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夜明 奈央
2024-05-05 09:33:51
597文字
Public
中太SS
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中太 新幹線に乗ろうとする話
2023年5月26日初出
「ちょっと待ってよ」
スタスタと階段を上っていく中也を後ろから呼び止める。
平日の半端な時間帯の駅は空いていて、他の客はまばらだ。人波を避けなくても良いから、中也は片手にスーツケースを持っているとは思えないスピードでぐんぐん進んでいく。
あれは重力操作を使って軽くしている。絶対にそうだ。いくら中也が鍛えているからといってここまでの差が出るわけがない。だってあそこには2人分の荷物が入っているのだ。「どうせ疲れただのなんだの言って俺に持たせるんだろうが」と言った中也の意見はその通りだったし、最初から中也が運んでくれるなら太宰にとっても願ったり叶ったりだったから。
対して、太宰が持っているのは最低限の貴重品と、車内で食べる予定の2人分の弁当だけだ。
「ったく、このひ弱が」
舌打ちが飛んでくるが、階段を登り切ったところで立ち止まってくれた。別に急ぐ必要はないのだ。予約している列車まではまだ時間がある。のんびり行っても十分間に合うはずだ。
太宰がわざとゆっくり歩いて隣に並ぶと、呆れたように睨みつけられた。
「ねえ、これ、デートなんでしょ? なら手ぐらい繋ごうよ」
中也の手に自分の手を載せる。すぐに振り払われるかと思ったけれど、意外にも抵抗がないものだから、そのまま指を絡めた。
「ね?」
ちゅっとわざとらしく音を立てて中也の手にキスを落とすと、力強く引き寄せられた。
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