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溶けかけ。
2024-05-05 23:30:55
1998文字
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ほぼ日刊
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たまには、こんな日があってもいい
こどもの日に因んで、子供化したヌヴィレットとフリーナのお話です。
「ヌヴィレット、フリーナが小さくなった
……
ってヌヴィレットもかよ!!」
朝一番のパレ・メルモニアにパイモンの声が響き渡った。
「ご機嫌よう。旅人、パイモン」
幼くなったフリーナを抱く旅人とパイモンを待ち構えていたのは、これまた幼くなったヌヴィレットだった。
「なるほど、秘境の地脈異常によるものだったのか」
ヌヴィレットが顎に手を当てて頷く。彼の様子から心当たりがあるようだった。
「ああ。先日、君達の言う秘境に調査で行くことがあってな」
旅人とパイモンの視線の意味を察したヌヴィレットが言う。彼の視線はフリーナに向いていた。
「実はフリーナは記憶が混濁してるみたいで
……
」
「記憶が?
……
どういうことだ」
旅人が抱いていたフリーナを下ろせば、彼女は怯えたように旅人の後ろに隠れてしまった。ヌヴィレットがじっと見つめれば色違いの蒼玉からほたほたと大粒の涙が溢れた。
「ヌヴィレット
……
ちょっと見過ぎかな
……
」
旅人の言葉にパイモンも頷く。
「これは失礼した。怖がらせるつもりはなかったのだが
……
」
目に見えてしょんぼりしたヌヴィレットに幼いフリーナがおそるおそる近付いて彼のシャツを引っ張る。
「な、なかないで
……
」
ふるふると震えて、目にいっぱい涙をためながらフリーナはヌヴィレットを慰める。
「
……
泣いてはいない。心配しないでくれ」
ヌヴィレットがフリーナの頭を撫でれば溜まった雫がぽろり、と落ちた。
「失礼、少々触れても?」
「
……
?」
ヌヴィレットの言葉をあまり理解してはいなさそうな表情をしながらもフリーナは頷く。いつもの彼女が見たら、そんな許可の取り方は違法だ!と言いそうだと思いつつ、ハンカチを懐から出してフリーナの目元を拭い、旅人に向き直る。
「旅人、すまないが彼女のことは私に任せて貰えないだろうか?」
ヌヴィレットの意外な提案に旅人とパイモンが僅かに瞠目した。
「それは構わない
……
というか、かなり助かるけど
……
いいの?」
旅人の言葉にヌヴィレットが頷く。
「ああ
……
これ以上、この状態の彼女を人目に晒したくないのでな」
「えーっと
……
それはフリーナの安全のためってことでいいのかな
……
?」
ヌヴィレットがフリーナと手を繋ぐ。フリーナはきょとんとしながらも嫌がることなく握り返した。
「そうだ
……
と言いたいところだが、どちらかと言うと私の個人的な感情によるところが大きい。具体的に言えば、この姿の彼女を独占したいと思っている」
ヌヴィレットの言葉に旅人とパイモンは顔を見合わせた。お互いの顔は真っ赤に染まっていた。
「そ、そう
……
1日で元に戻るみたいだから
……
邪魔者は退散するね」
「た、旅人!おいら冷たいものが食べたいな!」
そそくさと二人は部屋を後にした。静かになった室内にはヌヴィレットとフリーナだけが残される。
「たびびとはかえってしまったのかい?」
残念そうな顔をするフリーナの手を少しだけ強く握る。何かで気を逸らさなければ旅人に付いて行ってしまいそうだとヌヴィレットは思った。
「フリーナ殿、一緒にお茶でも如何かな?」
ヌヴィレットがテーブルに用意したケーキや紅茶にフリーナは目を輝かせた。
「これ、たべていいのかい
……
?」
「勿論だとも。興味のない私が食すよりは甘いものが好きな君が食べたほうが有意義だろう」
ヌヴィレットの言葉にフリーナは頬を染めて喜び、立ったまま手を伸ばして、行儀が悪いと思ったらしく一生懸命にソファに乗ろうとしていた。
ヌヴィレットは彼女の隣に並び、水で踏み台を作るとフリーナの手を引いてソファに座らせた。
「ぬゔぃれっと、これおいしいよ」
ヌヴィレットの前にケーキを一口分乗せたフォークが差し出された。フリーナは彼が食べるのを緊張した面持ちで見ていた。
「
……
ふむ。甘さは控え目だが紅茶によく合うように工夫されているな」
ヌヴィレットの言葉にフリーナが嬉しそうに笑った。彼女の口には頬張ったためかクリームがついている。
「ついている」
ヌヴィレットがフリーナのクリームを指で拭うとぺろりと舐めた。はわわ、と言うフリーナを見ると恥ずかしそうに顔を紅く染めていた。
「フリーナ殿。眠るなら部屋へ
……
」
「んぅ
……
」
ケーキを食べている途中で眠気に襲われたフリーナを起こそうとするも、深く眠り込み起きる気配がない。抱き上げようにも子供の体では持ち上げることすらできなかった。
「
……
仕方ない」
ヌヴィレットはフリーナをソファに横たえると彼女を抱き締めて、最高審判官の上着を上から掛けて眠りについた。
「なんで僕、ヌヴィレットと寝ているんだ
……
?」
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