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Not Gonna Get Us リッチガール !R18!
①パパラッチに追われた大学生はるまこが高級ホテルで性交する話
②真琴くんを女の子だと思い込むナナハル高校生はるまこ
pixiv作品まとめ4
【Not Gonna Get Us】
『今日は会わないほうがいいかも』
立て続けにトークアプリの通知音が鳴り響いて、メッセージが送られてくる。
『いつものコンビニにいるんだけど』
『尾行?されてると思う・・・』
『ハルは部屋から絶対出ないで』
遙は溜息をついてからスマホをポケットに捻じ込み部屋を出た。
アパートのすぐ向かいにあるコンビニの店内を見回すと、一際目立つ見慣れた長身が哀れに背中を丸め縮こまっている。
「真琴」
後ろから急に名前を呼ばれて、ビクリと肩を上げてから振り返った真琴は、声の主を見ると大慌てで口をぱくぱくさせてから声を潜めた。
「ハル!来ちゃだめだって言ったろ!?駅からついてきてる人が
……
」
「店の中にそいつはいるのか?」
真琴はこくりと頷いて、窓側で雑誌を眺めている男を指さした。
「あの迷彩のジャケットの人
……
一緒の電車に乗ってたんだ」
遙は思わず吹き出しそうになる。
……
大都会で人を尾行する時にあんな目立つ恰好をする人間がいてたまるか。
たまたま駅からの行き先が一緒で、インパクトのある迷彩柄を覚えていただけだろう。
遙が金メダリストとしてメディアに露出する様になってから、真琴はこんな風に周囲の目を過剰に気にする様になった。
パパラッチなどと呼ばれる存在がいるのは知っていたが、遙にはどこ吹く風だ。
それならばと真琴の方がマスクにキャップ、黒縁の眼鏡で変装してくる。
真琴も何度かニュース映像に映ったことがあり、それを気にして
……
というよりは自分と遙が外で一緒にいるのを見られるのはまずいと思っているようだ。
モデルの様な長身、マスクや眼鏡越しでもわかる整った顔立ちの真琴が、人目を気にして街をこそこそと歩けば芸能人だと勘違いされて余計に目立ってしまう。
しかし真琴に視線を奪われた人々は、地味な恰好の遙に気付くことがなかったので作戦は成功していたと言えるだろう。
「真琴、行くぞ」
遙は再び溜息をついて手を引いた。
真琴はびくともせず、その手を引き返す。
「駄目だよハル!戻ったら住んでる部屋がバレちゃう」
「だったらこのまま出かければいい」
でも、と喚く真琴の腕を今度は思いきり引く。
二人は慌ただしくコンビニを出て行った。
雑踏の中を足早に歩く。
「どうだ?後ろ、ついてきてるか?」
「ううん
……
見当たらないかも
……
」
前を歩く遙の姿を見て、真琴の中にじわじわと罪悪感が拡がる。
自分があんなメッセージを送ったので、遙はほとんど部屋着のまま飛び出してきたのだろう。鞄すら持たず、ポケットの中にはスマホの形しか見えない。
今日は久しぶりに会うので遙の部屋でゆったり過ごす予定だったのだ。
「ハル、ごめんね
……
オレの家に行こうよ」
「いや、万が一ってこともある。真琴の部屋を知られるのも困るしな」
「オレの部屋は別に知られても
……
」
「
……
駄目に決まってるだろ。今日は何処かに泊ろう」
歩きながらスマホを操り手続きを完了させた。
宿泊料金の桁がいつもと違っていたような気がしたが今は忘れることにする。
地下鉄に潜り、数駅乗り過ぎてから地上に出るとすぐ側にハイクラスの有名なホテルがそびえ立つ。
当然の様に中に入って行く遙に真琴はあわてて声をかけた。
「ハ、ハル!?ここ入るの!?」
ああ、とだけ答えてガラスの回転扉を抜ける。
フロント前では、身なりの整った人々がスタッフのもてなしを受けている。
歩く度に足が沈み込むような絨毯。
高い天井からアンティーク調の照明がいくつも垂れ下がった、異国を思わせる優雅な佇まいのロビーをさらに奥へと進む。
煌びやかな扉の前に液晶端末があり、そこにスマホの画面をかざすとカードキーが出てきて扉が開く。
真琴はオロオロと遙の後ろをついていくしかない。
扉の中はそれほど広くなく、エレベーターホールがあるだけだった。
中に乗り込みカードキーをかざしてボタンを押す。
広々としたエレベーターの中でようやく遙が口を開いた。
「テレビの取材受けた時に使ったホテルだ。こうやって目立たない様に入れるって教えてもらった」
真琴は遙の顔をまじまじと見つめて呟く。
「凄いね
……
ハル、芸能人みたい」
高層階へ到着すると、目の前の扉を開けて素早く中へ入る。
はぁ、と安堵の息をもらす遙の隣で真琴が大声を上げた。
「わあ
……
!部屋、広い!綺麗!」
突きあたりの、本来なら壁である一面は窓になっていて、高層ビルのひしめく東京の眺めが一望できる。
それを望むように部屋の中央に置かれたキングサイズのベッドはメタリックなフレームで重厚感のある造りだ。
壁はホワイトとネイビーのツートンカラー。
大画面の壁掛けテレビ、記号のようなものが描かれた抽象画。
機能的な黒のデスクと椅子。
いわゆるアーバンスタイルに整えられた室内。
奥に見えるもう一部屋分のスペースは茶色い皮張りのソファと光沢のある木のテーブル、クラシックな赤い絨毯と、また少し違った雰囲気だった。
