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akmtakr
2023-08-18 17:58:12
2704文字
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蕚
※ちょっと痛そうな描写が有ります。
ガーデンバース号福(花食み号×花生み福)ブートニエール成立済みです。横文字に違和感があったので作中では和名呼称の「花結」を使用しています。詳しい設定はこちらから【
https://www.pixiv.net/artworks/88636558】
TLで素晴らしい庭バ号福の作品を拝見し、わたしも書く!!!!という勢いで書きました。とにかく甘くしようと思って書いたけど大体いつもこんな感じで自分でびっくりした(……)すけべは暗転な感じです。号ちゃん視点。特に込み入った設定は考えていません!!番の号福かわいい~~~~!!!というノリとテンションで読み流して頂けたら幸いです!!!ガーデンバース号福もっと増えてくれ……!!!!
「号ちゃん」
微睡む意識の上から、甘く柔らかな声が降る。
薄っすら目をひらくと、穏やかな陽向のひかりの中で朱の瞳がオレの顔を覗き込んでいた。
日光浴がしたいと言うから、オレも付き合って縁側に転がっていたんだったか。心地良さそうに伸びをする満足気な顔を肴に盃の酒を舐めていたのは覚えているが、いつの間にやら眠っちまっていたらしい。
「おー
……
どうした、光忠
……
」
大きく欠伸をしたあと、寝起きの間延びした声で名を呼ぶと、福島光忠は僅かにほっとした色を浮かべる。ふわりと鼻を擽った甘い匂いに、伝えたいことなら直ぐに察した。
「花が咲くよ」
みて。そう言って光忠は、普段俺の前でも滅多に外すことのない手袋を躊躇いもせずにするりと外す。
指先まで巡る絡みつく茨のような火傷の痕。その人差し指の爪が、みしりみしりと小さく軋む音を立てながらゆっくりと綻んでいた。
───花生みである光忠の花は、そこに咲く。
爪の先が蕾のように開く苦痛を思うとつい顔を顰めちまいそうになるが、光忠はそれを望んじゃいない。
花食みのオレが今してやれるのは、素早く身を起こしてその肩を強く抱いて支えることと、かたちの良い爪を蕚代わりに白く大きな花がその指の先に花開いていく様を共に見守ってやることくらいだ。ゆるく波うつような白い八重の花弁がするすると開く度、強張る肩を落ち着けるように撫で擦る。
せめて他の場所からなら痛みも少ないんだろうが、花生み自身が花を生むことに関して自ら選べることは、あまりに少ない。爪を内側から剥がされるなんてまるで拷問のような痛みを花を生むたびに味わい続ける光忠は、しかし、昔よりもずっと楽になったと嬉しそうに微笑んでみせる。
その度にオレは、この花生みと花を結んで良かったと腹の底から思った。花食みと結ばれた花生みは、花を生む苦痛が幾らか和らぐもの、らしい。愛されていると実感できれば尚のこと良いんだとか。じっとりと汗で濡れた顬にくちづけ、くせ毛の髪に指を通して頭を優しく抱き寄せると、引き攣るように詰められていた息が次第に普段のゆるやかな呼吸に戻っていった。───本当に、オレとこうなる前は一体どれ程の痛みに耐えていたんだか。
「
………
っ、」
身体中を大きくぶるりと震わせた光忠の、指先の花が最後に一際大きく開く。
見事な大輪の花を咲かせ終えた身体はそのままふっと脱力して、オレはその背中を後ろから抱き込む形で支えた。
「おつかれさん」
「うん、
……
ありがとう号ちゃん」
ほっと息を吐き、光忠は自分の指に咲く花に愛おしそうな視線を向けた。光忠が咲かせる花は気分によって様々に変わるが、この柔らかい輪郭の白い花びらを纏った花をオレは、その中でも随分と気に入っている。繊細な印象が光忠らしく、細く綺麗な指によく似合っていた。
