シオウ
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エンジェリックブルー アイムインブルー  !R18!

①大学生遙真。真琴くんに自慰動画を送らせようとする悪いナナハル 
②高校生はるまこ
pixiv作品まとめ5

【エンジェリックブルー】

「今度の合宿は長いし、週末も戻って来られそうにない」

遙は真琴の部屋に入ると荷物を床に放り投げて不満気に言った。
だから……と、次に告げられた言葉。
その意味がすぐには理解できなかったのか、真琴は無言で瞬きをした。
聞き慣れない、突拍子もない、恋人である遙の口から出るには似つかわしくない言葉が脳内で処理されて次の瞬間には顔を真っ赤にして喚きちらす羽目になる。

「な、何言って……!そんなことできるワケないだろ!」

「別に、恋人同士なら皆やってることじゃないのか」

遙の澄ました顔は、ついさっき真琴に『スマートフォンで自慰行為を撮影して送れ』と告げた時と全く変わらない。
そんなこと、でも、やっぱり、と視線をぐるぐるさせながら大いに混乱している真琴をいつまでも見ていたい遙だったが、キリがないので追撃とばかりに言葉を続ける。

「毎週の様にセックスしてたのに、3か月も会えないんだ。真琴が我慢できるとは思えない。
せめて週に一回、お前が一人でシてるのがわかれば浮気の心配する必要がなくていい」

訴えたいことが多すぎて言葉に詰まっているのか、真琴の口は開いたまま表情だけが目まぐるしく変わっていく。顔で喋るとはまさにこの事だろう。
やがて大きく息を吸ったかと思うと、少し上擦った声を張り上げる。

「浮気なんて絶対しないから!!ハルはオレのこと信じてないの!?」

……そう来ると思った。
大体の反応を予想していた遙は次の台詞を用意してある。

「信じてないわけじゃない。でも実際、男同士なんだから長い間しないのはキツいってわかるだろ。特に真琴は……そんな身体だし」

「そっ……そんな身体って!オレは……!」

自身の体が遙によってすっかり作り変えられてしまっていることを自覚して、か。
あるいは単純に体格の良さから性欲の強さを連想したであろう言葉に、か。
真琴は羞恥で今にも泣き出しそうな顔になってしまった。
その様子に大いに興奮を覚えつつも罪悪感が湧いてくる。
今すぐにでも真意を伝えて事態の収拾を計りたい所だが、心の中の様々なものがそれを簡単には許してくれない。

すると真琴が再び声をあげる。

「オレは……!別にセ、セックスとか好きじゃないし!」

俯いた真琴の表情はハッキリとは見えなかったが、その言葉に遙は唖然とした。
まさかそう来るとは思わなかった。
しばらく会えなくなる恋人の健気な願いが聞けないばかりか、お互いの愛を確かめ合う行為を「嫌い」と言われて、傷つかない男がいるだろうか。
難航はするが最終的は何らかの妥協案を出すだろうとの予想を裏切られ、さらに追い打ちをかけられた様で、遙は居たたまれなくなった。


