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MN*B
2024-04-21 01:51:52
1324文字
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鬼、赤縛を忘る。――されど、縛は忘れじ。
第122回お兄ちゃんワンドロ参加作品
お題『拘束』
本誌要素あり。アニメ派・単行本派は注意
赤縛を使わない理由は何ぞや?の個人的な考察です。
赤縛は他の技との連動が難しいとか、そもそも使う必要がないとか。他には、腕力が強い相手は拘束が難しい(呪力で拮抗できる・抵抗される)とか、宿儺相手は普通に斬られる(術式で対応される)とか、ですかね。
メタなとこだと、忘れられてる、です。
俺は悠仁と修練場で顔を突き合わせていた。
「赤血操術で拘束する方法を教えておこう。使うかは分からないが」
「へー。そういうのもあんのか」
悠仁に赤血操術を一通り教え終わったところだったが、他に教えておくことはなかっただろうかと思考を巡らせていれば、ふと思い当たる技があったのだ。自分では全く使わないので失念していた。
「『赤縛』というんだが、これは百斂がうまくできずとも良い技だ」
余計な一言だった。それがすぐに分かったのは、俺がそう言った後に悠仁の表情があからさまに変わったからだ。
悠仁はムッとしていたが、しばらくして何かを思い出したように首を捻る。
「ん? 俺と戦った時には使ってねーよな」
「う
……
そうだ」
堪えたつもりだったが、僅かに呻き声が出た。痛いところを突かれたというか、傷口に塩というか、もはや黒歴史というか
……
。
未だに思い出すたび、後悔の苦味が溢れてくる。それを顔に出すのは兄としての矜持が許さなかった。
「別に責めてるワケじゃねーから」
少し冷たい印象を与えかねないほど素っ気なく、悠仁は言う。
悠仁からすれば、もう終わったことだと言いたいのだろう。
互いに犯した過ちを責めないと決めた以上、俺も表に出さないよう努めている。のだが、そう簡単に忘れていいものでもない。
しかし、今囚われるべき事柄でもなかった。
俺は纏わりつく考えを振り払う。
時間は有限だ。そう切り替えて、目の前のことに集中する。
周囲に百斂をいくつか作り、滑らかに移動をさせる。心臓が血を送り出すように、俺も術で血を操った。
百斂をひとつ、手のひらの上に浮かべ、そこから枝が伸びるように血液を細く伸ばし、それで網目のある球体を作ってみせる。「これが赤縛の基本だ」と言えば、小さく歓声があがった。
フッ、もう機嫌が直っている。可愛いものだな。
続けて、もう片方の手で別の百斂を掴み、小刀を形作る。すると、赤縛の方の血液が小刻みに震え始め、終いには弾けてしまった。
この動きは俺が意図したものではない。悠仁もそれが分かっているようなので、俺は説明を続けた。
「血液という媒体を複数に分けた状態で、複雑な操作をするのは難しい。『拘束し続ける』という操作に意識を割かれる関係上、そこへさらに穿血を重ねたりするのは厳しいものがあるわけだ。しかも赤縛という技自体、実用性に欠ける」
俺の手元から滴り落ちていく血液を、その形で一旦固定する。そして、今までの動きを逆再生するように、零れ落ちた血液を手元へと戻し、再び百斂として球体の形にした。
「相手の動きを阻害するのであれば、血を纏わりつかせるだけで十分効果がある。固定するのも有効だろう。
……
わざわざ拘束するとすれば、相手を生かす必要がある時だけだ」
俺が言ったそれは、殺す相手なら使う必要がない、と同義だった。
言うか迷ったが、もし言わずとも悠仁は理解するだろう。それならばと話すことにした。それに、どう使うかは使い手次第だ。
悠仁は一呼吸置いて、「そうか」と返事をする。
「一応、頭には入れとく」
そう話す悠仁の声は凪いでいて、その静けさの中に覚悟を宿していた。
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