ななき
2022-11-29 00:28:38
825文字
Public 吸死
 

ドラルク誕SS

(ドラロナ)自萌用に書いたもの。短い。

 柄じゃない。柄じゃないと分かっちゃいるがこれくらいしか思いつかない。
 同居人の誕生日のプレゼントの話だ。欲しいものは(人に買わせようとすることもあるが)大体自分で手に入れるヤツだし、過保護なおやじさんがきっと今年も山ほど持ってくる。今日はみんなでパーティーもするし、そのご馳走は現在進行形でアイツが用意している。俺にも何かは期待しているだろうけれど、それは本当に「何か」であって、なにを贈ったって上機嫌に喜ぶはずだ。だから気にしすぎる必要はないと、短くない同居生活で分かってはいるのだが。

 でも恋人になった最初の誕生日くらい、なにか少しだけ特別なことがしたい。
 深呼吸して玄関ドアを開ける。

「若造? ただいまくらい言えと……
「受け取れおらぁ!」
「は!?」
 出迎えてくれた男に、抱えていた真っ赤な薔薇の花束を押し付ける。コイツが死なない重さギリギリを計算して頼んだ花束は、それでも男の胴体よりボリュームがあるはずだ。柄じゃなさすぎて直視できていないので確かめられないけれど。
「薔薇ぁ!?」
「プレゼント!!」
 顔に血が上ってくるのを感じながら、照れで振り抜きそうになる拳を耐える。……なんで黙ってんだよぉ、不安になってきたんですけど? 早く笑い飛ばしていつものオチをつけさせて欲しい。
 そろ、と横目で様子を窺えば、それに気づいた吸血鬼がニンマリと悪い顔で笑った。
「へぇ、この薔薇が? それとも、そっちのリボンがついてる方?」

 花束のそれと揃いの赤いリボンが、もう一本、まだ俺の側にはある。喉の奥でクツクツ笑いながら聞いてきた吸血鬼は、わかってるくせに俺に言わせたいらしい。わかってるくせに!
「両方!!」
 ヤケクソで叫べば、男は満足げに息をついた。

「中身はパーティーのあとで受け取るからね」
 いい子で待ってなさい。言葉に不釣り合いな色の声と細長い指が艶やかなリボンを解いて、ようやく俺の首は解放された。