「そんなに嫌ならいい……けど、真琴は俺が浮気するとは思わないんだな」

本意ではない、意地の悪い言葉を突き放すように告げて部屋を出ようとする。

……っ!ちょっと、ハル待って……!」

「明日出発だから、準備もあるし今日はもう帰る」

引き留めようとする真琴を振り払い、「また連絡する」と告げることでかろうじて体裁を取り繕った。

足取りの重い、暗い帰り道。
なんて愚かだったのだろうと思わず溜息が出る。
どうせなら、いや間違いなく、行為の後に告げるべきだった。
しばらく会えない分たっぷりとその身体を味わった後、疲れ果てて正常な判断が出来なくなっている真琴にお願いすればきっと承諾したはずだ。
二重にチャンスを逃してしまった、と再び溜息をついてから思いをめぐらせる。
……もちろん、真琴が浮気をするなんて本当は考えたこともない。
どれほど自分が愛されているか、長い付き合いで思い知っている。
周りには理解されないだろうけれど、何よりもお互いがお互いを必要としている、
それが当たり前の関係。
けれど、いつまでも変わらないものがあるのか不安もあった。
岩鳶にいた頃とは周りの環境は何もかもが変わってしまっているのに。
……しかし何より、それらの建前を取っ払えば単純に、3か月も会えない間の空白を埋めるものが欲しかった。もっと単純に言えば、一人で性を処理する時の、いわゆるオカズが欲しかった。
遙はそれを告げるのが何だか情けなくて、真琴にアレコレとそれらしい理由をつけて自分の要求を叶えようとしたのだった。
さらには、自分の中に昔からうっすらと感じ取れた仄暗い感情が、急に色濃くなったのも原因のひとつだ。

……真琴がどこまで自分の言う事を聞くのか。

二人は幼い頃からお互いを気遣うあまり、お互いの頼みを断れない関係だった。
遙は真琴にお願いされれば心底面倒だと思いながらも大抵のことはしてやったし、遙の気まぐれに真琴が振り回されるのも日常的な事だ。
遙の繊細さにいち早く気付いていた真琴は、押す、引くのバランスを常に意識していて、遙が押してきたら自分は引く。それが傍目には、言いなりの様に見えたかもしれない。
時には遙の目にも。
何かと不器用な真琴の面倒をそれなりに見てやっている自覚はあったが、真琴はあらゆる面で遙の方が優れていると思っているのか、一緒にいてもらえることに感謝すらしているようだった。
常に賞賛と尊敬の言葉を近くで浴びていれば感覚がおかしくなってくるのも無理はないかもしれない。
たまに悪ふざけでからかったり、無理難題を吹っ掛けると、慌てふためいてわめきちらす真琴の姿に心が高揚するの感じるようになった。
身体が成長して、真琴が自分より一回り大きくなってもそれは変わらない。
むしろ自分より大きな強い奴を従えている様でますます気分が高揚した。
身体の割りに幼い顔立ち。変声期を経ても大して変わらない甘えた声。
そうだ。真琴はこの先も何も変わらない。
ずっと俺の隣で、笑ったり、泣いたり、すねたりしてればいい。
……俺の言う事を聞いて、俺のことをいつも気にしてればいい。
試したことは無かったが、あの頃の真琴は服を脱げと言われれば理由も聞かずに脱ぎだしそうなものだった。

だから、俺がやれと言えば、今でもいう事を聞くんじゃないかと。
そんな思いがずっと消せないでいた。
ついさっきその思いは打ち砕かれたばかりだが……
性行為が好きではないという言葉。
どうせただの強がりだ。
そうでなければ毎週の様に部屋に招き入れたり、自ら部屋を訪ねてくるわけがない。
毎日の様には会えなくなった分、会えば必ず身体を重ねていたのだから。
それとも、俺の要求に答えようと無理をしていたのか。
そんなはずない。だってあんなに、と行為の最中の真琴の様子を思い浮かべて、熱が沸き上がるのを感じた。
あらためて、愚かだった、失敗したと思う。
テーブルの上の鯖を逃がしてしまった気分だ。
明日から合宿が始まるのに今晩は眠れそうにない、と遙はますます憂鬱になった。


合宿が始まって一週間を過ぎても真琴からの連絡はない。
とはいえ、合宿が始まると極端に連絡が減るのはいつものことだった。
普段は些細な事でも頻繁にラインをよこすのに。
練習に集中できるように気を使っているのだろう。
過剰なほどの気遣い。けれど結局自分はそれに助けられてきたのだ、と思う。
こちらから謝って、忘れてくれ、と送ってやればいいのは理解している。
けれど、やっぱり真琴の態度も気にくわなかった。もっと上手い言い方があっただろうと自分の事を棚にあげてつい意地をはってしまう。
きっとそのうち何事も無かったように安否を確認する連絡がくるだろう。
それに返信してやればそれで仲直りしたことになる。
だから今は真琴からの連絡を待つしかない。