スイートルーム、という程ではないがセミスイートといった所か。
真琴は瞳を輝かせて部屋の中を歩き回る。
「こっちのテーブルに飲み物とお菓子用意されてるよ!」
「お風呂すっごい広い!」
「あれ見えてるのスカイツリーじゃない!?」
一通りはしゃぎまわった後で、真琴の顔が曇った。
「この部屋
……
すっごく高いよねきっと」
窓際に立つ真琴の言う高さとは高低のことではないだろう。
「お金、オレが払うから!」
「別にいい。俺が選んだ部屋だ」
長い沈黙の後、真琴が途切れ途切れに喋り出す。
「
……
オレの勘違いで、ハルに迷惑かけちゃって、ごめんね」
「ハルの住んでる所が誰かに知られたりしたら、危ないって思っ
……
」
言葉に詰まった真琴の瞳から、大粒の涙が零れ落ちる。
「せっかく久しぶりに会えたのに
……
ハルに、めい、わく
……
」
子供の様に下唇を噛みしめて、ぐす、と鼻をすする真琴の元へ歩み寄り、
隣に立って背中を撫でてやる。
「お前と静かな所でゆっくりしたかったんだから、これ以上の場所はないだろ」
……
まさか泣くとは思わなかった。
オリンピックの後、急激に変化した周りの状況に困惑しきりだったが、それは真琴も同じだったのだろう。
お互いに支え合いたいとは思っても、遙は海外や地方へと遠征が続き、東京に残された真琴の負担は遙が思っていた以上に大きかったようだ。
疑心暗鬼になって、一人で不安に耐えていたのかもしれないと思うと胸が痛んだ。
「なあ、真琴」
今更、言葉にしなくても。
ずっと当たり前だったことだけれど、これからの二人のために伝えておかなければ、と遙は真剣な眼差しを向けた。
「岩鳶にいた頃、あの小さな町で俺達がしてたこと、誰か一人でも知ってたと思うか?」
真琴は涙を拭いながら答えた。
「
……
?誰も知ってるわけ、ない
……
」
「じゃあ、今ここで俺達がこうしてること、誰か知ってるか?」
「
……
知らない、と思う」
不思議そうな顔で見つめる真琴を諭すように続ける。
「昔から、俺達のことは俺達にしかわからない。
俺の世界には真琴しかいないし、真琴の世界には俺しかいない」
真琴が微笑んで頷く。
まるで目の前に花束でも差し出された様な輝き。
遙はその眩しさに視線を窓の外に向けた。
「この先も、ずっと。
……
そうだろ?」
感極まった様に真琴が抱き付いてきて震えた声を出す。
「
……
うん」
長年一緒にいる幼なじみで親友。
恋人になってもその側面が失われたわけではないのだから、こんな風に愛を囁き合うのは、全くもって気恥ずかしく、くすぐったい。
遙は強く抱きしめられて、眉間に皺を寄せ目を閉じる。
と、久しぶりの真琴の体温と甘い香りに込み上げてくるものがあった。
「
……
することもないし、セックスでもするか」
唐突な言葉に真琴は遙を引きはがし、いつもの調子で騒ぎ始めた。
「もう、何言ってるんだよ!ハルったら!」
「元々、今日はするつもりだったんだからいいだろ」
「そ、そういうことじゃなくて!ここ普通のホテルだよ!?こんなに綺麗な部屋なのに
……
!」
遙はまたもや吹き出しそうになる。
ラブホテルでなければセックスできないとでも思っているのか。
「別に、中で何をするかは客の自由だ」
「そ、それに、まだこんなに明るいし!」
「カーテン閉めたら暗くなるぞ」
言って遙がリモコンのスイッチを押すと、ザァ、と音をたててゆっくりカーテンが閉まっていく。
「
……
久しぶりなんだから、いいだろ」
どうにも真琴はこの言葉に弱いらしく、微かな呻き声を上げてベッドに視線を向けた。
「あんな綺麗なベッドで
……
」
「お前にぴったりだろ」
言ってから遙は猛烈に恥ずかしくなってバスルームの方と引っ込む。
こんな言葉が口をついて出るとは、自覚はなかったがやはり少し浮かれているようだ。
ガラス張りの浴室の中、天井のレインシャワーと金の足がついた白い大きなバスタブを横目に、色鮮やかなタイルが散りばめられた鏡台を漁って、ボディローションと書かれたボトルを手にする。
部屋に戻ると、案の定、真琴は顔を真っ赤にしてベッドに腰掛け、そわそわと落ち着かない様子だ。
「ほら、服汚れるから全部脱げ」
言いながら遙が投げたボトルがベッドの上に転がる。
それの中身が何の役割を果たすのか理解した真琴がますます動揺していく。
いつもの様に、遙は目を離した一瞬の隙に裸になっていた。
「もう
……
ハルはどこでも脱いだままなんだから」
脱ぎ捨てられた服を拾い集め、近くの椅子に服をかけてから、背中に遙の視線を感じてあせる。
これでは結果的に思いきり気を引いて、散々焦らしてから目の前で脱ぐことになってしまっている。
漫画的な表現であれば瞳の中がぐるぐると渦を巻いて、汗が飛び散っている所だが、何でもない素振りで背を向けたまま上着とシャツを脱ぐ。
ちらりと頭だけ振り返ると、やはり遙がその背中を見つめていたので真琴は情けない声をあげて抗議した。
「脱いでるんだから見るなよぉ
……
!」
脱いでるから見てるんだろ、という言葉を飲み込んでから、遙はベッドの上掛けを引きはがして仰向けに寝転がる。
今から裸で抱き合うのに、服を脱ぐのを見られるのが恥ずかしいなんて。
こういう生来の初々しさ、慎み深さが自分の性的な魅力を一層際立たせていることに気付いてるのだろうか?
