yossy
2024-05-15 01:32:48
544文字
Public 自創作
 

ハス太郎

「君たちは犬だ」HO②ネタバレ有り
未通過❌


生まれのことは忘れた。
犬としての生を満喫していた直後。
人間だった前世の事を思い出し、
小さな頭はいっぱいいっぱいになった。
といっても名前も生まれも殆ど覚えておらず、自分がヤクザとして生き、ヤクザとして死んだくらいだった。

まぁ、ヤクザだっだ頃の知識が犬生に役立つ事もなく。
なんならハスキーとして楽しい日々を送っていた。
好きなだけ走り、好きなだけ食べては眠り。
銃弾は飛び交わないし、おっかねぇ幹部に怒られなくて済む。
でも、恩義を持っていた若頭と、あのペットショップの犬のことだけが気がかりだった。

「犬は従順でいい」
と若頭が言っていたのを覚えている。
俺は、犬は可愛いと思っている。
無邪気でいい。孤高でいい。賢いのもいい。それぞれ良さがある。
ハスキーになって俺はデケェ体を得た。
デケェだけでビビらすから試行錯誤して伏せの体勢を覚えた。
吠えても困らすから話を聞くようにした。
愉快で穏やかな仲間との日々が壊れないよう動いていた。

多分、俺が元人間だったと言ったら、
この仲間との関係が崩れちまう。
馬鹿でもそんなことは理解していた。
だから俺はのんびり、必要ならこの体格を活かしてみんなを守れればそれでいい。
呑気な顔をして腹を出して寝ながらそう思った。