夜明 奈央
2024-05-05 09:19:47
590文字
Public 中太SS
 

中太 太宰が太って嬉しい話

2021年初出(詳細時期不明)

 むにむに さわさわ ぺろっ
 最近の中也は私のお腹がお気に入りらしい。2人でくっついてのんびりしているときなど、気が付いたらお腹を触っているし、最中なんて只管お腹の肉を触られ続ける。
「ねぇ、中也。何がそんなに楽しいの?」
「あ?」
 中也は顔を上げたが、名残惜しそうに手は私のお腹を撫で続けている。
「お腹。最近ずっと触ってる」
「あぁ」
 そこで漸く合点がいったらしい。
「最近ちょっと肉がついてきたなと思って」
「は?」
 ちょっと待て、ちょっと待てそれは。
「それ、私が太ったって言いたいわけ?」
 カチンときてまだお腹を撫で続けていた手を振り払った。
「なんだよ、怒るなよ。俺好みになってきたって褒めてんだぜ?」
 手を振り払われたのが不満なのか、ご機嫌取りでもするかのように頬に手を添えて目を合わせようとしてくるから思いっきり顔を逸らしてやった。
「手前なに出してもすぐ腹いっぱいだのなんだの言ってあんま食わねぇし、食っても肉つかねぇし、もうお手上げだと思って諦めてたんだが」
 そこでにやりと笑った中也が視界の端に映ったから、ちらりと視線を向けてしまった。すると、中也は心底楽しそうな顔で一言。
「手前も歳には勝てねぇんだな」
「さいあく」
 手近な枕で殴りつけてやったが、笑い声が聞こえるばかりだ。誰の所為でこんな歳になるまで生きることになったというのだ。


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