存分に興奮が高まったところで体に意識がいく。
キングサイズのベッドは心地の良い反発で体を支えてくれている。
ホテルのシーツといえば糊がかかりすぎてごわついたイメージだが、こちらは柔らかく上質な肌触りだ。
部屋の中は程よい湿度で、暑くも寒くもない。
置いてあるもの全てが洗練され、整えられた眺め。
ぼんやりしていると不意にベッドが沈み込み、先程は隠されていた体が眼前に惜しみなく晒される。
真琴が覆いかぶさって甘える様に口付けてきた、と思うとベッドの足元に乱雑に丸まっている布の塊を未練がましく見つめて呟く。
「ハルぅ
……
お布団かけよ?寒くない?」
「嫌だ。いらない」
真琴はこんな風に要求がある時だけ、積極的に甘えて猫撫で声を出してくるのだから困ったものだ。
カーテンを閉めたとはいえ、明るい室内で昼間から性行為をするのは耐えられないからせめて布団の中で、ということだろう。
鬱陶しさを感じて、遙はお決まりの台詞で真琴を納得させることにした。
「久しぶりなんだから
……
ちゃんと見たい」
ぐるりと向きを変えて、成す術のない真琴を下にする。
恥ずかし気に伏せられるフォレストグリーンの瞳。
普段目にすることのない豪奢なベッドにいつもと同じ真琴。
この従順で美しい身体はこの部屋にある何よりも高価で上等なものだろうが、それを所有しているのは自分だ、と遙は贅沢な気持ちになる。
視線に耐えかねたのか真琴が口を開いた。
「このベッド、すごく寝心地いいね」
「いつか俺が買ってやる」
またもや気取った台詞が飛び出して、遙は自分がこのホテルの雰囲気に完全に飲まれているのだと自覚した。
「ふふ。今日のハル、なんかカッコいい」
真琴の熱い視線を受け止めてから、ボトルの中身を手の平に搾ると、華やかな香りが漂う。
これから何をされるのか一瞬忘れてしまった真琴がその香りに深呼吸した隙に膝の裏を掴んで、足を広げてやる。
性行為に使うローションとは違って、さらりとした乳液のようなそれをたっぷりと秘部の周りに塗りたくりながら、遙は股間に熱が集まるのを感じた。
真琴はというと、陰嚢の裏や会陰までローションでびちゃびちゃにされて悲鳴に似た声をあげる。
「ハルっ
……
、ベッド汚れちゃうよぉ
……
!」
「高い金払ってるんだからいいだろ」
「そ、そういう考え、良くな、い
……
っ」
遙を諫めながらも真琴は快感に身を震わせた。
すでに遙の指が中に侵入して、ぐちゅぐちゅとローションを塗りこめている。
「んっ
…
、んぅ
…
っ!」
この程度で口を腕で抑え、身体を跳ねさせる真琴に遙は満足した様子で問いかけた。
「俺がいない間、一人でしてたか?」
「し、て
…
っ、ない
……
」
そうか、と素っ気なく答えて愛撫を続ける遙の腕を、ぎゅ、と掴んで真琴が言う。
「ハルにしてもらった方が、気持ちいい、もん
……
」
甘えるような仕草と口調。
真琴もまた、ハイクラスのホテルで堂々と振る舞う遙の雰囲気に飲まれてしまっている様だ。
それを感じとって、今日の様々な出来事の巡り合わせに感謝した。
こんな事で真琴が甘えてくれるなら、たまには高額の出費も悪くはない。
「真琴は良い子だな」
一旦愛撫をやめて、素直になれたご褒美とばかりに頭を撫でて口付けてやる。
舌先を何度もちろちろと舐めあげられるその動きから何かを連想したのか、興奮と快感で真琴の陰茎からじわりと先走りが溢れた。
訳もわからず頭を撫でられて、滅多にないその悦びに真琴の顔は蕩けていくが、
遙のほうはいつもの様に意地悪をしたいという衝動が抑えられない。
「ベッド汚したくないなら、出すなよ」
「ぇ、あ
……
っ!?」
ぬぷ、と遙の陰茎がゆっくり侵入してくる。
それに気を取られていると、硬く勃ちあがった胸の先端に軽く噛みつかれて身体に痺れが走った。
「あ、ぅ
……
っ
……
っ!」
胸の上で遙の唇が食むように動いて、先端にしつこく歯をひっかけられる。
「や
……
ぁっ!駄目
……
!」
訴えも虚しく遙は腰を打ち付け、さらには陰茎の先端をざりざりと指で擦り始めた。
こうして性感帯を三点責めされると、真琴はいつもすぐに達してしまう。
しかし、ベッドを汚してはいけないという思いから、今日は必死に耐えているようだ。
それがますます遙を煽り、愛撫は激しいものになっていく。
早急な強い動きで性器を擦られ、乳首を摘まれて、絶え間なく指で転がすように弄られる。
最初から中を激しく責め立てられて、真琴は一気に全身に襲い掛かる快感に絶望を感じた。
「ひっ
……
う゛ぅ
……
っ!」
それでも握り拳に力を込めて、足の指をぎゅうと丸め、何とか快感を逃そうとする。
自然と激しい声が上がって、恥ずかしくてたまらなかったが、形振りかまっていられない。
ふっ、ふっと短く息を吐く、唇を思いきり噛みしめて息を止める、或いは適度に脱力して遙の圧力を逸らす。
あらゆる方法で身体から感覚を離そうとするが、それも長くは続かない。
耐えきれず腰を引いてもすぐに引き戻されて、さらに深く打ち付けられる。
しつこく続けられている胸への悪戯も、性器を扱く速い動きも、とっくに許容範囲を超えていて、真琴は悲鳴の様な喘ぎ声しか出せない。
「ん゛んっ
……
!あ゛
……
っ!」
少しでも快感にフォーカスすれば一瞬で昇りつめてしまう。
喚きちらして呼吸を乱し、何とか耐え続ける。
が、いつまで我慢するつもりなのかと痺れを切らした遙が作戦変更とばかりに切なげな表情で訴えた。
「真琴
……
っ、キツい
……
」
遙の苦しみを感じて、悲しいことに母性本能の様なものが咄嗟に発動してしまう。
力を抜いた次の瞬間、今まで蓄積されていた快感が足のつま先から全身を貫くように上がってきて真琴は大きく仰け反った。
「あぅう゛
……
っ!あ゛っ
……
あ!!」
熱を持った乳首がびりびりと甘く痺れて、痛いくらいに張り詰めた陰茎が射精できずにドクドクと脈うち、腹の奥底から電気のように激しい衝撃が繰り返し伝わってくる。
