はるれに
2024-04-25 21:36:47
497文字
Public #SS(1〜30)
 


 手応えが浅かった。獣の怒りに満ちた唸り声が響き渡る。仲間を呼ばれたら少しキツイ。
 爪で引き裂かれた皮膚の血を拭うと止血はされていた。しかし臓腑まで完全に元通りとはいかないらしい。神経を苛立たせる痛みが絶え間なく襲ってくる。マスターの治癒術にケチをつけるつもりはない。魔力を垂れ流すより断然マシだ。中身がどうなっていようと槍が握れれば戦える。負ける気もない。オレの判断ミスでマスターが死ぬのはゴメンだ。
 彼に礼を言い下がらせてから槍を構える。
 後はオレの仕事だった。

 プロトがレイシフトから戻りその足で向かったのはキャスターの部屋だ。返事も待たずに上がり込んでキャスターにしがみつく。
「わお、おかえりプロト」
 キャスターは血まみれの髪に触れる。頭や身体を撫でくり回し表面上は怪我がないことを確かめると、プロトの背に手を回した。
「おつかれさん」
 プロトは限りなく自身に近い魔力質とキャスターの匂いのする首筋に鼻をうずめ、目を閉じた。
「ただいま」

















タイトルはお題配布サイト( https://nanos.jp/iwantfly/ )より