ハードな練習が終わり、くたくたになって部屋に戻る。
同室の選手は久しぶりに外食をしてくると出て行った。
時刻は20時。
眠るにはまだ早いが特にやることもないし、とベッドに横になった。
暇つぶしに枕元に放り投げてあったスマホを手に取ると青い通知ランプが点滅している。
やっと来たか、と画面をスライドして真っ先に差出人を見る……やはり真琴だ。
これでいつも通りの二人に戻れる、と胸を撫でおろしてラインの画面を開くと、
初期設定のままの青い背景に短いメッセージがひとつ。

『ごめんね。次はもっとうまく撮るから』

そのメッセージの下には動画のサムネイルが表示されている。
遙は目を見開いて思わず立ち上がった。
……嘘だ。
真琴が、やるはずない。
いくら俺の頼みだからって真琴がこんなこと……
遙はすぐさま手近にあった自分のものではないイヤホンを耳に捻じ込み、部屋を出ようとして思いきりドアに身体を打ち付ける。
頭がぐちゃぐちゃに混乱していて距離感すら曖昧になってしまっているようだ。
よろめいたのも束の間、今度こそ勢いよくドアをあけて廊下を走り、トイレに駆け込む。
個室に素早く入り、震える手でなんとかイヤフォンとスマホを繋げた。
恐る恐る動画のサムネイルをクリックすると、見慣れた部屋のベッドに正面を向いて腰掛ける真琴が映し出される。久しぶりに見る真琴の姿、さらにはスマホのカメラ特有の画角が妙に背徳的でそれだけで鼓動が激しく高鳴った。
映像はベッド全体が映る距離感で、その姿は遠くに感じられるが、見たところ下着の中に片手を入れているようだ。
やがて俯いている真琴がその手をゆっくりと上下に動かし始める。
イヤフォンから微かに聞こえる衣擦れの音と吐息。
遙は口元を手で覆って唇を噛みしめる。
できることなら大きな呻き声をあげて地団駄でも踏みたい気分だった。

……その行為を言葉にするのすら、ためらった真琴が。
いくら俺の頼みだからって……

画面を凝視してこれが夢でないことを願う。
手の動きが速くなってくるにつれ、真琴の足はだらしなく開かれていく。
それが恥ずかしいのか上半身を少し前へ倒すと高い声がもれた。
自らを片方の手で必死に慰め、同時にもう片方の手は嬌声を抑えるために使われている。
カメラの前で、自分自身を犯している様な真琴の姿に、遙はたまらずしゃがみこんでしまった。
やがて、画面の中の真琴の足はさらに大きく開かれ、悶える様に腰が前に突き出される。
口を押さえていた手は仰け反る身体を支える為に使われて、もはや激しい吐息を隠せない。
息を大きく吸ったようなか細い声をあげて、真琴は達した様だった。
肩で息をしながら、がくりとうなだれる様子を最後に映像は途切れる。
録画を停止させに来る様子が映っていない所をみると自ら編集したのだろう。
この映像を真琴が自分でも見たのだと思うと、ますます身体に熱がまわって、遙は頭を抱えたくなった。
いざ手の中にとてつもない爆弾を手にしてみると、どうすればいいものか気が気ではない。
目を閉じて、呼吸を整えてからあらためて画面を見つめると、動画の後にもう一つメッセージがあるのに気付く。

『浮気なんか絶対に駄目だからね』

遙は思わず笑ってしまった。
……真琴はあの時の言葉を本気にしたのか。
どんなに恥ずかしい思いをしてでも、俺に間違いを起こしてほしくなくて……この動画を撮ったのか。
本当にこいつには敵わない。
こんなに美しい恋人がいて、どうして浮気なんてできるだろう。
どんな時も俺を信じてやまない、天使のような真琴。
その優しさが、いつも俺の中の青い水底を照らしてくれる。

そんな詩的な考えで何とか己の熱を抑えようとする遙だったが、うるさいくらいに音をたてる心臓は一向に落ち着きそうにない。
ならば、と遙は薄暗いトイレの個室を飛び出してプールへ向かった。
とにかく今は限界まで泳いで、この熱を発散させたい。
それから、適当な理由をつけて明日、帰ろう。
どうせしばらくは練習に集中することなどできやしない。
真琴に会ったら無理をさせたことを謝って……あの時逃がした鯖を回収しないと。