限界まで耐えてから迎えた絶頂は、意図せずドライオーガズムの凄まじいものになってしまった。
「は
……
、へ、ぁ
……
」
それでも何とかベッドを汚さず済んだと安堵したのか、気が抜けきってだらしなく舌を出した真琴の口から涎が垂れ流されている。
遙は舌ごとそれを舐めとって微笑んだ。
「
……
次は俺の、零すなよ」
まだ痙攣している中の奥深くへと腰を進める。
最奥の肉壁に陰茎の先端をどちゅどちゅ打ち付けてやると、真琴は弾かれた様に身体を跳ねさせ、情けない声をあげた。
「んひぃ
……
っ!い゛ぅ
……
っ!」
図らずも、差し出す形で遙の前に胸を仰け反らせると、両方の乳首を思いきりつねられる。
引っ張る様に愛撫されて、たまらず逃れようと背中を丸めると今度は性器を擦られる。
遙の動きに合わせて、自分も無様にへこへこ腰を振る羽目になってしまい、羞恥で頭が真っ白になる。
その姿に興奮したのか遙が動きを速めた。
熱い杭がずんずんと容赦なく打ち込まれると、逃れようのない快感が腹の中を暴れまわる。
濃い雄の精液を行き止まりにびゅくびゅくと叩きつけられ、真琴はその刺激で再び緩い絶頂を迎えた。
「んあっ、あ゛ぁっ!熱
……
ぅっ!」
一度ドライオーガズムを経験すると、次は中で簡単にイくようになってしまう。
遙が陰茎を引き抜き、意地悪く秘部を見つめてくる。
真琴はそこに力を込め、太腿を閉じて顔を逸らすが、すぐに足に手をかけられる。
イッたばかりで力の入らない身体は、たやすく目一杯に開かれてしまった。
「やだ
……
ぁ
……
っ
……
」
だらしなく広げきった両足。
震える腕が、胸の前で祈る様に重なっている。
拒絶の言葉とともに真琴の瞳に涙が浮ぶと、遙の心臓はドクンと高鳴った。
情欲を隠すような甘えた瞳も魅力的ではあるが
……
やっぱり。
こんな風に困り顔で涙を浮かべた真琴に、どうしようもなく興奮してしまう。
泣き声で嫌がれば嫌がるほど
……
。
いつから自分の性癖はこんな風に歪んでしまったのか。
久しぶりに会ったのだから、とびきり優しく、思いきり甘やかしてやりたいのに。
非日常的な場所でのロマンティックなムード。
どんなシチュエーションでも、いざ真琴のこの身体を目の前にすると理性は簡単に吹き飛んでしまう。
「真琴
……
もういいから出せ。体に悪いぞ」
笑みを押し殺し、無遠慮に真琴の秘部に指を突き挿す。
二本の指で中をぐぱ、と思いきり拡げると、どぷりと精液が洩れる。
「拡げちゃ、だ、め
……
!」
すぐに真琴が秘部を抑えようとするが、遙は中の液を出し切ろうと無防備な真琴の下腹部を手の平で思いきり押してやった。
「
……
っ!?」
ぶぴゅ、と卑猥な音がして秘部から精液が吐き出されたその数秒後に、真琴は大きく仰け反って、激しく震えながら射精してしまう。
「あ
……
っ、ぇ
……
あ゛っ
……
!?」
何が起きたかわからず、真琴はビクビクと仰け反ったままイき続け、勢いよく何度も吐精している。
遙はぽかんとしてその様子を見つめていたが、すぐに理解した。
真琴は強く腹を押された外からの刺激と、秘部から勢いよく抜け出る精液の感触で達してしまったのだと。
びゅ、と吹き出た真琴の精液は自身の胸を濡らして滴り、僅かに遙の顔に飛沫が飛んで来た後にベッドのシーツへぽたりと落ちた。
たった今起きた出来事に対して羞恥を感じる程の思考力は真琴にはもうない。
へなへなと遙の方へ突っ伏してうわごとの様に呟き続ける。
「ベッド、汚し
……
、ごめんなさ
……
」
遙は長く、熱い息をふぅっと吐き出す。
自分で自分をコントロールできなくなる様な、微かな恐怖。
昂りに寒気を感じながらいつもより低い声で呼びかけた。
「
……
真琴。もう我慢しなくていいから」
力なく突っ伏した身体の背後にまわり腰を掴んで引き上げ、再び怒張した自身をすっかり緩んでしまった真琴の入り口に押し当てる。
「気が済むまでイけよ」
ばちゅ、と水音が出るほど勢いよく腰を打ち付けると真琴の背中がしなって、その腹と陰茎がシーツに擦りつけられた。
「ん゛
……
っ
……
ぉ!」
その摩擦で真琴は再びベッドにびゅうびゅうと射精してしまってから泣き喚く。
遙に中を抉られる度に、ぷしっ、と先端から液体が押し出されてしまう。
「あ
……
っ、う゛ぅ!ごめんなさいぃ
……
っ!」
遙は完全に我を忘れているようで、真琴の両腕を手綱の様に後ろへ引き、執拗に下からずぶずぶと突き上げては中出しを繰り返している。
「ハル、止めて
……
っ!も、やめ
……
っ!」
中で出された遙の精液が泡立って溢れ、尻の間を伝う。
内腿に流れる温かい液体の感触すら、ぞくぞくとした刺激になって真琴を翻弄する。
秘部に力を入れて必死に締めてみても、太い肉棒がまだぐぽぐぽと音をたてて出入りしているので無駄な努力だった。
中は摩擦ですっかり麻痺状態だが、奥に当てられる感覚はいつまでも快感を生み出してくる。
遙の方もやはり自身の先端が奥に吸い付かれると気持ち良くてたまらないようだ。
限界が近づいたのか一度手を離し、真琴の腕ごと後ろからかき抱くと、少しでも奥に入ろうと夢中で腰を押し付けてくる。
真琴は突っ伏したままの苦しさに呻きながら、胸と肩でなんとか自分の身体を支えていた。
押さえつけられながらも、かろうじてついている両膝のせいで尻が高く突き出され、遙は真琴の下半身にのしかかるように体重を乗せ必死にピストンを繰り返す。
その様は上品な室内に似つかわしくなく、まるで動物の交尾のようだ。
「はる、ぅ゛っ!もう
……
許して、ぇ
……
っ!」
喉から押し出された哀願を聞きながら真琴の背中に噛みつき、これでもかと射精する。
遙は心地の良い疲れを感じながら自身を引き抜いて、ふと思いついた。
「真琴が、さっきみたいにイくとこ
