三毛田
2024-04-25 22:01:37
1931文字
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悪怒闘凛牙ネタ

悪怒闘凛牙ネタ※ワ四月馬鹿企画の893ネタ
ニノ→カゲ途中経過

「二宮さん、知ってます?」
「何の話だ」
 窓の外を眺めていた二宮は、声を弾ませ問いかけてくる犬飼を一瞥すらせず促す。
「最近噂の、フルフェイスバイクマンです。一般人が新興組織の構成員に絡まれていると何処からともなく現れて、バイクで撃退するそうです」
「何でも鋼鉄製のガード付きだそうで、相手が拳銃を持っていても果敢に挑んでいくそうです」
「で、ヘルメットに変声機をつけているみたいで声は不明なんですって」
「そうか」
 特段興味がなさそうな声を返す。
……止まれ」
 停止を求める声に、辻は数メートル進んでから停車させる。
「二宮さん?」
「お前たちはここで待ってろ」
「はーい」
 とは言われたものの、犬飼も車を降り二宮を視線で追う。
「お前か?」
「あ?」
 突然声をかけられた青年は、泡だらけのスポンジを握っていた手を止めて二宮を見上げる。
「んだ、おめー」
「俺の質問に答えろ」
「急に人ん家の庭に入ってきて、意味わかんねえ。主語と述語をしっかりさせろ」
「最近目撃されているバイクの男はお前か」
「知らねえよ。つーか、それに答える義務はねえ」
 不機嫌そうに一度舌打ちし、またバイクを洗う。
……もしお前だとしたら、なぜわざわざ助けに入る」
「もしてめえがいう人間が俺だったとして、助けねえ理由は?」
「偽善者気取りか」
「これでも善良な一般市民だよ。ただのお好み焼き屋の息子の、がつくけどな」
 立ち上がってホースをバイクに向けて泡を洗い流し、スポンジも綺麗にすると首から下げたタオルで濡れた手を拭き。
「二宮組長が、何の用だ」
 ジトっと、感情の乗らない瞳で二宮を見て。
「俺のことを知ってんじゃねえか」
「この街でてめえのことを知らねえなら、モグリか最近この街に越してきた人間だ。近くで見ると面がいいな」
 下から覗き込むように見上げられ、二宮は一瞬たじろぐ。
「仮に俺がその変なやつだったとして、二宮組に迷惑はかけているか?」
「かけてねえな。ただ、俺の部下が興味を示している。調べられたら、無理矢理俺の前に連れてくるだろう。そうなると、家族に迷惑がかかる」
「ったく。で? 交換条件があるんだろ」
「お前の強さを見込んで雇いたい。と言いたいところだが」
「が?」
「俺の情夫になれ」
「そこで断ったら?」
「無理矢理にでも連れて帰る。車はすぐそこだ」
「誘拐宣言か? 鍵が刺さったままのバイクに俺が跨るのと、てめーが拳銃抜くの、どっちが早いだろうな」
 挑発するように目を細め、ホースを握る手に力を籠め。
「俺の方が早い。だが、お前を傷つける意図はねえ」
「俺の手に握られているものが何かよーく見てみろ」
 青年に言われ、二宮は彼の手元を見る。
「時間稼ぎは出来るな」
「だろ? 銃声が聞こえなきゃ、てめーの部下もここまでは来ねえ。俺がバイクでてめーを轢く方が先だ」
……今日は帰るが、色よい返事を期待している」
「ちゃんと雇用契約書を持ってこいや」
「ぶっ」
 イラっとしたのか、青年はホースを二宮に向けて水をかける。彼の行動を予測できなかったのか、水をまともに浴びて小さく悲鳴を上げる。
「二宮さん!?」
 びしょ濡れで戻ってきた二宮に、犬飼はタオルを車から出すと慌てて彼に渡す。
「どうしたんですか」
「「やんちゃな仔猫にかけられた」
「えー。そいつ、脳天ぶち抜きます?」
「相手は一般人だ。無意味な殺生はやめろ。警察の厄介になりたくねえだろ」
「そうですけど、二宮さんをびしょ濡れにしたじゃないですか」
「俺の口説きが甘かっただけだ」
「口説いたんですか?」
 運転席から降り、後部座席にタオルを敷きながら辻は驚いたように問いかけ。
「見事にフラれた。が、どっちでもいい。あの家の人間を調べろ。生意気そうな顔の方をだ」
「犬飼了解」
「辻了解」
 二宮の言葉に、二人は真剣な顔つきになり頷く。
 それから数日。
「影浦雅人。お好み焼きかげうらの次男で、主に宅配や仕入れをメインに行っているようです」
「黒髪金目で、一部から黒猫という愛称で呼ばれています。表でも裏でも、その愛称で呼んでいる一部からは大変人気があるそうです」
「趣味なのかわかりませんが、バイクを数台所持。店休日には、友人とツーリングに出掛けるようです」
「関係性はわかりませんが、例のバイクマンと背格好が似ているとのことです」
「影浦雅人か」
 口の中で青年の名前を反芻すると、二宮はニヤリと笑みを浮かべる。
「本人曰く一般人なので、ほどほどにしてください」
 ようやく獲物を見つけた。そんな表情を浮かべる二宮に、釘をさすように告げ、辻は資料を手渡す。