佐久らぎ
2024-05-19 21:22:36
1039文字
Public 碧樹:文章
 

ロサとトリシアとエリンの婚前交渉についての話。

misskeyから転載
そういう描写は一切なく話してるだけ。ヴィクテム×ロサ、エリン→トリシア前提

「平民の間では、こ、婚前交渉は普通なのでしょうか」
 ロサの震える声に、トリシアは話を聞き始めたことをちょっと後悔した。

 きっかけは些細なことだ。
 何やら思い悩んでいる様子のロサにトリシアが声を掛けた。それだけ。
 元は貴族の令嬢だったロサが、平民生活に慣れないことがあるなら聞いておこうかな~と、滅多にない親切心からだったのだが。
「ああ……まあ……そうね……恋人同士ならそういうこともあるでしょうね……
「なになに〜女の子同士で〜?」
 正直困っていたトリシアの後ろからやってきたのはエリンだった。

 突然やってきた比較的一般的な成人男性の仲間に、ロサはおずおずと言葉を紡いだ。
「その、男性の目から見て、婚前交渉は普通なのでしょうか……
「恋人同士ならまあ普通かな〜。別に恋人同士じゃなくても有り得るけど」
「え?」
「なんて言うんだろう、そういうことする友達?みたいな。結婚しないし責任も取らない、お互い都合がいい相手って感じの」
「えっえっ」
「そういう相手もいない人は普通に娼館かな〜。最近は女性も男娼に相手してもらえる娼館増えてるよ」
「えっ、あっ」
 エリンが喋る度にロサの顔はみるみる真っ赤になっていった。
 そんなロサを見たエリンはにっこり笑って、
「性欲って人間の本能だからね。発散しようと思うのは普通だよね」
「わ、私っ、失礼しますッ!」
 そして遂に椅子から飛び上がるほど勢いよく立ち上がり、部屋へ向かって走っていってしまった。行先は多分ヴィクテムのところだろう。しばらく近付かない方が良さそうだ。

 それを見たトリシアは呆れたように手を額に当てた。
「ちょっとは手加減しなさいよ……
「今のままじゃヴィクテムが可哀想だからね。ちょっとくらい現実を知ってもらわないと」
 底の見えない笑みを作りながら、エリンはトリシアの手に触れた。
「トリシアは男娼とか使わないでね。なんかあったら俺に相談して!絶対満足させるから」
「はいはい……そんな機会は来ないと思うけど、一応覚えとくわ」
「一回くらいお試ししてくれてもいいのに」
 エリンはトリシアの手を取り、指先に口付けた。それにトリシアは、ばっと勢いよく手を引っ込める。
……そういうことするから信用出来ないのよ」
「俺はいつも本気だよ?」
「寝言は夢の中だけにして」
「ひどいなあ」
 警戒心剥き出しのトリシアにエリンは口元だけで笑った。
「そんなこと言うから逃がしたくなくなる」