……
また見たい」
真琴は混乱状態で要求を理解できず気の抜けた声しか出せなかったが、ぼんやりと顔だけこちらを向く。
「は、
……
ぅ
……
?」
完全に呆けて瞳の焦点すら合っていない、涙でぐちゃぐちゃの顔もたまらなく愛らしくて、遙の加虐心はますます高まっていく。
激しい心臓の鼓動を感じながら、すでに精液を垂れ流している秘部を指で押し広げ、下腹に手をまわし、再び勢いよく押してやる。
「っ~~~
……
!」
真琴は声にならない声で仰け反った後、崩れ堕ちる。
秘部からぶぴゅうと大量の精液を吐き出して、ほとんど同時に透明な液体が陰茎から吹き出した。
「ん゛っ
……
!い゛、ぃ
……
ぃ
……
っ!」
突っ伏した真琴の尻の間から丸見えの秘部がぱくぱくと収縮する度に、白濁が溢れ出て止まらなくなっている。
土下座のような恰好でビクビク痙攣を続けるその背中を見て、遙は抑えきれない愉悦に口の端を引きつらせてから、意地悪く囁く。
「綺麗なベッドが台無しだな
……
」
「ご、めんな
……
さ
…………
」
真琴はほとんど酸欠と脱水状態で意識を手放した
――
。
遙はシャワーを済ませたバスローブ姿で、シーツを濡れタオルで叩いている。
その横では同じ姿の真琴が喚き散らす。
「ハルの馬鹿ぁ
……
っ!汚すなって言ったくせに!」
「もう綺麗になった。寝る頃には乾いてるだろ」
散々セックスに耽って、ほんの少し眠ってしまったものの、時刻はまだ18時になった所だ。
遙は真琴の非難よりも自分の空腹を優先させる。
ルームサービスで運ばれてきた鯖定食とカレーをテーブルに並べると、真琴がくすくす笑い出した。
晩餐会でもするのだろうかと思うような飾りの大きなテーブル。
そこにこじんまりと置かれた質素な食事。
それを前に裸同然の二人。
アンバランスさに笑いが止まらない。
先程の行為への怒りはどこかへ行ってしまった様だ。
「こんな所で食べるメニューじゃないよね」
「どこで食っても鯖はうまい」
食事を終えると、高層階からの夜景を堪能しながら他愛もない会話をして過ごす。
遙と真琴の間には、いつ、どこにいても変わらない時間が流れている。
あっという間に夜は更けて、二人はキングサイズのベッドの中央で身体を寄せ合い眠りについた。
窓から見下ろす白い朝の美しい街並み。
遙は名残惜しさを感じながら部屋を出ようとドアに手をかける。
真琴も同じ気持ちのようで何度も部屋の中を振り返っていた。
地上に降りるエレベーターの中で、遙は最後にもう一度このホテルの持つ力を借りることにした。
「真琴。周りのことは気にするな
……
俺達だけがわかってればいい」
頷く真琴の顔は喜びで満ち溢れている。
「うん。ハル
……
大好きだよ」
鼻にかかった甘い声。
予期せず優しく頬に唇を落とされて、遙は硬直した。
「
……
っ!」
直後にエレベーターが開いて二人は赤面しつつ足早に外へ出る。
真琴が外でこんな大胆な行動に出たのは初めてのことだ。
場の持つ雰囲気の力を改めて感じながら、朝の澄んだ空気の中へと駆け出した。
「
……
ほら、行くぞ」
遙の差し出す手をとり、真琴が微笑む。
二人の姿は通勤で込み合う人波の中に紛れて、すぐに見えなくなった。
【Rich girl】
いつもの様にエプロンを着けて手際よく夕飯の支度を始める。
つけっぱなしのテレビから流れる、おそらく教養番組であろう情報に耳を傾けていると、遙は危うく持っていた包丁を落としそうになった。
『性別はグラデーションであり、完全な男性、完全な女性というのは存在しません
……
性の自認に限らず皆、両方の性ホルモンを持っておりその割合は人によって異なります
……
また、心と持って生まれた身体の性別が一致しない性同一性障害における定義は
……
』
テレビの前に移動して立ち尽くす。
遙は今までの全てに合点がいって、全てが腑に落ちた気がした。
……
どうして今まで気付かなかったのか。
いや、気付いてやれなかったのか。
とてつもない責任を感じて悔やむ。
しかし、そういうことであれば何も問題はない。
世界は自分が思っていたよりも、ずっと自由らしい。
登校中、隣を歩く真琴の姿を横目で見る。
昨晩、遙が達した結論というのはつまり。
『真琴は見かけは男だが、心は女性なのだ』ということだった。
時代が進んで明らかになってきている人間の多様性。
真琴が差し出す無償の愛情と、時折向けられる激しい執着。
辻褄が合うとはまさにこの事だ。
……
真琴はきっと自分でも気付いていない心の奥底で、俺に恋愛感情を抱いている。
考えれてみれば、真琴はクラスの女子と同じだ。
可愛い物が好き。甘いものが好き。怖がりで、すぐ泣く。
いつも笑顔で、誰にでも優しい。
おしゃべりでお節介で流行り物に目が無くて
……
。
挙げだしたらキリがない。
昔から一緒にいた自分が気付かなかったのだから、真琴自身が気付いていなくても無理はない。
もしくは真琴は怖がりだから、薄々気付いてはいても見ない振りをして、蓋をしてしまっているのかもしれない。
それならば、真琴が本当の自分を出せるように出来る限りのことをしてやろうと思った。
「真琴、髪伸びたな」
「うん、そろそろカット行きたいんだけどね」
「そのくらいの長さも、かわいいと思う」
その結果がこれだ。
ネットで収集した【女性を喜ばせる言葉】を鵜呑みにして真琴に告げる。
「そ、そうかな
……
?嬉しい、けど
……
」
真琴の驚きと戸惑いを他所に、遙は暴走していく。
「お前は可愛いんだから、もっと自信もて」
「俺の前では本当の自分を出していい」
真琴はひたすら?マークを浮かべて、瞬きを繰り返すしかなかった。
「う、うん?ありがと
……
?」
数日後。
運よく二人きりの部室で、遙はラッピングされた箱を真琴に手渡した。
「真琴が好きそうだと思って」
「え!?くれるの
……
?開けてみていい?」