勢いよくプールに飛び込み、生温い水の中でたゆたう。
月日が流れても変わらない。
自由に、水と一体になって、水を感じること。
それが俺にとって必要な全て。
この先もずっと、こうして蒼の世界で目を細めるだろう。
どんな時も傍で惜しみなく降り注ぐ、
俺に与えられた光の眩しさに。









【アイム イン ブルー】




朝の白い太陽に照らされて、整った制服に身を包む遙は美しい。
深い青を湛えたサファイアの瞳。
熱や欲を持たない人形の様な顔立ち。
それなのに……

「今日は泊りに来い」と遙が口にする時。
それはつまりそういう「要求」だ。

今朝は珍しく登校中にそう告げられたので真琴は面食らいつつも平静を装って了承してから、動揺を悟られない様に何でもない会話を切り出す。
遙がぼんやりとそれを受け流す、傍目にはいつもと変わらない光景。

真琴は遙と身体を重ねる様になってから、次第に耐えられなくなってきた「ある事」を解消する機会を伺っていたので、夜まで時間がある今日がチャンスかもしれないと思いたった。
が、果たして本当にできるのか、或いは遙に引かれてしまったらと思うと途端に不安でいっぱいになる。
けれど、どうしてもあれだけは耐えられない。
今日は何が何でも自分で……
ぐるぐると考えが止まらなくなって、口数が減っていくとすぐに遙から揶揄の言葉が飛んでくる。

「真琴、朝から変なこと考えるな」

「へ、変なコトって何!?オレは別に……!」

上擦った声を出して赤面する真琴を見て遙が勝ち誇った顔で笑う。
これだから嫌なんだと、真琴は溜息をついた。


夜になると、夕飯を食べ、入浴を済ませてから遙の家に向かう。
今から遙に抱かれる為だけに部屋を訪れるのだと思うと、何だか自分が浅ましい人間に思えてくる。
同じく夕食や入浴を済ませて部屋で待っていた遙にすぐに押し倒されて、真琴はぎこちなく震える声で訴えた。

「あのね……オレ、自分で準備してきたから、すぐにハルの欲しいな」

上目遣いの猫撫で声、とはいかなかったが刺激的な台詞はそれなりに効いているようだ。
遙は組み敷いた真琴を見つめ、戸惑いの声をあげた。

「準備って……真琴お前……

うまくいくかもしれない、と真琴は精一杯の甘えた声を出す。

「ハルの早く挿れてほしくて……ほら、見て」

いそいそと下着を脱いで真っ赤な顔で足を広げる真琴の秘部からは透明なジェル状の液体が溢れ出してきていて、人工的な香料の甘い香りが漂ってくる。
自分でローションを仕込んだのか、と合点がいった遙だが、そのあられもない姿を見せつけておきながら怯えた様に微笑む真琴が何だか少し可哀想に思えて居たたまれなくなった。
けれど明らかに無理をしている真琴のこの行為の意図がすぐにわかってしまって、心臓が音をたてて軋むくらいの興奮を覚える。

セックスの時は男であろうと入念な……俗に言う「前戯」が必要だ。
初めの頃は真琴に痛い思いをさせない為に、秘部に指を挿れてたっぷりと慣らすところからのスタートだった。もちろんローションを使ったり、陰茎をシゴいてやったり……挿入に耐えられるようにじっくりと丁寧に事を進めるうちに、真琴は指だけで達する様になってしまって、それを酷く恥ずかしがっていたのだ。
遙にとっては単純に一度イッて脱力してくれているほうが挿入しやすかったし、真琴の大きな身体が自分の細い指で翻弄されているのがわかって優越感に浸れるので都合が良かった……ので、必ず挿入の前にしつこく慣らして指だけでイかせる様にしていた。
最近は特にそれを嫌がっていたから、つまりはそういうことだろう。
真琴のソコは指の2本くらいなら容易く飲み込んで、腹側の内壁を軽く擦ってやる度にビクビクといやらしく収縮する。
それを自分で感じとった真琴はいつも目に涙を浮かべて訴えていた。

