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いを
2024-05-01 17:14:08
1518文字
Public
タグ、掌編、その他
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ワードパレットまとめ4
※15歳未満の方は閲覧をご遠慮ください※
ワードパレットお借りしております。
それぞれフォロワーさんのお子さんお借りしています。
ふっかつのまほう(NEAR/我路さんと月)
我路の体はあたたかい。あたたかくて、となりにいると心地がいい。心もあたたかくなる。
その彼が目の前にいて、呼吸をしている。むき出しの首筋が月の視線の先にあった。ふとくちびるがゆるむ。とじられた瞼の青白い血管が見える。
毛布から腕を持ち上げて、我路のほおにふれた。眠っているからひんやりとしている。顔にかかる黒い髪の毛を手の甲でかきあげると、整った顔だちがあらわになった。
「
……
」
どこか楽しそうな顔をしている。いい夢を見ているのだろうか。月は笑って手を引こうとしたとき、手首をあたたかい手で掴まれた。
「起きていたんですか」
そう囁くと、我路は瞼を開いた。
「ついさっき。あんだけ見られたらな」
琥珀より薄い色。我路のほおは徐々にあたたかさを取り戻してきたようだった。月はその感覚に幸福感をおぼえて、そっと体を寄せた。手首からはなれた月より大きな手が背中に回る。肩甲骨をなぞるような感触に、月の肩がふるえた。
それを気付かれないように誤魔化すために、我路にくちづけた。乾燥した部屋にわずかな水音が響く。
我路の腕にちいさく爪をたてて声を押し殺した。
くちびるが離れると我路は、にっと笑う。もう戻れない少年のころのような、少し無邪気な笑顔だった。
月はその笑顔に弱い。それを自覚しているからゆるしてしまう。
「まだ時間があります。寝ておきましょう」
「ん」
しょぼしょぼとしはじめた目の我路に笑って、目をつむる。
じき朝になる。朝になったら「おはよう」と言って、朝ごはんをつくろう。トーストを焼いて目玉焼きをつくり、ベーコンも焼こう。そしてレタスとトマト、きゅうりのサラダも。残そうとする我路に「野菜も食べなければだめですよ」と笑うのだ。
約束された朝が、もうすこしでやってくる。
正しい僕だけを見ていて(刀神/定之さんと菊司)
すがすがしい匂いがする。手もとにレモンがひとつ。ひとつ隣の部屋に住む住人にもらったものだ。それを珍しく菊司は調理して、ハチミツレモンにした。
「おいしい? 定之くん」
「うん」
「疲れがとれるんだって。お隣さんからレモン5個くらいもらってね。そんなに食べきれないからハチミツレモンにしてみたんだ」
順調に減っていっている。皿に適当に盛ったはちみつ漬けのレモンは残り1個、になっていた。
「菊司サンは食べないの」
「俺のはまだ冷蔵庫にあるからいいよ。それより定之くんいい匂いになっちゃったね」
ソファに座った定之の耳もとにくちびるを寄せると、たしかに甘酸っぱいいい匂いがする。ぴくりと細いがしっかりと筋肉のついた肩が揺れた。
そのままひたいにキスをする。反射的に瞑られた瞼が視界の端で見えた。
「口、すこし開いてくれる?」
「?」
「ちょっと、ちょうだい」
ねだるような菊司の声色に、定之は視線をかすかに泳がせてちいさくくちびるを開けた。暗にキスをしたいと思ったわけだが、理由など今はどうでもよかった。
「ん」
定之のかすかな声を聞いて、咥内を舌でまさぐる。菊司の腕が腰に回り、そっと体を引き寄せた。
一度口を離してから定之の目を見つめる。定之の目から、菊司自身がどう映っているのかは、分からない。なぜなら自分は定之ではないから。だからこうしてくっついたりできるのだ。そうしてくちびるの端っこにもう一度キスをしてから体を離す。
「ごちそうさま。うん、なかなかおいしかった」
「おじさんみたいなこと、言ってる」
「あは。まあ、ね、俺ももうおじさんだから」
眼鏡はローテーブルの上にちゃっかりと、置かれていた。
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