真琴は喜んで、丁寧に包みを剥がす。
箱の中身は小さなポーチだった。
リアルな猫の顔がいくつも印刷されている。
本当は女の子らしいピンク色にしたかったが、真琴が好きなパステルグリーンを選んだ。
「わあ
……
、可愛い!でもどうして急に?」
「別に。言っただろ。お前が好きそうだと思って」
「あ、ありがと、ハル。
……
大切にするよ」
それからさらに数日後。
教室で机を女子達に囲まれている真琴の姿があった。
「橘くん、それポール&ジョー?」
「可愛い~~!」
ジュースを買いに行こうと取り出した、財布代わりのポーチを見られたのだ。
「あはは
……
オレ、猫が好きで
……
」
「なんか橘くんに似合ってるよね~!」
「わかる!違和感ないよ」
それを見ていた遙は自分が良い仕事をしたと誇らしくなった。
真琴も本当はむさくるしい水着姿の男達から離れて、ガールズトークをしたい時もあるだろう。
そのきっかけを作ってやれた上に、若い女性が好むブランドのチョイスを褒められて、さらに女子達に仲間だと認められたようだ。
自分は意外にできる男なのだと、踏ん反りかえりたい気分だった。
しかし真琴と少しでも長く会話をしたい連中がきゃあきゃあといつまでも騒いでいるのを見ると、複雑な気持ちになる。
外側だけ見れば、校内で一、二を争う王子様的な存在が取り巻きの女子に囲まれて微笑んでいるようにしか見えない。
……
いや、真琴はあの輪の中で本当の自分を解放しているはず、だ。
『大切なことは目には見えない』
全く神様はどうしてこんなに世の中を複雑に創りあげたのだろうか。
放課後、鮫柄との合同練習を終えて二人で歩く通学路はすっかり暗くなっている。
遙の頭の中では凛や他の部員と笑いあう真琴の姿がぼんやりと再生されていた。
……
真琴が、俺を好きなのは間違いないと思う。
でも、そもそも、どうして。
ただ単に俺は、昔から真琴にとって一番身近な男だ、というだけではないのか。
であれば新しい出会いが真琴の心を変えてしまうこともあるかもしれない。
けれど、俺に褒められてからそのままの髪も、明らかに女物のポーチを使ってくれているのも
……
。
長い時間がかかっても、少しずつ真琴が自分の心に気付けばいいと思っていたが、そんな悠長なことでいいのだろうか。
……
それほどの時間が俺達に残されているのだろうか。
沈黙したまま何やら考え込んでいる遙を心配してか、真琴が話しかける。
「
……
ハル、何かあった?」
返事が無いのを見越して真琴は続けた。
「なんか最近のハル、ちょっと違うっていうか。凛のこと、色々あると思うけどオレに何かできることがあるなら
……
」
何やら見当違いの真琴の考察を無視して遙は決心した。
まず、何より自分が向き合わなければ。
「真琴は
……
俺のこと好きか?」
「えっ!?え
……
?」
唐突な質問に真琴は素っ頓狂な声をあげてから、また何か見当違いの考えが浮んだのか、真剣な口調になった。
「
……
もちろん!ていうかオレだけじゃなくて、皆ハルのことが大好きだよ」
「俺が、真琴にキスしたり、身体に触りたいって言ったら、嫌か?」
「え
……
」
真琴は絶句している。
これは夢だと思った。
けれど、質問に答えなくてはならない。
遙に苦悩の表情をさせたままでいるのは耐えられなかった。
「
……
嫌じゃないよ。ハルなら」
問いかけの真意が掴めず、「小さい頃はお風呂も一緒だったし」と続けようとしたが、遙は強引に真琴の手を引いて先を歩き始める。
無言のその圧力に、真琴はされるがままになるしかなかった。
連れ込まれた遙の部屋で、息がうまくできなくなって喘ぐ。
何度も口付けられては舌を絡められて、未知の刺激に頭がぼんやりとする。
溢れてくる唾液を舐めとられ、言葉を発しようとする気力さえ失われていった。
一体、何が起きてこうなっているのか、答えを導き出すことはできない。
しかし、先程の遙の問い、『嫌か?』と聞かれれば嫌ではないからこうして行為を受け止めている。
自分が長い間、遙に捧げたすべて。
それらは見返りを望んで行われたものではないが、心のどこかで、いつか何らかの形で報われるもの、という気持ちがないわけではなかった。
しかしそれがこんな形で返ってくるとは予想だにしていない。
「俺が全部受け止める。本当の真琴のこと」
長い口付けが終わると、遙の両手が頬を挟む。
優しく囁かれても、なにひとつわからない。
本当の自分、とは何なのか。
けれど、遙にこんなことをされても何も言えない自分がいる。
遙に対して、友情よりももっと複雑な感情を抱えている自分が、確かにいる。
それを見透かされてしまったのかと真琴は情けない気持ちになった。
そして同時に「受け止める」と言ってもらえたことに限りない喜びを感じた。
自分から遙に触れることはできないけれど、せめて。
「ハルが好き
……
何されても、嫌じゃない」
今出せる精一杯の答えを口にする。
「わかってる
……
今まで気付いてやれなくて悪かった」
遙の笑顔は今まで見たことがないほど優しいものだった。
それからの日々は真琴にとっては、真綿で首を絞められるという言葉が相応しいように思えた。
「全部俺が教えてやるから」とリードされ、毎日の様に身体を重ねる羽目になる。
高校生という若い身空なので耐えられないことはないが、遙の言葉に疑問を感じることが度々あった。
「もし男と一緒に泳ぐのが嫌なら、無理するなよ」
「俺の前では、好きな服装でいいぞ」
何故、遙がその結論に至ったのかは全く見当もつかないが、段々と全体像が見えてくる。
……
もしかして、身体と心の性別が一致していないと思われている?
あの時、遙のことが好き、と伝えたことによって、自分の心が女性だと認めたことになってしまったのかもしれない。
今更どうすれば、と後悔がわきあがってくる。
自分は遙を騙してしまったことになるのか?
