佐久らぎ
2024-05-19 21:23:58
773文字
Public 碧樹:文章
 

アナベルとイデア共犯、ブラット曇らせ話

misskeyから転載

……どうする?」
「ひとつしかないだろ」
 アナベルの言葉を待たずに”結論”を口にする。ブラットを危険に晒すものに容赦など要らない。
「あの男爵を消す」


……死んだ?なんで、」
「重税に苦しんでた農民が屋敷に押しかけて一家を嬲り殺しにしたらしいよ、怖いね〜」
「よくある話だなあ」
 まるで天気の話でもするかのように言うアナベルとイデア。
 自分が一日寝ていた間に、自分に不都合な条件を突きつけてきていた男爵が死んだ。今までの苦悩が嘘のようにあっさりと。
 ブラットの頭に最悪の想像が過ぎる。
「おまえ、お前ら、まさか」
「もうブラットは勝手に思い詰めたりしないでよね」
 全く噛み合わない答えを返したアナベルの言葉を肯定と受け止め、思わず彼女の胸倉を掴んで叫んだ。
「やったのか!?しかも一家を?!」
「馬鹿なこと言うなよ。話聞いてたか?やったのはあの辺の農民だって」
 二人を引き離し、イデアが諭すように言う。それすらブラットには疑念の種だった。
「お前……焚き付けたのか……!?」
「俺たちは何もしてないよ。ちょっと買い物には行ったけど」
「お前……お前ら……なんで……
 昨日一日寝ていたのは疲れ等ではない、『眠らされて』いたのだ。その間にこの二人は策に及んだ。自分のために。
 ブラットは頭を抱えてベッドの上で蹲った。
「俺のせいだ……俺のせいじゃないか……子供は悪くなかっただろ……なんで……
「僕らは何もやってないからこれは想像だけど……残すと『次』があるからだよ。生き残りは原因を恨むよ。だから芽は全部摘まなきゃいけないの」
「色んな方向に色んな恨みを買ってたみたいだからなあ、昨日そうならなくてもいつかこうなってただろ」
 だからお前のせいじゃない、言外にそう言われた気がしたが、ブラットの曇りは晴れなかった。