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はるれに
2024-05-27 23:20:58
609文字
Public
#SS(1〜30)
トゲ
「これからアンタの部屋に行っていいか?」
隣でタバコを吸っていたフードの男は、ぎょっと目を剥いた。
「は?」
「眠れないんだろ、手伝ってやるよ」
眠れないのはオレの方だったが、オレと同じ顔をして深夜にうろつく理由は限られている。睡眠を取らないくらいでサーヴァントの身に不調は起きない。けれど一日に組み込まれた眠るという所作をこなせないのは居心地が悪い。わずかに眉間にシワを寄せ、煙草の煙すら持て余すように吐き出す様は、苛立っているようにも熟考しているようにもとれた。
「
……
分かって言ってんのか?」
「
――
もちろん」
「
……
」
「
………
」
「
…………
」
「意外と長考だな年食ったオレ」
「キャスタークラスになって考えることが増えちまってね、飲んでいい釣り針か考えるさね」
「オレの喉に刺さってる分をさっさと外してくれねぇと傷んじまうぜ」
「
…
はは、若ぇオレにそこまで言われちまうとはな。抱き潰しても構わねぇってことか」
キャスターは煙草の火を押し消し、反対側の手でオレの手を掴んだ。その体温に怯みかけたことをキャスターは笑わなかった。手を握ったまま立ち上がり、オレもつられるまま喫煙室を出る。パチリと室内の明かりが消されて廊下の暗闇に足を踏み入れたとき、呼吸が楽になった気がした。
了
タイトルはお題配布サイト(
https://nanos.jp/iwantfly/
)より
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