本日の仕事を終えて帰り支度をしていると、端末が震えてメッセージの着信を告げた。それを確認して、中也は危うく端末を取り落としそうになった。既の所で持ち直したが、珍しく動揺してしまった。
「どうかしましたか?」
「ああ、いや、なんでもねぇ」
隣にいた部下に不思議そうに尋ねられた。それをなんとか誤魔化して、端末をポケットに突っ込む。
「じゃあ、お先に」
「はい、お疲れ様です」
そそくさとその場を後にして、足早に廊下を進む。先程のメッセージが気になってついそわそわしそうになるのをどうにか堪えた。廊下には疎とはいえ部下の姿が見えるからだ。
車に乗り込み、心を沈めようと煙草に火をつける。努めて深く煙を吸って、吐いた。そこでようやく端末を取り出し、開いたままの先程のメッセージを表示させる。
メッセージはたった一言。「帰る」
大きなため息を吐く。
一体どういうつもりでこんなメッセージを送ってきたのだ。今まで来る時に連絡を寄越したことなどなかったくせに。
内心毒吐くが、嫌なわけではない。けれどなんというか、むず痒い気持ちになるのは仕方がないだろう。
変わったことは、たったひとつ。帰る家を同じにすると決めた。それだけだ。
太宰さんは「夕飯できてる?」ぐらいの意図しかない。
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