本部での全体会議が終わり、アーロンが廊下を歩いていると、ぼんやり外を眺めているジョイを見かけた。彼は退屈そうに欠伸をしながら手すりにもたれかかっている。まるで日向ぼっこをしている猫のようだ。
「やあジョイ、こんなところで何してるの?」
近づいて声をかけると彼はその眠たげな目をぱちりと開いた。
「ン、アーロンくんだ〜。みんなも帰っちゃったし暇だな〜なんか楽しいことないかな〜って」
「それなら、ちょっと俺とデート──お散歩でもしない?」
そう言って軽くウィンクを飛ばすとジョイは退屈そうな表情から一転、その瞳をきらきらと輝かせた。
「いいね! 行こう行こう〜!」
ぐいぐいとアーロンの腕を掴んで外に飛び出す。年齢の割にあどけなさを残した彼の楽しげな表情にアーロンもつられて笑みを零した。
そうして二人で並んで街中を歩いていると、ふいにジョイが足を止め、路地裏を見遣った。
「おや、どうかした?」
「俺、面白い場所知ってるんだ〜! アーロンくんもついておいでよ!」
軽い足取りで路地裏へと入ってゆくジョイを追いかける。彼は地面に転がったゴミ袋や木箱を慣れたように避け、薄暗く細い路地を先へ先へと進んでゆく。
「ン〜……アハ、アーロンくんあんまりこういうとこ来ない?」
彼は振り返ると悪戯っぽく笑ってみせた。
「……ふふ、確かにあんまり来ないな。だからこそ、新鮮で刺激的で楽しいよ」
「そうこなくっちゃ!」
ジョイの先導によってしばらく進めばようやく開けた空間に出た。壁に囲まれた狭いとも広いとも言えないスペース、そこにいたのは猫だった。それも一匹だけではない、黒に白に茶トラにサバトラ……色んな種類の猫が、その数は十を超えるだろう。猫たちは二人が来たことにも動じず思い思いに過ごしている。
ジョイはしゃがみ込むと足元にすり寄ってきた猫を撫でる。撫でられた猫は気持ちよさそうにゴロゴロと鳴いた。
「ここね〜、猫がたくさん集まるんだァ、よく集会してんの。野良とか飼われてるのとか、色々いるよ」
「へぇ……こんな場所があったんだね、はじめて知ったよ。君といると楽しいことばかりだ。ありがとう、連れてきてくれて」
猫に構っているジョイの頭をぽんぽんと撫でると彼は顔を上げ、満面の笑みを浮かべた。
「アッハハ、もっと撫でて!」
「いいよ、もちろん」
紫がかった白髪をふわふわと撫でると嬉しそうに目を細めた。
──やっぱり大きな猫みたいだ。
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