わらびもち
2024-05-24 11:00:03
1632文字
Public
 

贈り物の相談🎁🎁🎁

VOIDげんみ×
自陣ぼいぼよが話してるだけ

………………何してるんですか?」
「厶!不破さん!」

たっぷり悩んだ後絞り出された言葉。
奇異なものを見る天城遥の視線の先には、地面に這い蹲る玄だ。先程まで真剣に自動販売機の下を覗き込んでいたその顔は一転、驚きと喜色の混じったものになっている。

「今は調査中であります!追っている不審ロイド物の痕跡を探しているのです!」
「そうでしたか。」

どういう状況の痕跡を探しているかは不明だが不審な行動の意図は理解できた。見た目は完全に玄の方が不審ロイド物(?)だが。

「不破さんは…………、ーーやや!一茶殿、流石であります!」

今度は突然虚空に向け話し出したが、こちらはおそらく通信が入ったのだろう。遥は多少の居心地の悪さを覚えるが、だからといって何か言おうとしていたのをそのままに場を去るのもと思える程度には薄い繋がりではない。濃くもないが。

「さて、改めてお久しぶりであります不破さん!今日はイツさんはご一緒ではないのですね?」
「そうですね、帰宅途中ですので。」
「なるほど、お勤めご苦労様です!あの、その後どうですか?体調とか……。」

玄が少しソワソワしていたのはこれを気にしていたのだろう。彼と会うのは先日、とある事件に巻き込まれて以来だ。その際自分たちに起こったことを思えば心配も当然かもしれない。

「私は大丈夫です。ゲンさんも、お元気そうで良かったです。」
「この通り絶好調であります!そういえば、イツさんにプレゼントは渡せましたか?」
「え?あー、一緒にお揃いの物買いはしたんですけど、プレゼントはまだですね。」
「なるほどお揃い!それも良いですね。」

うんうん頷いている玄に、そういえばいつでも相談に乗る、というようなことを言っていたなと思い出す。

「あの……アンドロイドがもらって嬉しい物ってありますか?」
「ふむ?心がこもっていれば何でも嬉しいですよ?」
「模範解答はいいんですよ。変な物を贈りたくないし、イツはちょっと特殊とはいえ……アンドロイド側の意見もほしくて。」
「なるほどなるほど。であれば、メンテ用のオイル、繊維毛髪用のシャンプーなどが流行りですよ!」
「流行りあるんだ……。オイルはレイトさんが一番合うの使ってるだろうし、シャンプーの方かな……それもレイトさんに相談しないとだけど。」
「素材によって合うシャンプーも変わってきますからね!事前調査は大切であります!」

なるほど、とスマホを取り出しメモをしていればそれから、と玄が言葉を続ける

「これは玄が嬉しいものなのですが……音声データがほしいですね。」
「? いつでも撮れるのでは?」
「そうではなく!いえ、だからこそ自分へ宛てて吹き込まれた音声メッセージはより一層嬉しいものなのです!」
「うぅん、そういう物ですか?」
「はい!ろまんてぃっく、です!」
「まあ……考えておきます。」
「是非!」

力説する玄を見れば、本当にそれがほしいのだとわかる。いやもしかするともうもらっているのかもしれない。

「引き止めてしまってすみません。ありがとうございました。」
「お役に立てたのならばなによりであります!以前も言いましたが、イツさんのほしいものを直接ハッキングすることもできますのでね!」
「それは遠慮します。」

では、と挨拶を交わし去っていく玄を見送る。少し前に会った時も感じたが、あのひとも随分変わった。以前までは顔部分に絵文字を投影して感情を表現していたが、しばらく見ないうちにしっかりと表情を動かすようになっていた。
アンドロイドも成長するのだ。
人とアンドロイドの違いは何か。
昔誰かに問われたことがある気がする。その時は何と答えたのだったか。きっと違いなんて、体が血と肉で出来ているか、鉄とオイルで出来ているかぐらいのものなのだろう。
なんとなくスッキリしたような気持ちで家に帰る。
明日、早速隙を見てレイトさんに相談してみよう。