よつもり
2024-05-13 00:32:01
1028文字
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賢治さんのこと


著名な割に相当に難解な作家だと思うんですよ。宮沢賢治。
多くの人に持たれているイメージ(純朴農業青年童貞シスコン)と、
実際の彼(苛烈な法華経信者で信仰や理想や道徳を現実に落とし込もうとした実践者)
というような乖離がある作家は、彼の他にはなかなかいないんじゃないかと思います。

賢治さんの詩は東北弁のリスニングと東北弁のニュアンスの理解があることが前提となっていますし、
「心象スケッチ」と彼が命名した通り、その時の心の揺れ動きを言葉として言い表すということをしており、
彼の詩を正しく理解できるのはおそらく彼のみなのではと私は思います。
それでも読み解こうと思うのなら、そこに書かれている言葉そのものというよりかは、
そこに羅列されている言葉の印象、イメージ、雰囲気の方を追っていくほうが、
もしかすると彼の意図に近しい読み方になるかもしれません。
まさに「心象=はっきりとした言葉になる前のイメージ、気分」をスケッチしたものと思えばいいと思います。

詩は
『春と修羅』収録
・春と修羅(賢治のあまりにも有名な詩。意味がわからなくても目を通しておくと良いかと思います。彼はこういう苛烈さがある人なのだということを理解できる詩だと思います。おれはひとりの修羅なのだ。)
・永訣の朝(賢治の妹・トシと死に別れる朝を歌った詩。50音で表記されていますが東北弁のニュアンスは50音では表現しきれていませんのでこれをこのまま音読しても彼が想定していた音ではないことだけは注意。)

そして
・雨ニモマケズ(理想主義の賢治らしい理想を語った詩。これも相当有名。)
あたりが有名です。

賢治さんの小説の方は、詩よりはいくらか読みやすいかと思います。
・銀河鉄道の夜
・よだかの星
・やまなし
・グスコーブドリの伝記
・風の又三郎
・セロ弾きのゴージュ
・注文の多い料理店

あたりを押さえておけば大体OKかなと。

・銀河鉄道の夜
・グスコーブドリの伝記

はアニメ映画にもなっていますので、映画から入るのもありかと思います。

あと賢治さんについての解説本はかなりその解説者の幻想が入ったものが多いような印象があります。
妹トシとの関係を邪推する人も多い気がします。
賢治さんはどこかこう、「本当の賢治を理解できるのは俺だ」と思わせるようなところのある作家のような気がします。
解説本などに手を出す際はそのあたりお気をつけください。品質ピンキリです。