ひがあぎういな
2024-02-14 00:00:17
1308文字
Public アンデラ小説
 

チョコのうわさ

【アン風06】コミック最新刊まで読んでれば大丈夫な内容です。少なくとも同棲している能力なしの二人でバレンタインいちゃいちゃ。アンデラの物語をまだまだ長く楽しみたい一方で、いい加減アン風ちゃんは穏やかハッピー生活だけしててほしい…って気持ちにもなっているこの頃です。はよくっつけーーーー

【チョコのうわさ】


「甘い匂いするなと思ったら、チョコレートか」


夕食まであと2時間という時刻、風子の部屋に足を踏み入れたアンディは、いつもの甘さを上塗りしたような菓子の匂いを嗅ぎつけた。
声を掛けられた瞬間、部屋の主はギクリと肩を震わせて扉の方へ目を向け。


「ぴゃっ間食バレた!アンディも食べる?」
「いや、夕飯前だし遠慮しとく」


昼食は自分が振る舞ったとはいえ、夕食の支度をしてくれている彼を差し置いて甘味に興じてしまったその後ろめたさから共犯の誘いをしてみたが、自分に厳しい男は受け取らなかった。
なんでも、30近くなると急に代謝が落ちるとかで、不死ではなくなってから体型維持に気を遣っているようだ。それでも一緒に食べている時は、風子が釣られて食べ過ぎてしまうくらいの食べっぷりは健在なのだが。

さて、見つかってしまったので今日はここまで。チョコの残った箱を片付けようとフタを手に取る。可愛らしいパンパンダの絵柄があしらわれた紙箱この時期買い物に出掛けると目移りを誘う催事場にて、絵が気に入ってパッケージ買いしてしまった一品だ。

今日2月14日に向けて、チョコの材料を買いに行っただけだったのに。


「チョコと言や、こんな話を知ってるか?」
「んむ?」


何か思い出したのか、唐突にアンディが口を開く。
長生きした分、彼は色んな話を知っている。私だって長生きしたけど、アンディには全然敵わないもんなぁとチョコの話題を頭に巡らせる風子どの話だろ。


「いや先に試すか。まずは、チョコを口に咥えて目を閉じる」
「ふぁい」


同じ長生きでも冗長に感じながら生きた者と、目的があって進んだ者の得る知識の方向性はまったく違う。風子は体術と科学・医学知識を重点的に究めて来た。そのため、雑学の部類はアンディの方が詳しいのだ。
どうやら知らない話題らしい、と風子は考えるのを止めてアンディの提案に乗った。

何の疑いもなく。


んし、ごっそさん」
「?え??」


風子の口からチョコレートが消えた。
そしてそれはアンディが食べましたと。言葉の意味を遅れて理解した。

理解してから、風子の顔は一瞬で赤く沸騰した。だまされた!


「ちなみにさっきの話な、キスしながら口ん中でチョコ溶かすと媚薬になるらしいぞ」
「び!!!???」


すでにもう真っ赤だというのに、アンディは追い打ちをかけた。
風子の耳元にイケナイことを吹き込むように囁く。それだけでも立てなくなりそうなのに、顔が近づくとアンディから確かに香ってくる、奪われたチョコの、甘い匂い。


試して欲しいか?」
「いぃいいらない!ばか!チョコ返して!!」
「1ヶ月後にな」
「む〜〜〜〜〜!!!」


いまの風子は覆いかぶさってくる巨体を押し返す程度わけない腕力を持っているが、厚い胸板を両こぶしで交互にポカポカやるだけで、実際何の抵抗もしなかった。
試さなくてもいいよ、薬なんてなくてももう、とっくに落ちてる。口に出さずとも、アンディも理解したようだ。

(夕飯、ちょっと遅くなるかも)



おしまい