「ハル、ゆび……もうやだ…………っ」

激しい水音と、速くなってくる指の動き。
弱い所を執拗に押し潰されると、真琴はすぐに達してしまう。
何度か射精せずに達したこともあって、その時は自分の身に何が起きたのかわからず何度も瞬きをしては自分の身体と遙の顔を交互に見つめていた。
……しかし何より、イった後の真琴に挿入するのがとてつもなく気持ち良いのだからやめられるはずがない。
少し緩くなった入り口をこじ開けて腰を進めると、侵入を拒むように中は激しく痙攣して締め付けてくるし、感じやすくなっている真琴はすぐに再び達してしまう。
最初からクライマックスの快感を得られるのだ。
好き勝手に動いて思う存分に射精した後は、ずっと甘イキ状態の真琴の上でぐずぐずとしていられる。
その愛らしい童顔を涙や汗やらで蕩けさせている真琴の頭の中はもう機能していないだろうから、少しだけ甘えるように胸の先端に吸い付いてみたりしてもいい。

と、僅かな間、過去の行為に思いを馳せつつ目の前の真琴を改めて見つめる。
遙に指だけでイかされる屈辱を回避するため、自分で準備してきたと拙い言葉と仕草で仕掛けた企みが成功するのか……不安と期待の入り混じった眼差し。
遙が少しの間、黙ってしまったので今は不安の方が大きい様だ。

「ハル……?」

……真琴が自分で準備できてるとは思えない」

え?と聞き返した真琴の顔に絶望が浮かぶ。

「お前は不器用だし、雑な所があるからな」

言いながら、遙はローションに塗れた真琴の入り口を指の腹で擦ってやる。
慣れない事をして緊張で昂っていた真琴の身体はそれだけで快感を拾ってしまった。

「っ……!ハル、お願い、だから……

哀願も虚しく遙の中指が侵入してくると、「やっぱりな」と呆れたような声でさらに奥を探られてしまう。

「奥まで届いてないし、まだキツい。……いつもみたいに俺がしてやるから」

中途半端な所で留まっていたであろうローションが遙の指によって奥深くへ塗りこまれていく。さらに侵入する指を増やされて、真琴はなりふり構わず遙の腕へ手を伸ばす。

「やだ……っ!指より、ハルの……っ」

「嘘つくな。指でイかされるのが恥ずかしいだけだろ」

その言葉に答える様に、真琴の中がぎゅ、と収縮する。

「わかってるなら、意地悪するなよぉ……

ハルの馬鹿、とお決まりの台詞を吐いて、真琴は腕で顔を隠す。
遙は一旦、指を抜いて、真琴がもう妙な策略をたてないように釘を打つことにした。

「別に恥ずかしがることないだろ。真琴が気持ちいいなら俺は嬉しいし……可愛いと思ってる」

「そ……っ、んなの……!」

殺し文句を吐かれて気が緩んだのか、真琴は顔を隠したままポツポツと呟き始める。

「だって、オレ、こんな大きな身体なのにハルの指だけで、って……情けないし」
「恥ずかしいし……自分の身体が、どんどんおかしくなってくの……こわい」

震える声で打ち明けられる、自分の予想通りの言葉に遙は内心喜びつつ、努めて穏やかに答える。

「真琴の身体がおかしいんじゃなくて……

言葉の続きを聞こうと、真琴がその瞳を覗かせた。

「俺が凄く上手いんだろ……たぶん」

澄ました顔でしれっと発せられた言葉に真琴は笑い出す。

「ふっ……!ふふふ、あはははッ!」

「なんで笑うんだ……本当のことだろ」

遙は頬を微かに赤く染めつつも不満気だ。

「そうだよね……ハルちゃんが上手いから、気持ち良くて当然、なのかも!」

くすくすと笑う真琴の顔は本当に幼い頃のままで、それなのにその身体は成熟する手前の色香を纏って無防備な肢体をさらけ出している。
自分の記憶の中の幼く愛らしい真琴と、まさに今、目の前にいる美しく成長した真琴。
それがアンバランスな、まるでちぐはぐな、バグとでも言うべき形で重なると、遙はもう駄目だった。
純粋無垢な輝きを湛えたエメラルドグリーンの瞳。
けれどまるでその行為のために造られたかのような官能的な肉体。
くらくらと眩暈すら覚えるこの衝動は、ずっと昔から側で真琴を見てきた自分にしか起こりえないものだろう。