けれど、お互いに何ひとつはっきりと言葉にした訳ではない。
遙の思い違いであることをさりげなく理解させることはできないのだろうか。
そう思っていた矢先のこと。
「真琴が喜ぶと思って」
遙の部屋で。
目の前に掲げられた女性物の下着を見て、真琴はとっくに行きつく所まで来てしまっていることに気付いた。
「コスプレ用?らしい。次はちゃんと真琴に選ばせるから」
遙の言葉通り、フリーサイズで作られたピンクの妙な光沢を放つド派手なブラジャーに、これでもかとフリルのついたショーツ。
これらを身に着けた自分の姿を想像した真琴は血の気が引くのを感じたが、何とか顔の引き攣りを抑えて反応する。
「これはちょっと、恥ずかしい、かも
……
」
「
……
派手だったか?確かに真琴なら白の方が似合うとは思う」
せっかくだから着けてみてくれ、と手渡されて真琴は泣き出したいのを必死にこらえる。
しかし、自分が喜ぶと思ってこれを用意した遙の気持ちを無下にできるはずなどない。
頭の中を空にして、何も考えずに服を脱いで下着を身に着ける。
罰ゲームでコスプレを指示された笑い者の出来上がりだと思った。
真琴の気持ちを知る由もない遙は嬉しそうに微笑んでいる。
「自分が女の子だって、少しは実感できたか?」
疑惑が確信に変わる。
遙は完全に誤解している。
真琴は不満気な顔で首を横に振った。
「
……
オレは女の子じゃない。もう脱ぎたい」
「真琴
……
?」
遙が慌てた様子で近づいてくる。
「
……
悪かった。俺は真琴の外見を女の子にしたいわけじゃない」
時折、発揮される謎の察しの良さ。
真琴が自分の身体の理想と現実に失望したとでも思ったのだろうか。
遙が気を利かせてブラジャーのホックを外すと、不意に真琴の胸がずきんと痛んだ。
……
本当なら、これはハルが、本物の女の子にすることなんだ。
遙は黙ってしまった真琴の機嫌をとろうと、額に、髪に、頬に、次々とキスを繰り返す。
「真琴、悪かった。ごめん」
「こんなもの無くったって、お前はちゃんと女の子だから」
気が付くと身に着けた下着をすっかり剥ぎ取られて、遙の下になっている。
「ほら、真琴のココ、いつもみたいに女の子にしてやる」
内腿に這わされた手がゆっくりと上がってくる。
真琴は我に返って声を荒げた。
「やだ
……
、違う
……
!オレは
……
っ」
言葉をキスで塞がれる。
舌が口内を激しく犯して、真琴の目に涙が滲んだ。
「っ、ふ
……
ぅ
……
」
身体を開かれ、遙の口から大量の唾液が真琴の秘部へと垂らされる。
クチクチと音をたて表面を擦られたと思うといきなり親指を挿入されて、真琴は身体を強張らせた。
太い親指の付け根まで、ぐぷりと差し込まれると、入り口の浅い所にごつごつした節が当たって乱暴に快感を生み出す。
「や、痛
……
っ、ゆび、やだぁ
……
っ!」
言葉とは裏腹に、真琴の両胸の先端はぷくりと勃起し始め、陰茎は指に動きに合わせてビクついている。
「好きだろ、太いの」
「やぅ
…
っ、好きじゃ、ない
……
!」
中で指をぐにぐにと反らされて入り口をこじ開けられる。
「もう柔らかくなった。早く欲しいみたいだな」
「違う
……
っ、やだぁ
……
っ!」
遙の言葉が次々と真琴を攻めたてる。
自分は男なのに、これではまるで本当に
……
。
「真琴、ここも好きだろ。女の子が気持ちいい所だもんな」
ピンク色の胸の突起に遙がキスをする。
硬く勃ちあがった蕾に、柔らく湿った唇を押し付けられて、それだけで寒気がする程の快感がわきあがる。
やがて押し付けられたままの熱い唇から、ぬるりと舌が滑りだしてきて形をなぞる様に動き出す。
その間も秘部を親指でぐぷぐぷ拡げられ、真琴は全身を駆け巡る悦びに怯えた。
身体を重ね続けた僅かな期間で、こんなにも自分はおかしくなってしまっている。
今更、何をどうこう否定した所でそれが変わるのだろうか。
「こんなこと
……
っ、したくな
……
い!」
「
……
怖くなったのか?女の子は気分が変わりやすいからな」
遙は指を引き抜き、身体を離した。
今日は止めておくか、と優しい声で微笑みかけられて、真琴は惨めな気持ちになった。
……
こんな扱いはもうたくさんだ。
「ハル、勘違いしてると思う。オレは女の子じゃな
……
」
「わかってる。そのままの真琴でいいって言っただろ?」
遙は飽くまで穏やかに真琴の言葉を遮った。
たまらずムキになって声を荒げる。
「わかってない!オレは生まれた時から男だし、今だってハルと同じ男だよ!」
「
……
じゃあ、なんでセックスしたんだ」
遙の声は静かな怒りで満ちていた。
鋭い視線を向けられると、真琴は条件反射で怯んでしまう。
「そ、それは
……
っ、ハルが」
「俺がヤりたがったからか?頼まれれば誰とでもするのか?」
「そんなわけない!オレは
……
」
言いたい事をことごとく遮られてしまって、真琴は泣きたくなる。
けれど、泣き出せばまた女の子扱いされるのが目に見えていたので必死にこらえた。
「鬱陶しい。いい加減にしろよ。違う、嫌だ、しか言えないのか」
冷たく言い放たれて真琴は言葉に詰まる。
昔から口論で遙に勝ったことなどない。
再び涙が込み上げてきて唇を噛みしめた。
「まあいい
……
俺がわからせてやるから」
遙は呆れた様に笑った後、真琴を乱暴に押し倒す。
氷の瞳に見下ろされて、身体が言う事を聞かない。
だが、遙を動かしているのが怒りだけではないのがすぐにわかって真琴は戸惑った。
身体を強張らせてぎゅっと目を閉じていると、不意に頭を撫でられて、優しく口付けられる。
「そんなに怖がるな
……
女の子に乱暴するわけないだろ」
その声は優しいが、瞳は微かな憐れみを含んでいる。
「ほら、さっきの続きしてやる」
そう言うと、遙は音をたてて胸に吸い付く。
大げさにいやらしい音をたてられて、真琴の身体は羞恥で赤く染まる。
「これ、舌にあててると、気持ちいい」
言葉通り舌たらずな遙が、硬くなった乳首をこりこりとねぶる。
舌の腹全体で突起を押しつぶされ、擦られ続ける。
熱い唾液はすぐに冷えて、絶えず快感が研ぎ澄まされていく。
「はぁ
……
っ
……
あ
……
」
真琴は身悶えしながら吐息をもらす。
遙にすっかり開発されてしまったソコへの刺激で、性器に何とも言えないうずうずとした感覚が伝わってくる。
しばらくするとそれは明確な感触となって襲いかかった。
弄ばれているのは胸なのに、どうして下半身が気持ち良くなってしまうのかわからない。
触られてもいないのに秘部は蹂躙されたかの様にヒクついている。
「あ、ぅ
……
っ、う
……
」
気が付くと真琴は目を閉じて甘く広がる快感を懸命に追っていた。
舌と指で円を描くように突起の周りをなぞられて、その緩やかな刺激をいつまでも味わっていたいような気分になる。