「今日は白いアザレアか。なかなか大きな花を付けたねえ
……
でも、いいね、とても綺麗に咲いてる」
花は、咲く前よりも遥かに強く甘い匂いを漂わせて、オレははっきりと空腹を自覚する。
「
……
光忠」
「せっかくこんなに綺麗に咲いたんだ、アレンジしてあげられたらいいのになあ。アザレアに合う花は、そうだな
……
勿忘草とか、いいかもしれないね」
「おい、光忠」
「ああ待ってよ号ちゃん、せめて指にリボンを結ばせて?」
「みーつーたーだーァ
……
」
溢れる唾液を何度も飲み下しながら、額を首筋に擦り付けた。喉の乾きを強く感じて低く唸ると、光忠は楽し気に声をあげて笑う。
「ごめんごめん。───いいよ、どうぞ召し上がれ」
てのひらごと目の前に差し出された、指先に咲く花。ごくりと喉が大きく鳴った。
いくら花をアレンジして贈るのが好きでも、これはこのままが一番良い。指を絡めて手を繋ぎ、花を付けた人差指に巻き付く茨の傷痕にくちづけてから、口を開けた。
一口で頬張ると、咥内に独特の甘みが広がる。唇で挟んで軽く引っ張り、蕚の爪を残して花は全てオレの口の中に摘み取った。皮膚から毟り取った瞬間悩まし気な吐息が耳元を擽って、口の中に広がる旨味がじわりと増す。匂いも、味も、何もかもがオレ好みだ。そういうもんだ、花生みの花は、花を結んだ花食みの為だけに咲く。
抱えた身体を強く抱き締め、髪に鼻を埋めながら柔らかな花弁を噛み締める。
この味を知ってから、酒も大して良いものとは思わなくなった。口寂しさを誤魔化す為に口にしてるようなもんだ。快楽さえ感じる味を目を閉じて存分に愉しみ、名残惜しく思いながら飲み込んだ。深く息を吐きながら暫くの間、口の中の余韻を味わう。
……
目を開くと、光忠は手慣れた仕草で器用に爪と指先を包帯で固定していた。オレが食事を終えたことに気づき、少しだけ照れ臭そうな顔で微笑む。
「おいしかった?」
「ああ、美味かった。お前の花は何でも美味いがよ、今日の花は特にオレ好みだ。何つったか
……
」
「アザレア、だよ。よかった、あの花は俺の気持ちそのままの花だから───嬉しいよ。号ちゃんが気に入ってくれて」
「どういう意味だよ」
「ふふ。内緒」
「
……
へえ?」
どうせまたお得意の花言葉だろうが、まあ、悪くない。自分で調べるのは簡単だが、こいつがこんなふうに緩みきった顔で言葉を濁した時には、あとでしっかり聞き出してやると決めている。
花食みの食事が済んだら、今度は花生みの番だ。
「
……
なあ、号ちゃん」
オレの胸に凭れた光忠が、たっぷりと甘えを含んだ甘く響く声で囁いた。
「俺にもおいしいの、くれるんだろ
……
?」
花食みが花生みの花を求めるように、花生みが求めるのは、花食みの体液。
飢えと欲情が綯い交ぜになった焔色がオレをうっとりと見上げている。指の腹で物欲しそうなくちびるをなぞると、掠れた鼻声が小さく喘いだ。上下する控えめな喉仏。淡くいろづく目元の薄い皮膚。どこもかしこも美味そうで、唾液が再び口の中を満たす。
「ああ、好きなだけくれてやるぜ?
……
ほら、あーんしろ。あーん」
顎を持ち上げる。そっと目を細めた光忠は、オレの言葉通り従順に口を開く。白い歯の内側で真っ赤な舌が艶めかしく動く様に目が奪われた。
誘われるままに唇を合わせてしまえば、もう。布団へ移動する余裕なんて欠片も残っちゃいない。
オレの為に痛みに耐えて花を咲かせるいじらしい花生みが望む通りたっぷりと満たしてやるために、熟れた果実のようなその極上の身体を陽向の畳に組み敷いた。
〖 白いアザレアの花言葉
/ あなたに愛されて幸せ 〗
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