じゃす子
2024-04-23 01:23:55
1004文字
Public BL
 

吉→三前提の3軸毛谷

毛谷というより刑部がちょっかい掛ける感じ。毛利の態度は塩。毛→吉→三のつもりで書いてます。

「やれ、ぬしはマコトに美形よなァ。いつ見てても飽きぬ」

この男はいつもそうだ。その舌は枯れ葉よりも軽く舞う。

「大谷」

露骨に嫌そうな顔をすれば、ますます喜んだ顔をする。ビジネスライクな関係を望む我からすれば不愉快極まりない。

「軽口はそのくらいにしたらどうだ。我は忙しい。本題はもう済ませた。我は安芸に帰るぞ」

「まあまあ、毛利。そう言うな」

大谷は軽薄な表情で我を宥める。我を揶揄するその態度が心底気に食わない。

「それに、ただの軽口ではない。われがオナゴであったらぬしに本気で惚れていたと思うぞ」

………

気色の悪いことを言うな。そう内心悪態づく。

無言なのを良いことに、大谷は畳み掛ける。

「いっそ、われの情人にならぬか?毛利。われは美しいものなら性別は問わぬ。愛でてやろう」

あまりに見下した物言いに、思わず眉が釣り上がった。

「ふん。我が貴様の情人にだと?貴様にかほどの情など無いわ」

「やれ。そうツレなくされては、悲しい、カナシイ」

わざとらしく悲しむ素振りを見せる。この男の智を好んで同盟を組んだが、つまらない演技は鳥肌が立つほど嫌いだ。

それに、この男は臆病者だ。

「その台詞、我にではなく別の者に言うべきではないか?」

途端に大谷の目が泳いだ。分かり易い奴だ。それゆえに哀れとも言えるが

われにそのような者などおらぬ」

ポツリと呟く。我はフンを鼻を鳴らしてこう言い放った。

「本命に何も言えぬくせに、我を妾にしようとしたのか。愚かなことだな」

「なんのことだかとんと分からぬなァ」

声が震えている。演技すら放棄したか

「無駄話はもう終わりか?中国に帰らせてもらう」

振り向かずそのまま大阪城を後にする。  

(情を宿させねば、我にとって好ましき相手であったのに)

そんな考えが頭に一瞬浮かんで、思わず霧散させる。

あれはただの駒だ。あやつが何を思おうが我には関係ないこと。

(ぬしはマコトに美形よなァ)

(いっそ、われの情人にならぬか?)

あの言葉を言った目は、我を見ていなかった。

我を通して、ある男に語り掛けていた。

その事実が気に食わぬ。

我を代用品にして情をぶつけることが、心底不快だ。

だから、この胸の奥にある虚ろはそれに対する怒りである。

決して大谷に情を抱いた訳ではない。

決して。