はるれに
2024-06-01 23:20:33
656文字
Public #SS(1〜30)
 

爪の跡


 喉の渇きで目が覚めた。
 気怠く、首だけサイドテーブルの方に向けると背中が見えた。青い長髪の合間から幾筋も赤い跡が浮き出ている。
 視線に気付いたのかベッドに腰掛けていたキャスターが振り向いた。煙草をくわえている。
「おう、起きたか」
 伸びてきた手がプロトの頭を撫で耳の後ろを伝い、喉元で止まる。撫でるように指を動かされ、抱かれた際にそこを強く押されたことを思い出す。
「キャスター」
「ん」
 去った腕がグラスを持って戻って来る。のそりと起き上がり、礼を言って受け取った。
 冷えた水で潤うと幾分頭がはっきりしてくる。

――それ、消しとけよ」
 言われて喉に手をやった。自分では見えないがキャスターにやられたように自身の指を合わせてみる。高揚はなく、少しの熱はきっとキャスターのものではなく、ただの温度だ。
「服着てりゃ見えねぇよ」
「そういう問題じゃねぇ」
「お前がやったくせに」
「やってほしそうにしてたのはお前さね」
……
 図星だ。だって気持ちいい。キャスターだってヨかったくせに。過ぎてしまえば、危ないし苦しいから止めようなどと建設的なことを考えるくらいはできるものの、実際口にすることはない。
「はぁ……、変なこと覚えさせちまったな」
 頭を搔いてキャスターはぼやく。さらさらと髪が揺れた。
「キャスターの背中の傷消してくれたら」
「やだ、これはオレの」

















タイトルはお題配布サイト( https://nanos.jp/iwantfly/ )より