「にしてもんだここは。暗いな」

 ふと、顔に乗っていたものを掴んでいる左手を見る。影がかかっている訳でもない。ハッキリと見える黒い革製の帽子。高そうだ。持ったままなのもなんだし、被っておこう。

黒いだけか?」

 なんともハッキリしない状況に少し苛つく。なんなんだ
とりあえず、ここがどこか知るために歩いてみることにした。

 1歩、2歩と足場を確かめるようにして歩く。石橋を叩いて渡っているような気分だ。周りは依然として静寂なままであり、聞こえるのは自分の足音だけである。この帽子と言い靴と言い、どこからの光か知らないが、キラリと光が反射する高そうなものだ。買った覚えも身につけた記憶もない。だが、妙に身に馴染んでいる。

 しばらく歩いていると、頭上からひらりと薄い何かが落ちてくるのが見えた。これは花びら?

『やあ!目が覚めたんだね?』
「うあッ!喋った!!いや、んなもんどうでもいい!!ここ何処だよ!てか誰だてめぇ!」
『はは、ここがどこかわからないんだ。かわいそうに

 どっから聞こえているのかわからない声が、こちらに同情する。本当にこの花びらが話をしているのだろうか?もう既に訳の分からないお手上げな状況だった自分は、この花びらが喋っていることに納得しているような気がする。
 困惑して何も言えない自分をよそに、この花びらは話続ける。

『ココは世界の挟間、外、空白、記憶……まあそんなハッキリと定義されてはいないのさ。』

答えになっていないぞ、と悪態をつくが花びらは気にしてもいないのか笑いも怒鳴りもしなかった。かわりに

『そんな世界でキミはココで1人、ぽつんと。
 寂しくないかい?あるいは、恐くて震えてしまうかい?
 ああ寒気で震えていることにしておいてもいいよ』

と、こちらを煽っているのか心配しているのかよく分からないような返しをされた。あんまり反抗するのもお後が宜しくないだろうと眉間に皺を寄せながら口を慎んだ。