真琴の緊張が完全に解けて身体が脱力しきったのを見計らってか、一転、胸への愛撫が激しいものになってきた。
赤く腫れあがった突起を爪でカリカリと引っかかれ、その強さと速度が徐々に増していく。
「んぁ
……
っ、あ
……
ぁっ!」
真琴は身体をくねらせた。
一気に全身に力が入り、激しい快感を受け止めきれない。
秘部が呼応するようにヒクついて、痙攣し始める。
「あ、ひ
……
っ!イ、ぅ
……
っ!」
身体が仰け反り、もうこの連鎖を止められないと悟った。
腹の奥の疼きを解放しようと陰茎が張り詰める。
「イく
……
っ、イっちゃ
……
う!」
自分が大声で何を口走ったのかもわからず、頭の中が真っ白になる。
発した言葉通りの感覚に、真琴は糸の切れた人形の様にくたりとしてしまった。
「女の子みたいにイったな。可愛い」
遙が興奮した様子で何度も口付けてくる。
「もう怖くないだろ」
すでに広げられた足の間で遙の下着から屹立した男性器がのぞく。
「これ、挿れるから」
手を取られて、そのまま遙の陰茎の元へ誘導される。
熱く、血管の浮き出た肉棒に触れると、奇妙な感覚になった。
自分にも同じものがついているのに。
イったばかりで朦朧として、されるがままになっていたが、直前の言葉を聞いてあせった。
「ま、待って
……
!」
制止を聞くはずもなく、先程触った肉棒が割り入ってくる。
ぐぷ、とその全てを真琴の中に収めて、遙は悩まし気な吐息をもらした。
「
……
っ、真琴のナカ、俺の形になってるのわかるだろ」
みっちりと中が満たされる感覚に真琴は震えた。
……
嫌だ。
自分の身体は遙を完全に受け入れてしまっている。
これではもう
……
。
真琴の両脇に手をついて遙がゆっくりピストンを始める。
タン、タン、とリズムは規則正しいものになっていき、開かれた真琴の両足がゆさゆさと揺れはじめる。
これは毎日の様に繰り返されていた行為なので、真琴の身体は自然に反応してしまう。
「あっ、あっ
……
!ハル
……
っ」
腰を打ち付けられる度に、無意識に中を締め付けて遙の陰茎を咥え込む。
遙がどうすれば悦ぶか、わかっているみたいに。
弱い所を突かれると、たまらず角度を変えようと腰を引く。
それを見透かされて、却ってその場所を攻められる。
お互いの身体を共有しているような錯覚。
絶頂が近づくと遙に抱き付いて名前を呼び、きつく抱きしめ返されて中に熱い白濁を放たれ、その感触で達してしまう。
……
気が付けばいつものセックスを最後まで受け入れて、真琴は倦怠感で動けなくなっていた。
まだ中に侵入したままの遙が嘲笑う。
「これでもまだ自分は男だって言い張るつもりか」
「あ、当たり前だろ
……
っ」
真琴の心は自己嫌悪でズタズタだった。
誤解をとくどころか、自分の都合の良さを思い知らされてしまった。
「なら、見てみろ。お前のここ、俺のでこんなに拡がってる」
結合部を見せつけようと、遙が真琴の肩を掴んで引っ張り起こす。
「や
……
っ、早く抜けよぉ
……
っ!」
「これ、もう完全に女の、おマ
……
」
血の気が引いて、真琴は両手で咄嗟に遙の口を塞ぐ。
今、遙はとんでもないことを口走ろうとしていなかったか。
「ハルの口から、そんな言葉聞きたくない
……
っ」
興奮したのか再び中で遙の陰茎が硬くなってくる。
口元に押し付けられた真琴の手の平。
間からぬるりと舌をだして指の股を卑猥な動きで舐めてやる。
真琴が悲鳴をあげて手を離した。
遙は笑みを浮かべて腰の動きを再開する。
「いい加減認めろよ。穴に突っ込まれて気持ち良いんだから、女の子でいいだろ」
「さっき、おっぱいで気持ち良くなってイってたしな」
意地の悪い言葉を投げかけられて、再び中をじゅぽじゅぽと責められる。
自分の中に本当に女の子の様な部分があって、そこを刺激されれば、いつも射精せずに達してしまう。
情けなくて、恥ずかしくて、心は完全に折れている。
それでも否定せずにはいられなかった。
真琴は遙の身体を引き剥がすと、声をふり絞る。
「違う
……
っ、オレは、女の子じゃな
……
っ、い!」
男としての尊厳を犯しつくされても拒絶を貫く真琴の姿に、遙はみるみる表情を失っていく。
しばらく黙り込んだ後の顔は悲痛と苦しみに満ちていた。
「
……
真琴が、女の子じゃないと困る」
一方、真琴はその言葉を聞いて、ぷつんと何かが切れてしまったように泣き出した。
「なんで
……
っ、オレは
……
!」
今までこらえていた涙が次々と溢れ出す。
「オレは、女の子の代わり?そんなのやだ
……
っ!」
「ハルのことが好きなのに
……
、男の俺じゃだめなの
……
!?」
泣きじゃくる真琴の姿を見て、遙は真実を伝えなければと観念した。
俯いてぼそぼそと呟く。
「男が
……
男を好きなのは、おかしいこと、なんだろ」
「でも、もし、真琴の心が女の子なら」
「俺が、お前を好きでも
……
間違ってない」
耳を澄ましていた真琴はすっかり泣き止んで、驚いた顔で遙を見つめる。
遙の不安と罪悪感が痛いほど伝わってきて胸が苦しくなった。
「ハル
……
、何もおかしくないよ。オレ達、間違ってなんかない」
寄り添い、向き合って遙の額と自分の額を合わせる。
「男同士でも、普通じゃなくても、ハルが好き」
素直な心からの言葉が伝わったのか、遙はそれに答える。
「悪かった
……
男でも女でも関係ない。真琴が好きだ」
改めて言われて真琴はくすぐったい気持ちになった。
心理学でいうところの投影。
そうであればいい、という願望を相手に映す。
浮世離れしている様に見えて、遙にも案外と人間らしい一面があるのだと感心した。
誤解がとけて、というより、遙の思い込みから解放されて心から安堵する。
「無理させたり、変なこと言ってごめん」
急に素直になって謝る遙が愛しくて、真琴は微笑む。
「ふふっ!オレは男だから、このくらい平気だよ」
遙は目を丸くしてきらきらと輝かせた。
「もっとできるってことか?」
「ち、違うよ!もうできないってば!」
そのあわてぶりにくすくすと笑ってから、妖艶な眼差しを真琴に向ける。
「
……
真琴が男で、本当に良かった」
と、さらに近づいて耳元に低く囁く。
「女だったら、何回妊娠させてるかわからないからな」
真琴は一瞬で全身が熱くなり、ぞわりと耳元から走る快感に震えた。
「なっ、何言って
……
っ、ハルの馬鹿!!」
潤んだ瞳に紅潮した頬。幼い少女のような声。
共に成長してきた幼馴染の、歪んだ欲望を余すことなく全て受け入れ、許してしまう身体。
果たして男にこんなことができるのだろうか。
性別はグラデーション、とテレビで聞いた言葉が浮ぶ。
やっぱり、本当は、もしかして、と思わずにはいられない遙だった。
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