「だから、ちゃん付けは……それより、続けるぞ」

すでに頂点に達している欲情で、喉が詰まった様な声しか出せない。
限界まで張り詰めた自身を必死に隠しながら、真琴を怖がらせないように再びゆっくりとその秘部に指を忍ばせる。

「ん……っ」

真琴は先程より素直に指の動きに身を任せ始めた。
内壁を擦られ、時折拡げられるたまらない快感に腰を跳ねさせて甘い声を洩らす。

「ハル……っ、そこっ、駄目」

「わかってる。真琴はここ擦られるとすぐにイくからな」

突き上げるように出し入れされるとぐちゅぐちゅと卑猥な音が響いて、
触られてもいないのに尖って主張している両胸と、反りたってビクビクと震える陰茎が限界を告げる。

「ん……っ!う…………!!」

短い悲鳴を上げて達しているであろう真琴に遙が囁いた。

……真琴のココ、俺の指咥えて奥に飲み込んでく……全然離してくれないし。
中、うねって凄いな」

「やだ……っ、言わな……

「今からこの中に突っ込めると思うと……凄く興奮する」

乱暴な言葉と共に、遙の熱っぽく荒い呼吸が伝わってきて真琴の胸にほんの少し恐怖が込みあげる。

「ハル、少し、待って……!」

「待たない。ほら、真琴。……いつもの」

「っ……、うん……

指を引き抜かれて身震いするが、ほとんど習慣のように頷いてしまう。
目の前の遙が焦りを滲ませながら曝け出した男根は、心なしかいつもより大きく見えた。
達したばかりで自由の効かない身体を必死に動かして、「いつもの」と言われた行動に移ろうと、真琴は仰向けで足を開くと自分の膝裏を掴んで抱え込むように引き上げた。
膝が顔の横にくるくらい身体を折り曲げて、限界まで開脚した足をしっかりと自分で押さえると、自ずと腰はベッドから浮き、尻が天井を向いて秘部が丸見えになる。
通常であれば見られたくない部分が全て遙の目の前に晒されるこの体勢は、意外にも真琴の方から提案されたものだ。
自分の長い足は重くて邪魔だろうし、遙が挿れやすいように、との配慮だった。
確かに色々と体位を変えて、真琴の身体を動かすのには骨が折れるし、バックばかりでも味気ないので二人のセックスはもっぱらこの態勢で行われている。
とにかく遙の負担にならないように協力的にならざるを得なかったのだろう。
一回り大きな自分の身体のせいで、遙がどこか痛めたりでもしたら皆に申し訳がたたない。そう思うとできるだけ動かず、されるがままになっているのが真琴にとっては一番良いセックスに思えた。

「真琴……いいか?」

問いかけに掠れた小さな声を出して頷いた真琴に、上から覆い被さる様に自身を一気に突き立てる。
真琴は声も出せずに、半ば食いしばる様にして身体を強張らせた。
それもそのはず、この体勢ではほとんど身動きが取れず、快感の逃げ場がない。
体重をのせて押しつぶされる様に腰を打ち付けられ、固定された身体の弱い部分を滅茶苦茶に抉られて何度も意識が飛びそうになるのを必死に堪えるだけだ。
奥深く、熱い肉棒が勢いよく差し込まれては引き抜かれる。
前立腺は麻痺状態で、ほとんど垂れ流しのように精液が溢れ出しては自らの腹や胸に滴ってくる。
それでも真琴はふぅふぅと口を尖らせて息を吐いて、何とか快感を逃がそうと試みている様だ。多少、無様になってしまっている顔に遙がどうしようもなく興奮していることにも気付かずに。
いつもなら、もう射精できなくなった真琴が中イキを繰り返してイきっぱなしになる前にやめてやる所だが、今日はそんな気は起きなかった。
これは小賢しい考えで俺を操ろうとした真琴への罰だ、と遙は自分に言い聞かせる。
中で射精した遙の精液をさらに絞り取ろうと、真琴の中はねっとりした律動を繰り返す。
もう遙の腰の動きは止まっているのに、全身を痙攣させてイキ続けているようだ。

