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ななき
2022-12-30 01:39:33
1162文字
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吸死
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あとは押すだけヌ
両片思いドラロナ。マジロ様は見てる。
このくらいもだもだしててくれ。(23/3/1修正)
テレビでは季節の変わり目によくある、特別編成の二時間ドラマが流れている。
隣を横目で確認すれば、いつも通りのドラ公。ジョンがその膝の上であくびをしている。ソファの上に置かれているのは、見慣れた俺の手。その十センチ先には、無防備に置かれた血色の悪い手。
料理を作ったりジョンを撫でたりする、指が長くて薄っぺらい手だ。いつもしている手袋が今日はなくて、赤い爪がみえている、手。
触りたい、と思ってしまった。
触りたくて、なんとかしたくて、閃いてしまった。同居吸血鬼への片思いで最近若干バグり気味の自覚が実はある俺の脳が。
テレビに夢中になっている間に手が近くなっちゃったふりをすれば、触れても不自然ではないのでは!?
顔はテレビに向けたまま、手だけをちょっとずつドラ公の方に近づけていく。
あと八センチ。
ソファ、頼むからギシギシいわないで。
どうして今日は素手なんだろう。
ドラマより、何か別の事を考えていそうな横顔。
主人公が、何か重要な手掛かりを見つけたらしい。
あと五センチ。
さっきから汗がすごい。実はエアコンが壊れているのかもしれない。
もう少し、立たないで。
四角い画面のなかで、四角いビルが爆破された。
あと三センチ。
そういえば今日はヒナイチを見ていない。
今入ってくるのは止してほしい。今だけでいいから。明日のクッキー譲るから。
ヒロインが主人公の名を叫んでいる。
あと一センチ。
動くな。
ゼロ。
ひやりとした感触が小指に。脳内で天使の羽をつけたジョンがラッパを吹き鳴らし、ガッツポーズの嵐である。
まだボンヤリしていてほしい。気づかないでほしい。気づいてるかもしれないけどどうでも良いことにして考えないでほしい。あと五秒、いや三秒だけ。うそです、エンドロールが終わるまで。いっそこのまま眠るまで。
◇
アルマジロはちゃんとみていた。
ソファのクリーム色の上、なんとかして主人に触れようとジリジリ手を近づける体の大きい弟分と、気づいていないふりをして触れる瞬間を待っている主人を。小指同士がくっついただけで内心お祭り騒ぎらしい二人を。
じれったい。どうしてこの二人はお互いの事だと鈍くなるのか。こんなにわかりやすいのに。じれったすぎる光景に、主人思いのマジロは行動にでることにした。
スタ、と二人の間に降り立つ。右手に主人の手。左手にロナルドの手。
「
ヌヌヌ、ヌヌイヌ
はやく、つないで
」
「「ジョンさん!?」」
強制的に手をつながせたイデアの丸は元の位置によじ登り、はあやれやれ、と息をつく。これで、主人の膝でうとうとする幸せを何の憂いもなく堪能できるというもの。
あとはグッドラックだヌ、ドラルクさま。
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