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スサ
2024-04-21 19:50:18
2119文字
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【鬼水/ゲタ水】名前ありモブが夢の中で見る成長鬼水的な場面
ここまでのあらすじ~同僚(例のどりょ君とは違っても同じでも良いが便宜上名付けてしまったため別とします)は幼い頃妖怪のたぐいを引き寄せがちだった水木がその害を防ぐため封印のようなものを受けていることを知っていて勝ち目あるかもと思っていたなかったし、ある日青年姿の義息に助けられた上に水と義息の絡み合う夢を見るのであった~
水木がぽかんとした様子で立ち去る自分を見ていることは渋澤にもわかったが、とても冷静ではいられなかったので、無視した。
夢だとわかっている。わかってはいるが、冷静にはなれない。あの人は僕のもの、そう言った青年は、どう考えても年齢が合わないが、水木の養い子だという確信があった。ただの淫夢であるなら、水木を抱いているのは自分でなければ話が合わないではないか、と渋澤は誰かに詰め寄りたかった。気が狂うかと思った。むしろ本当に狂ってしまいたかった。
…
夢は、うっとりした顔をした水木が青年の頬に手を添えるところから始まった。青年の顔は長い前髪のせいでよくわからなかったが、口元に笑みがあることはわかった。みずきさん、そう呼んでいることも。水木は微笑んで義息の名を呼ぶ。つぼみがゆっくり花弁を開いていくように、水木の着ている着物が解かれていく。浴衣のようにも思えたが、白い襦袢のようにも見えた。それははっきりしないし、正直どちらでも良かった。
とにかく水木は着物を開かれ、その身を露わにした。
…
ある夏の日に、皆暑さに参ってシャツをはだけたうちわで仰いでいたことがあった。その時、水木の左の肩から胸にかけて大きめの傷痕があることを知った。はっきりと見たわけではないから傷の全貌はわからないが。
青年は水木のその傷痕、そこにある乳首に唇を落とした。さらりとした絹糸のような髪がふわりと広がる。水木は愛おしげな眼差しを向けて、その髪を優しく梳るように撫でる。青年はゆっくりと顔を上げ、そのまま水木に口づける。水木は最初目を開けていたが、やがて貞淑にまぶたを閉じた。そのまま彼の手が青年の首に回され、引き落とされるように二人は床に沈んだ。やめてくれ、と渋澤は叫んでいた。が、声は二人には届かない。
唇を、舌を絡めるくちゅくちゅと濡れた音がはっきり聞こえた、気がした。絡め合う舌の赤さが目に突き刺さる。そして気づいた。青年の舌は長く、先が少し割れているように見えた。蛇の舌のような
…
。考えて、渋澤はぞくりとした。本当に化け物なのだ、と思って。
水木が自然と開いた足の間に収まって、青年がばっさと己の衣服をはだけた。こちらも着物のように見える。それを上半身だけはだけたことで、見た目よりもしっかりした体つきをしていることが見て取れる。若木のようにすんなりした体だが、けして頼りないわけでもない。
体が離れたことを少し詰るように、水木の手が伸ばされた。彼は自分の方を向けるように青年の頬を捕まえて、引き寄せるような動きを見せる。青年は笑って、──多分、笑って、わざとだろう、水木の鼻の頭にちゅっと口づける。案の定水木は肩を揺らして笑った。そのたびふわふわと揺れる髪の毛が
…
髪の毛が、夜色の髪の毛が、うねって
…
、
あ、と渋澤は声を出していた。
あの村に行く前まで、水木の髪は艶やかな濡れ羽色色をしていた。そして今まさに目の前の水木はその色を取り戻している。日中職場で見かけた時は違った。ああ、つまり
…
、と渋澤はとうとう顔を両手で覆ってしまった。
おいで、と優しく、甘く伝える水木の声が聞えた気がした。何を示しているか考えたくもなかったが、堪えたような吐息、あえぎ、そして「みずきさん」と甘えるような声、濡れた音、それらが全部渋澤に教えてしまう。
そこ、もっと、と許し甘える水木の声に叫んでいたはずだ。
「
………
っ」
はっ、と渋澤はひどくうなされて目を覚ました。もしかしたら夢を見ながら叫んでいたかもしれない。だが、何も考えられず、渋澤は両手で顔を覆った。
しばらくは胸を荒く上下させるしかできなかった。
「
…
夢、
…
」
ぐったりしながら、渋澤は首を振った。水木のあの声が耳を離れない。全部想像、いや、妄想のはずだ。だがあの青年は水木の養い子だし、水木の髪の色は戻っていて
…
。未来、だというのだろうか。渋澤は顔を覆い、膝を寄せた。
「は、
…
はは」
信じがたく、そして腹立たしいことに、渋澤の股間はあんな夢にさえ感じて兆していた。己の体の不随意に、感情がめちゃくちゃになる。激情のまま擦って、先ほどの夢の中での水木の痴態を脳内で思い返す。遂情はあっという間だった。
「みずき
…
」
おのれ化け物め、と思ったところで、どうにもできない。逆立ちしたって、ただの人間である渋澤にどうこうできないことはわかっていた。
だが、思い浮かんだことがある。あの化け物は、渋澤に言っていた。正直意味はよくわからなかったが、祖父が施した封を水木自身が何か内面の変化を経て無効にしかかっているということは察しがついた。だが、完全に無効になったわけでもないように思う。
ならば、と渋澤は幽鬼のような足取りで、手を拭うこともなく身近に置いていた祖父の形見の仏像を掴むと、それを粉々に砕いてしまった。あとは、水木の封じられた名を返す。それで本当に封は外れる。化け物と水木の愛で全てが取り戻されるというのがどうにも癪で、自分がどこかに介在したいという意地しかなかった。
…
結局あの義理の息子を手助けすることになったとしてもだ。意地というのは厄介なものだ。
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