ななき
2022-11-25 18:37:46
2684文字
Public 吸死
 

新横VRC怪談

七不思議風の話、習作。モブが沢山発言します。
趣味に寄ってるので怖くはない。

吸血鬼の能力の余波の蓄積がツクモ吸血鬼を生んだりの影響を与えるなら、VRCはきっと『変なこと』が沢山起こるに違いないという妄想の産物です。

『 当記事は、VRCにまつわるものである。
 まず、VRCは歴とした公的な研究機関であることを明記させていただく。発表される論文はきちんと外部の査読を通っていて、成果こそあれ、非合法な実験など行っていないことを読者諸氏はもちろんご存知のはずだ。たとえ、怪しげな噂が絶えなくとも。
 しかしその実、VRCでは研究対象である吸血鬼の影響といわれる、不可思議な現象が多々報告されているのも事実なのである。
 さて、いよいよ本題に入らせていただく。本誌をご愛読の皆様は《不可思議な現象》に興味がおありでは?本誌記者が取材してきたのでご協力頂いた職員の皆様のコメントともにご覧いただきたい。


case.1 供えられる花
第4木曜日には机に花を飾る。VRCにいくつもある不思議な決まり事のひとつだ。協力被験者のZが所内にいれば、彼が飾ってくれることもある。
そして誰も使わない席だけ、何もない状態が作られた午後16時32分。花のない席のどれかに、突然花が現れるという。深い深い色の黒薔薇が一輪。

職員A:
ああ、あれ?場所操作できるようになって助かってるよ。前はランダムだったからね。自分の席に置かれると必ず怪我するんだよね。たいてい、紙で指切ったりのたいしたことないやつだけど。それでも一番ひどかった奴は失明したんだったかな。必ず血が出る怪我だし黒薔薇ってのもそれっぽいから、吸血鬼の能力だろうとは言われてるんだけど、該当者がいないんだよねぇ。


case.2 サーバールームの妖精
VRC 2階の端に、所内のデータサーバやネットワーク機器を集めたサーバールームがある。ここで視線を感じたり、いるはずのない人影をみたという者が絶えないという。

職員B:
はい、僕は吸血鬼の研究者ではなくIT関係の担当ですので、良く行きます。噂の人影の半分くらいは僕じゃないかな。
でも僕も視線感じたりはするんで、噂もウソじゃないですよ。いいえ、怖くはないかな。たまに作業中に意識が飛ぶと、肩叩いてくれるんです。助かってるんですよね。ツクモ吸血鬼なら手伝ってくれないかなあ。ははは。
……僕からすれば、他の職員さん達の方がよく分からなくて怖いものを扱ってるように思えますよ。


case.3 合わせ鏡の廊下
中庭に面する、一階の渡り廊下には貼り紙がある。
『夜間注意 合わせ鏡、通行禁止』。

職員C:
は?意味?そのままだけど。夜、窓ガラスが反射で鏡みたいになることあるじゃん。 あそこは両脇がそうなるから、その時通るなよってこと。なんでか? さあね、ここそういうルール色々あるからいちいち気にしてられないよ。あ、D、対応代わって。

職員D:
はいはい、なんでしょう。ああ、あの廊下?おかしくなるだけ。死にゃしないよ。随分昔の協力被験者で、鏡を出入り口にする能力の吸血鬼がいたから、その影響じゃないかって。
誰かに呼び止められたみたいに立ち止まって、ぶっ倒れたらしいよ。で、すぐに起きたけど、「かえる」としか言わなくなっててね。専門の病院行き。今どうしてるかは知らないな。え? あ、ばれました? そう、一番最近その現場見たのが私。
取り壊しの予定?きいたことはないかな。


case.4 地下の焼却炉
最も有名な話ではないだろうか。VRCの地下には超高性能の焼却炉が密かに設置されており、表に出せない実験結果や「被験体」を処分している、という噂。だが冒頭にも述べた通り、非合法な実験など噂でしかない。本来ここで扱う事柄ではないのだが、取材中に奇妙な回答をいただいたので参考のためご覧頂く。


職員E:
ここ、そもそも地下階はないんだ。そのはずなんだけどね。たまに、そう、半年に1人くらい、地下の焼却炉の話をするやつが出るんだよ。それだけ。……それだけだって。

収容者Y:
「ああ、君、そう、きみだ(※記者を指す)」
「地下へ行ってはいけない。どうしても行くなら私かKくんの所に寄ってからにしなさい。いかない? それならいいけど」
「アレにエサを与えてもイイことはなんにもないんだよ。ここはそれなりに居心地がいいんでね、君みたいなのがエサになっちゃうと楽しくないから」


case.5 招く部屋
一階の突き当たりの何もない壁。ここに扉があったと証言する職員や来訪者がいるらしい。
扉があるだけで、押しても引いても開かないというが、まれに、薄く開いているのをみたという人間もいるとか。

職員G:
見たことあるよ。一回だけ。処理を急ぐモノ運んでる時だったから放置したけど。
ああ最近だと、あの赤い退治人さん。あの人がじぃっと壁見てたね。見えてたんだろうな。相棒の吸血鬼さんが引っ張ってってたけど。あれ危ないんじゃないかな。数年に一回くらい人喰ってるらしいよ、あの部屋……なぁんて。もしかして知り合い?吸血鬼さんの方、珍しい能力持ちでしょ? 協力してくれないかなぁ。ちょおっと血をくれるだけでいいんだけど。知り合いなら伝えといてよ。


case.6 まとわりつくもの
三階に多い話だ。廊下を歩いているときやデスクでの作業中、膝から下あたりに生暖かい何かが触れたと感じる事があるという。一度感じると、退勤するまで続く。
これに遭遇した職員は早退が推奨されているらしい。


職員H:
怖くはないけどねー。ただ、感覚はしっかりあるから転ぶんだよ。何故か決まって階段で。転ぶとまとわりつかれていた足を引きずられるっても聞いたことあるな。私は転んで足挫いただけだったけど。

収容者A:
「あの気持ち悪いのの話? したくないわ。ぬるぬるぬるぬるとおぞましい。私の脚があたるなら刻んでやるのに。ああいやだ」



case.7 予言掲示板
VRCには貼り紙をするタイプの物理的な掲示板が存在しない。月に一度張り出される出所不明の掲示物への対策を諦めた結果だという。(※本件、紙を愛する記者としては抗議したい)
放置と言うわけにいかなかったのは、貼られる掲示物の内容がーーーー  』





「おや、所長。『今月号』ですか?」
「ふん、まーた勝手に置いていった。……職員に注意喚起、あとはあの赤い愚物だな。今月はできる限り来るなと伝えておけ」
「今月は七不思議風か。凝りましたね、『記者さん』」
「研究の邪魔でしかないわ」
「所長はブレないなぁ。わりと便利ですよ、参考にしておけば変な現象避けられますから。……コレいつも通り焼いておきますね。『記者さん』が来月まで書けないように」