ななき
2023-11-29 19:47:28
893文字
Public 吸死
 

三十年目の転化問答

(ドラロナ)
与太の延長なドラロナ。表に出さない解釈ベースの書き散らし。
ドちゃの情緒が育っている。三十年、人間と暮らしてればあの柔軟性あればこのくらいまでにはなるだろ、という予想込み。

「そろそろ吸血鬼になろるどくん」
「ならねぇぞ。三十年かけて何回目だ、お前も諦めねぇな」
……
「なあもし、俺がOKしたとして」
「してくれるの」
「食い気味にくるじゃん。したとして、だ。お前の一族の血なら恐らく長生きすることになるだろ」
「そう、だろうな」
「順当に生き物としての寿命が来るとしたら、二百の年の差が、そのまま寿命の差になる。俺はお前に置いていかれる」
……は」
「やっぱり考えてなかったな」

「お前はその執着で俺を人の理から外したい。でもそれに応えた先の終わりが俺は怖い。お前が逝った世界で、人の一生何回分も積み重ねた執着を抱えて正気でいられる自信が、俺にはない」

「もちろんそうならない可能性もある。血の強さでお前の方が寿命が長い可能性、それと俺に吸血鬼の才能が全くなくて、その血の恩恵をろくに受けられない可能性だ。それでも人間の寿命よりは生きるだろうよ。どっちにしろその分、お前は執着を育てることになる。で、育ったところで俺が逝くわけだ。……時限爆弾だ、そんなものは」

「俺を人として見送るのが、お互いに一番ダメージが少ない。吸血鬼にしたときにベットされるのはお互いの正気だ。それでも。それでも、俺を吸血鬼にしたいかよ」

……なんだ。わかっているようでわかってないな、若造」
「あ?」
「失うのが怖いから同族にしたいなんて考えたことすらないさ。楽しい時間が延びるのがわかっているから同族になってほしいだけ」

「君が先に逝くケースなら簡単だ。私はそこで一緒に絶えよう。吸血鬼にあの世があるか知らんが五歳児をひとりで放り込むのは忍びない」

「私が先に逝くなら……君は好きな時に来てくれればいいよ。長く世にあれば君にも何か変化があるかもしれないし」

「ふむ、いずれ来る本当の終わりをもたらすのが君だというのは良いな。愛が高等吸血鬼を終わらせるのだ。君好みじゃないかね、作家先生?」

「さて改めて問おう、Dragul meu。幾千幾万の夜を、私と我が使い魔と共に越えてはくれまいか? ずっと先の悲劇を嘆くより、明日の喜劇を選ぼうじゃないか!」