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ぶんどき
2024-05-24 19:21:48
1414文字
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髪に香り
GODARCA 現行未通過❌ 自陣⭕
アーロンがチルトットちゃんのヘアセットをする話。前に野良猫さんが描いてくださった4コマが可愛かったので……
「
……
アーロンさん、おはようございます。あの、」
【節制】のアルカナ、チルトット・エーテルリンクは自身の髪をうねらせながらアーロンに歩み寄った。近づくとふわりと良い香りがする、さらさらとした薄桃色の髪が眩しい。
「また、髪を結っていただけませんか」
その急な申し出にアーロンはぱちぱちと数度瞬きした後、チルトットの乱れた髪を見て事情を察したのか柔らかく微笑んだ。
「おはよう。もちろん、可愛らしくヘアセットしてあげよう」
「か、可愛らしくはしなくていいんですが! 自分でやろうと試みたのですが、なかなか上手くいかなくて
……
」
その結果が揉みくちゃな鳥の巣のようになってしまった今朝の頭だ。
「ふふ、俺に任せて」
「あ、ありがとうございます
……
!」
「じゃあ早速、そこの椅子に座って〜」
促されるまま椅子に腰掛ける。持ってきた櫛を渡せばアーロンは丁寧にその髪を梳いてくれる。会議前のこの部屋にはまだ二人しかいない。この大惨事な頭を他の人に見られなくて良かったと思う反面、静かな朝の空気は厳かで僅かに身体が強張ってしまう。
「そんな緊張しないで、ほら肩の力を抜いて」
とん、と肩を軽く叩かれる。アーロンのその微笑みに緊張が解れてゆくのを感じた。
「ありがとう、ございます」
「
……
チルトットの髪は綺麗だね」
ブロンドの髪がアーロンの指にすくわれる。
「アーロンさんの髪に比べたらそんな
……
」
「確かに俺と髪質は違うけど、やわらかくて俺は好きだよ。この髪だって君を君たらしめるものだと思えば愛おしい」
チルトットは自身の顔がほうっと熱くなるのを感じた。アーロンの言葉選びはいつも愛に溢れている。もう慣れたつもりでいたが不意に来ると狼狽えてしまう。
──この人はどうしてこうも、聞いているこっちが照れるような台詞を平然と言えるのだろうか。
そんなことを悶々と考えているうちにもアーロンによって器用に髪が梳かされていく。「うん、できた」そう言って見せられた鏡には、左右の耳から上の髪を一つにまとめた──アーロンと同じ髪型をした自分が映っていた。顔周りが少しすっきりする感覚だ。
「せっかくだから俺とお揃いにしてみたよ〜」
「わぁ、ありがとうございます
……
!」
「さて、今回は仕上げにこれでも使ってみる?」
そう言ってアーロンは自分の持ち物から小瓶を一つ取り出した。中には何か琥珀色の液体が入っているようだ。
「なんですかそれは?」
「ヘアオイルだよ。髪もまとまりやすくなるし、良い香りがするんだ」
「そ、そんなものが
……
!?お、お願いします」
アーロンはにこりと笑って頷くと小瓶からオイルを数滴手のひらに落とし広げる。その手で今度はチルトットの髪を包むようにオイルを馴染ませていく。
アーロンに綺麗に整えられた、そのしっとりとした髪は自分のものではないみたいだった。ふわりと花の良い香りもする。
「よし、こんな感じかな」
「すごいです
……
ありがとうございます」
「またいつでも言ってね〜」
ウィンクをするアーロンにこくりと頷いた。いつもと違う髪型、新鮮な香り、なんだか、今日はいい一日になりそうだ。
──────
【 解説 】
ヘアオイルの結構歴史は古いのですが、特に19世紀頃になってからヨーロッパの美容界で流行したらしいです。ので、GODARCA世界観にあってもおかしくない、かもしれない。
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