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kaede
2024-04-22 03:32:49
1230文字
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天城兄弟(幼少期)が一緒に星を眺めるだけのはなし
天城兄弟イベントカード名がよすぎて勝手に(いまのうちに)妄想しました
声をかけられる前に気づいていた気配へ、振り向きながら手招いた。
「おいで、一彩」
一彩は驚きと安堵に蜂蜜をたっぷり加えて、くるくる混ぜ合わせたようなかわいらしい顔をして、俺の隣に腰を下ろした。それから、俺に倣って夜空を見上げたあと、今度は覗き込むようにして俺を見上げる。
「兄さんは星が好きなの?」
「一彩、お前は?」
「何が?」
「星は好きか?」
一彩は一度、星の海で瞳を泳がせてから、にこりと笑った。
「おおよその時間や方角がわかるところは便利だと思うよ」
「そうじゃなくて」
一彩の柔らかい髪をくしゃくしゃ撫でる。
呆れたのか、やるせなかったのか。
「例えばあの星、今俺たちの頭の上ですごく輝いてるだろ?」
「ウム」
「でも、あれは過去の光なんだ」
一彩は、ひときわ強く輝く一等星と俺を交互に見比べたあと、困り顔で訴えた。
「
……
僕は馬鹿だから、兄さんの言ってることが良くわからないよ」
「俺の説明が下手なだけだよ。お前は賢い子なんだから、すぐに自分のことを馬鹿って言うな。そのうち本当の馬鹿になっちゃうぞ
……
って、こんな話をしたいんじゃなかった」
俺の腕の中にもすっぽり収まってしまうほど小さくかよわい弟を、苦しめることのないようそっと、抱く。
「お前のそれは、役に立つかどうか、ってことだろ。俺が聞いてるのは、好きかどうかだ」
「兄さんだって、僕の質問に答えてないよ」
「ほらな。やっぱり一彩は賢いじゃないか」
「話をまぜっ返さないでほしいよ」
「ごめんごめん。じゃあ、一彩はどうして俺に『好きなの?』って訊いたんだ?」
ええと
……
と、一彩は珍しく自分の心の内を探るように唸ったあと、小首をかしげて言った。
「
……
星を見上げる兄さんが、キラキラ輝いて見えたから」
「そっか。ならそれが答えだよ」
星は別の国の言葉ではスターと呼ばれていて、そのまばゆさゆえに、他の意味合いになぞらえられることも多々ある。
星は、俺の願いの象徴だ。
「一彩は? 星じゃなくてもいい。好きなものはあるか?」
「兄さんが好きだよ」
逡巡もせず答えた弟のそれを、嬉しい、という純粋な感情のみで受け取れたならよかった。
いくつもある中から選ばれたのではなくて、唯一を答えただけだと知っているから。
嬉しいよ。一彩。それは、誓って本当だ。命をかけたっていい。
でもな。
それじゃお前の未来はどうなるんだ。
お前には、俺と郷だけで完結する息苦しい箱庭だけが世界のすべてなのではなくて、外側にはもっと広い世界があることを、そこにはきっと、俺以外にも愛を向けられるものがたくさんあることを知ってほしい。
俺以外に愛を捧げたってそれは過ちでも唾棄すべきことでもないのだから。
だから俺は、俺が過去の光に未来を夢見ずにいられないように、お前が本当に欲しい未来を目指すための、キラキラ輝く導べの星になりたい。
アイドルになりたい。
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