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八上
2024-05-29 09:30:49
510文字
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霞とクロサワの小話 居心地がいい場所の話
misskeyから転載
女と見てがっつくような歳は過ぎたと思っているし、衝動や願望より安定を求める気持ちも分かってきた。
彼女が嫌がったり怖がったりするようなことを無理に進めるつもりもなく、穏やかな日常を送ることができればそれでいいとも思う。
無理矢理もなし崩しも嫌だった。酒の勢いなど以ての外。
彼女が受け入れられるようになるまではいつまでも待つつもりだった。それを彼女の弟に漏らすと「修行僧ですか?」と言われた。
「むにゃ
……
」
隣で眠そうに欠伸をする彼女の顔にかかった長い髪を指で避けてやると、すり、と手に顔を擦り寄せて来た。撫でてほしい時の猫みたいだな、と思った。最初に比べれば随分懐いてくれたと思う。
「霞」
名前を呼ぶと、眠そうに緩んだ黒い瞳がこちらを見た。見上げる首が痛そうだが、こればかりは仕方ない。
その前髪を掻き分けて、額に口付けを落とした。
「好きだ、霞」
そう口にすると、彼女は目元を綻ばせて抱きついてきた。
「
……
私も、」
その後はむにゃむにゃと聞き取れなかったが、今はそれでも良かった。細い背を抱いて、艶やかな黒髪を撫でる。お互いの隣がお互い居心地がいい場所になりたい。だから、それでいい。
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