Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
HAZURE_Mapo
2024-05-10 23:31:52
1494文字
Public
鈍色の世界
クロードとガブリエルの会話メイン話。5月10日、メイドの日を冥土の日に変えて綴りました。
「
……
おい、そこにいる貴様。ここはどこだ」
そう言った人物はまだ意識が完全に覚醒していない。しかしすぐ側に人影があることは認識出来ていた。
「さぁ
……
ね。ぼくも聞きたいぐらいだ。
けど、あまり縁起のいい場所ではない事は確かだ」
どこかで聞き覚えのある声。
若く、ハリがある声。
人影は次第に立体となり、その人となりを現した。
金色の頭髪、真紅のバンダナ、縹色の瞳。
若葉色のジャケットには銀河連邦の印。
「
……
貴様は。ここで何をしている」
紅玉のような物体から発せられた声は、それを手にしている者へと向けられた。
返ってきた答えは唯、一言。
「お前を監視している」
淡々とした口調だった。
「私を監視してどうするつもりだ」
「どうもしない」
「ここはどこなのか、手がかりを掴みに行かないのか」
「行っても無駄さ」
「貴様は民を救う光の勇者ではないのか」
「そう呼ばれた時もあったな。
けど今は、お前を憎む者としてここにいる」
縹色の瞳は瞬き一つしていない。
ただ目線の先に出現している、深紅の長髪を波打つように靡かせた浅緑の瞳を携える人物、すなわち父親の敵である彼を真っ直ぐな視線で見つめていた。
しかし、その瞳はどこか虚だ。
「お前は覚えているか、ぼくの父親を死に追いやった時を」
「
……
さて、何のことかな」
浅緑の瞳を持つ者は視線を逸らす。
「そうか。
……
なら質問を変えよう。
お前は覚えているか、ぼくと相打ちになった時のことを」
「少しだけ、な。
そうか、あれは相打ちだったのか」
アーリア村に程近い森林地帯で相見えた彼らは壮絶な戦闘の末、互いに互いの渾身の一撃を浴びてその場に倒れ込んだ。
先に意識を失ったのは深紅の長髪を持つ者だった。
眩い光を放ち消滅したかと思えば、現れたのは紅玉のような物体。
その瞬間を見届けた金色の頭髪を持つ者は微かな笑みを浮かべた後、意識を失った。
しばらくして彼らが意識を取り戻した時、そこは元の場所ではなかった。
どこまでも続く鈍色の世界。
暑くもない、かと言って寒くもない。
光が差している訳でも、闇が覆っている訳でもない。
ただひたすらに、鈍色の世界。
そこに二人は閉じ込められたように存在している。
「ぼくは満足しているよ。お前を縁起でもないこの場所に連れてこられて」
金色の頭髪を持つ者は、自身の率直な感情を呟いた。
しかし深紅の長髪を持つ者は鼻で笑う。
「私と何もないこの場所に二人きりでいるのに、か?」
「あぁ、お前は永遠にぼくとここに居るんだ。きっとお前はこの物体から出ることが出来ない。その分ぼくのほうがまだ自由だ。いつだってお前を置いていける。
けどそんなことはしない。お前から懺悔の言葉が出るまでは」
「
……
正気か? そんな事を言われて誰が懺悔なんてするのだ?」
金色の頭髪を持つ者に備わる縹色の瞳はいつのまにか虚が消えていた。
その代わり、澱みの無い視線を送りこう答えた。
「お前だ」
────奴は狂乱している。
全宇宙を破滅させる事など微塵も思わなかった彼に、初めてとも言える恐怖の感情が湧き上がった。
これなら自分だけここに取り残されたほうがまだ幾分か良いかもしれない。
しかし懺悔など、微塵にも思ってない事など言える筈もない。それに言ったとしても、奴がここから離れる保証はない。
そう考えた彼は、ただ静かに浅緑の瞳を据えた。
対面にある縹色に焦点を合わせて。
次の舞台、それは冥土から始まった。
彼らの戦いはまだ終わっていない。
広告非表示プランのご案内