「今日は抱いてみるか?」
唐突に問われる。
会話の意味するところを理解する前に、プロトの胸ぐらを掴んだキャスターが後方に倒れ込んだ。咄嗟に彼の両側に手を付いて顔面衝突を免れる。
「は?」
体位で分からされて声が上擦った。
プロトがベッドに押し倒した格好になったキャスターは、にやけた顔で見上げてくる。
「いや、お前もオレなら抱きたいんじゃねぇかってな」
オレは構わねぇぜ、とキャスターは膝頭でプロトの股間を擦る。
「っ」
プロトはシーツの上で拳を握りしめた。
男なら相手を抱きたくなるのは当然の欲求だ。いつもキャスターの強引さに押し切られて抱かれる側に甘んじているがプロトは元々抱く側である。挿れられることに未だ抵抗があるし、内臓を押し上げられる感触には慣れない。キャスターのやり方の上手い下手の問題ではなく、男に組み伏せられることに対して反射的に抗いたくなるのだ。
だが。
「
……いい」
「あ?」
「
……アンタが抱けばいいだろ」
「オレは抱きたくないってか」
キャスターが駄々をこねるような口調で返してきた。
「オレが、アンタに抱かれたいんだよ」
怒気を込めて言い返す。
キャスターは目を丸くして瞬きをした。
それからにやりと口端を吊り上げて「だよなぁ」と可笑しそうに言い、両腕を伸ばして抱きついてきた。
「オレに抱かれたいか、そうかそうか、プロトは可愛いな〜」
「キャスっ」
「ま、オレが抱くに決まってるがそんなに素直に言ってくれるとはなぁ」
「はぁ? んっ」
わざとかコイツ。
怒りの台詞は舌で絡め取られた。またキャスターの思う壺だ。クソッ、キス上手いな。オレだから当然だが。
了
タイトルはお題配布サイト(
https://nanos.jp/iwantfly/ )より