…………!?……?」

自分に何が起きているのかわからない、では最早なまぬるい。
自分が何処にいるのか、誰なのかもわからなくなるような絶頂が何度も押し寄せてきて、
暴力的なまでの快感に獣じみた喘ぎ声を洩らしながらも、全身が幸福で満たされていく。

「もう恥ずかしいなんて思えないくらい、気持ち良くしてやるからな。真琴」

……これからも、ずっと。
優しく囁かれる言葉が真琴の脳内まで溶かしていく。

ようやくオーガズムが終わり、ぐったりと脱力しきっている真琴は自身の精液に塗れて、内側からは遙の精液を零している酷い有様だった。
遙はそれを見下ろして、再びの劣情と罪悪感に苛まれながら、手早く身体を綺麗にしてやる。
いつもなら自分でする、と騒ぐ所だがさすがに真琴はもう動けないらしく、何やらむにゃむにゃと言葉を発してから眠ってしまった。
その身体を抱きしめて、張りのある胸に顔を寄せる。
こうして温かで滑らかな肌に頬を摺りつけて、伝わってくる鼓動に目を閉じると、水の中で自分の心臓の音を聞いている時と同じ感覚になる。
熱を帯びた安らぎ。
これはこの身体からしか感じられないものだ。
だから……
でも……
その言葉の続きが浮かんでは消える。
穏やかな真琴の呼吸に、気付くと自分も同調するように眠りに落ちていた。



次の日、早朝から水に浸かって心と身体を整え、朝日を浴びながら鯖と向き合う遙とは対照的に真琴はドタバタと騒がしく身支度を整えながら、ぎゃあぎゃあと恨み言を喚きちらす。

「何で起こしてくれないの!?このままじゃ遅刻だよぉ!」

「何回も起こしたって言ってるだろ。先に行くぞ」

非情にも先に家を出てしまった遙に何とか追いついて、息を切らしながらまたもや恨み言を垂れ流し続ける真琴だったが、全く相手にしてもらえずやがて沈黙する。
寝過ごしてしまったのは遙のせいでもあるというのに……それなら、と悪戯っぽく微笑んで甘えた声を出した。

「あのね、ハルのおかげでオレは普通だって思えたよ。ありがと」

……?」

遙は無言のまま怪訝な視線を向ける。
やっとこちらを見てくれた、と真琴は大いに照れつつも言葉を続けた。

「オレが変になっちゃうのは……ハルがすっごく上手いから、だもんね」

言ってからクスクスと笑い出す真琴に、遙は拳を握りしめる。
……こいつは本当に。

「真琴……お前な……

「怒るなよぉ、ホントにそう言ってもらえて嬉しかったんだから」

朝の白い太陽に照らされて、お行儀のよい制服に包まれた真琴は綺麗だ。
そう、純粋無垢な輝きを湛えたエメラルドグリーンの瞳。
昔と変わらないあどけなく幼い微笑み。
それなのに……


「真琴、今日も泊りに来いよ」

「え!?たくさんしたからもういいって……!やだ!」

「駄目だ。今日も来い」

「や、やだってば!」

……心底嫌がって今にも泣き出しそうな顔の真琴は、それでも今夜、俺の家に来るだろう。
そしてまたその身体を惜しげもなく差し出すだろう。
幼い頃からいつも、此処ではない何処か、を見つめていた俺を繋ぎ止めるのに真琴は必死だった。
けれど、それは俺も同じだ。
真琴がいなくなってしまったら、きっと。
そんな風に長い年月を重ねてしまった俺達はもう手遅れなのかもしれない。

頬を赤らめて、切なげに見つめてくる真琴の瞳に。
……俺はどんな風に映っているのだろうか。