「記憶障害!?」
バンドウのひときわ大きな声が、医療班・施設内廊下に響き渡る
…
それを真正面から浴びたのは、医療班とのやりとりを終え、バンドウに診察結果を告げたブラインだった。
「そうだったのか
…何に関する記憶が欠落しているのか、聞いても大丈夫か?」
彼の問いに対して、ブラインは俯きながら言葉を返す。
「僕自身が何をしてたか、どう育ってきたかは覚えています
…ですが。
家族の顔と、僕がセピアに来るまでの記憶が穴が空いたように思い出せないんです」
──────────────────
──共に日常を過ごす誰かがいた。
『何か』をきっかけに、それは崩れた。
そして
…何もなくなった。
覚えている記憶から状況を読む事はできるが、
核心的な事に触れることができないでいる。
──────────────────
どこか腑に落ちたような、理路整然としたブラインの様子がバンドウの目には不安に映る。
それでも真剣に聞く彼の姿勢に応えるように、ブラインは続ける。
「僕自身、自覚がないわけではありませんでした。ただ
…それにしては思い出せないものが多いと。そんな僕に残されていたのが
…」
ブキに目を落とす。
握りしめるその手は、構える時より大きな力が籠っているように見えた。
「
…やはり、そのブキが鍵に?」
「そうです。コレの示す先に、この地がありました」
「ブキが示していた?」
「ええ。
…あ、それとほんの少しの足跡、ですかね
…それと
…」
「
…何だ?」
良い予感がしない。崩さぬ表情とは裏腹にバンドウのうなじにはじっとりと冷や汗が滲み出ていた。
一方で、ブラインは自身を淡々と掘り下げていくように言葉を紡いでいく。
「
…あ、その。
…いえ、アナタになら、話しても、よいのかもしれません。
…僕が持ちうる記憶の断片を探ったうえで、僕の目的は恐らく──」
「───
…復讐」
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