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【クレガロ】旅するふたり

ひたすらガロがしゃべってる



「クレイ旅に出よう!」

ガロが執務室を訪れ開口一番に言う。
なんて馬鹿なことを言うのだろう、私には財団をまとめプロメポリスを治めなければならない任務があるというのに。

しかし何故だか、全てを放棄することになると分かっているのに、頷いている自分がいた。
周りからの期待や願望、そしてその中には思惑が混じり、政治の駆け引きも重荷となって伸しかかっていた。日々息が詰まる思いだった。

そうしてかけられた言葉に、少しくらいいいんじゃないかと思ってしまう自分がいた。

翌日ガロは派手な色のパーカーを着て、バックパックを背負いクレイを待っていた。
「ははっ!あんた私服は本当ダサいのな!」

お前に言われる筋合いはない。

「さあクレイ早速世界を見て廻ろう」

そうしてガロとの旅が始まった。

ラテン系の音楽が流れる街に来た。初夏の日差しが燦々降り注ぎ、ああこれは日焼けは確実だなとクレイがが考えていると、ガロから何やら紙袋を手渡される。

「ほら、まぶしいだろうと思って買ってきたぞ」
中に入っていたのはサングラスだった。
ふざけているとしか思えなかったが、俺とお揃いだなと楽しそうにはしゃぐ声に、仕方がないと諦めて着けることにする。

その国では海に近いことから海鮮料理が有名なようだった。香辛料で鮮やかに彩られたライスに貝やイカ、エビなどの具を一緒に炒めた食べ物だった。正直言うと美味かった。
ガロは何杯もおかわりしていたが、一体誰が払うと思っているのだろうか本当に度し難いな。



次の国は季節が真逆の国だった。
冬に差し掛かっていたから肌寒さにぶるりと身を縮めたが、空気がとても透き通っていた。息を吸うたびに芯まで冷えそうだった。
そこでは大きな橋が有名というから、ふたりで歩いて渡ることにした。

「うっはー!見てみろよ!すごい高いなクレイ!」
下を見ながら歩くんじゃない。危ないからまっすぐ前を見て歩くんだ。
「うわっ!やべえ雨だ!」
天気は薄暗かったがまさか雨が降ってくるとは思わなかった。急いで走って橋を渡りきる。
早くホテルに行って温めてやらねば、風邪をひいてしまうではないか。……否、馬鹿は風邪をひかないんだったか。

「ははっ!びしょ濡れだな」
ホテルに着くとお互いタオルで拭っていく。早くシャワーを浴びてこいとガロにバスタオルを渡した。
なあ、一緒に入る?」



太陽が沈まない国に来た。夜でも明るく、その現象は白夜と呼ばれているらしい。
「夜なのに!明るい!」
うるさいな。いい時間なのだから近所迷惑というものを考えないのか。
外に出たいというから付いてきてやったものを、もう少し落ち着きというものを覚えてほしい。
笑いながらまるで犬のように駆け回る姿を見て、どうしようもない奴だなと思った。
そろそろ帰るぞと呼びかけると駆け寄ってくるところなんかまさにそうだ。
いい加減私は眠いんだ。

ハーブティーを飲んで、部屋を遮光カーテンで覆い真っ暗にする。
やっと夜が訪れたような気がした。
「おやすみ、クレイ」
意識がすっと闇に溶けていった。





△▽△▽△▽△△







とても見慣れた天井が目に映る。
「ああ、そうか。馬鹿なのは私の方だ……


それはとてもとても幸せな夢だった──。