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HAZURE_Mapo
2024-05-23 22:22:32
1565文字
Public
好物
CPアシュプリ。5月23日、キスの日にちなんで綴りました。
「プリシス。チョコクレープ作ったよ。食べるかい?」
無人くんのメンテナンスのためにスパナを持っていたプリシスにアシュトンは話しかけた。
後ろから好物の名前が聞こえたプリシスは声の主の方向へ顔をほころばせ振り向く。
「本当? 食べる!
でもちょっと待って、もうすぐ終わるから」
プリシスは早る気持ちを抑えて作業を続ける。
その様子を目を細めて見ていたアシュトンはその場を離れ、チョコクレープが載った皿が置かれたテーブルの近くにある椅子に座り一息ついた。
ややしばらくして作業を終えたプリシスはぱたぱたと足音を響かせながらアシュトンの元へ向かう。
「お待たせ! まだあるよね?」
「うん。でもそんなに急がなくても大丈夫だから、手にしているものは置いてきたら?」
アシュトンの視線の先にはプリシスが手にしているスパナがあった。
「あ。しまった」
もう一度作業場へ戻り、スパナをがちゃんと雑に置いてまたすぐチョコクレープが待つ席へ戻った。その前にきちんと手も洗った。
「いっただっきまーす」
「どうぞ、召し上がれ」
薄く伸ばしたチョコ味のクレープ生地に乗るのはよく泡立てられたホイップクリーム、その上には旬の果物であるイチゴがいくつも散りばめられている。さらにクレープ全体をチョコソースがまだらに覆い、極めつけにチョコスプレーが彩りを添え華やかな印象だ。
作業に集中していたプリシスは甘いものが食べたかった。それを見越していたか定かではないが、アシュトンは用意していた。
けれど、いつもそうだ。プリシスがお腹が空いた、何か食べたいと思うタイミングで料理が出来たと声をかけてくる。
何でわかるのだろう、と不思議に思いながらプリシスはぱくぱくと食べ進めていく。
そんな様子を微笑みながら見つめるアシュトン。その表情はどこか満足げだ。
視線に気づき手を止めたプリシス。少しだけ視線の送り主と目を合わせると、ふと自分へ向けられた視線を逸らすような場所へ指を差した。
「あ、虫がいる!」
「えっ、どこ?」
プリシスが指差す方向へアシュトンが顔を動かした後、咄嗟に席を立った。
向かった先はすぐそばにいる彼の元。
その頬にプリシスは軽く唇をつけた。
「え
……
?」
何か、柔らかいものが自分の頬に触れた。
アシュトンはしばしの間硬直したが、そっと触れた感触の残る血色が良くなった頬を手で添えてプリシスの方へゆっくり向く。
「ん、なに?」
そこには何事もなかったかのように食べ続けるプリシスがいた。
「い、今のって
……
」
動揺を隠せないアシュトンだが、プリシスは淡々としている。ただ少しだけ頬は赤みを帯びていた。
「んー、お礼? いつもありがとって」
この回答に拍子抜けしたが、気を取り直して少し凛々しい調子で声を発した。
「じゃあ僕もプリシスにしてもいい?」
「え、ヤダ。しないで」
真顔で答えたプリシスだが、その口元にはホイップクリームがついていた。
ははっ、と微かな笑いが声に出た後、アシュトンは手を伸ばしてプリシスの口元に触れ、指先についたそれを自身の口の中に入れた。
「うっそ、ついてたんだ
……
」
プリシスの頬は相変わらず赤みを帯びているが、今度は恥ずかしさからそうなっている。
しかしアシュトンの動作に目を奪われ、皿に残ったチョコクレープを完食した後、今度はわざと口元にホイップクリームを残した。
素直じゃないなぁ、でもそこも可愛いけどね。
今度は顔を近づけプリシスの口元についたホイップクリームを器用に舌で舐めた。
くすぐったそうに笑うプリシス。
それを口に含んだ後、二人は口づけを交わした。
これはとある昼下がりの甘い出来事。
時間はゆっくりと過ぎていった。
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