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凱
Public
ロナドラ
さんだんたわーのけーき
にっぴきで記念日をお祝いする話。
5年後、10年後、30年後で、各々の1人語り?みたいな感じの話にしてみた。
同居し始めて五年経ったある日。
「明日は私たちがシンヨコに来た記念日だ!お祝いメニューを一緒に作ろうジョン」
「ヌン!」
ドラルクとジョンがボソボソと話す声で、深いところにいたはずの意識が浮上した。
まだ真夜中じゃねぇかと文句の一つも言ってやろうと思ったけど、
「あっという間の五年だったね。ジョンは楽しめてるかい?」
「ヌヌヌン!ヌヌヌヌヌヌヌ?」
「私も楽しいよ!ロナルド君といると面白いことが毎日あるし、何よりジョンが一緒だからね」
「ニュン」
そんな会話を続けられたら、握った拳を振り下ろすことができなくなった。
もう五年か。
長いはずの年月が一瞬で過ぎた。
以前よりポンチ吸血鬼が増えたせいだろうか?
…
いや。
ドラルクとジョンとメビヤツが来て、キンデメに死のゲームと吸血鬼退治人の事務所として相応しくない、吸血鬼の同居人が増えたからだろう。
ドラルクのイタズラに怒り、ジョンの献身さに震え、美味い飯にがっつき、用意された風呂に浸かって眠る。
昔の自分なら「カッコ悪い」と目を背けるような、退治対象でしかなかった吸血鬼に甘えた、そんな現実を生きている。
懐深くに入れるつもりはなかったはずなのに、いつの間にここまで侵入されたのか。
追い出すには、この生活を手放すのは、きっとできない。
そんなことをぐちゃぐちゃに考えていたら、ずり落ちていた毛布がかけ直され、小さな手が頭を撫でる心地良さに負けて眠ってしまった。
お気に入りの目覚ましが鳴るより早く、こそこそと話す声で目が覚めた。
我が愛しのジョンはどこかと探れば、どうやらロナルド君とお話し中のようだ。
「なぁジョン、もう決まった?」
「ヌン!」
「マジか〜
…
俺まだ決まらねぇんだよ」
何のこと?と思ったけれど、棺桶の蓋を開けるには些か早すぎる時間だから、聞き耳を立てることで我慢することにした。
「十年
…
あっという間だったな」
「ヌゥ?」
「前は休日の過ごし方分かんなくて困ってたのに、ドラ公とジョンがきてから毎日が楽しくてさ」
わざわざ見なくても分かる、太陽のような笑顔を浮かべているんだろう。
その証拠に私のジョンが「ヌンヌヌヌ」と嬉しそうな声を上げている。
十年といえば人の子にすれば長い時間なのに、それがあっという間と言われると悪い気はしなかった。
「兄貴とヒマリとでかけることも増えたし
…
あいつには直接言えないけど、感謝してるんだぜ」
「
…
ヌヌヌヌヌン」
「そんなことより!サプライズ決めないとな!!」
「ヌン!!」
え、何?
サプライズ
…
?
数年前の脱稿ハイで起きた[パンケーキ自分で作るもん♪]事件を思い出して、背筋が一気に寒くなった。
あの時に戻れるなら、ロナルド君がオータムから帰ってくる前に帰宅して、ふんわりパンケーキをいっぱい口に詰め込んで寝かしつけてやるのに。
頼むから、本当にお願いだから、キッチンは守ってくださいジョンさん。
でも、ロナルド君が本気出したら止められるわけないよね。
その時は二人にお掃除手伝ってもらうことにするか。
そろそろ起きてもいい頃合いだけど、もう少しこのままでいたほうが二人のためかな。
内緒話にしてはよく響く声を聞きながら、心地良い二度寝をすることにした。
ついさっき寝たような気がするジョンは、ロナルド君とドラルク様がお話しする声で目が覚めました。
「記念日は明後日だけど
…
」
「わぁってるよ、ちゃんと用意してある」
「じゃあそっちは大丈夫だね」
「任せろ!ギルドの連中も兄貴にも頼んである!!」
「シー!静かにしろバカ造」
「ヤベっ
…
起きたか?」
「
…
大丈夫みたい」
ヌヤヌヤと寝息を立てるふりは慣れたものです。
記念日といえば、ドラルク様とジョンがここに居を構えてからまもなく三十年です。
毎年記念日にはドラルク様がご馳走を用意してくれます。
初めの頃はロナルド君は何もせず「もうそんな経つのか」「まだ出て行かないのかよ」とご馳走を平らげながらも言っていたのですが、いつの頃からかドラルク様とジョンにプレゼントを用意してくれるようになりました。
特選牛乳だったのが血液ボトルになり、吸血鬼用のお酒に変わる頃に二人の距離も変化しました。
ジョンは気遣いのできる大人のマジロなので、酔っ払って寝たふりをしてあげるようになったのもその頃からです。
この事務所に招かれなくても入れるようになってから、どれほどの月日が経ったのでしょう。
あの日のドラルク様の驚いた顔と、喜びに満ちた笑顔はジョンだけの宝物です。
でも、永遠を誓ってドラルク様を安心させてくれるのなら、こっそり教えてあげなくもないのです。
もうすぐ始まる記念日を楽しみにしながら、ジョンはもう少し寝たふりをすることにしました。
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