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kaede
2024-04-20 04:07:19
1534文字
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ニキと一彩くんが部屋でイチャイチャしてるだけのはなし
湯船で略
描写してなかったけど寮の部屋です
※今回のイベスト前半の内容に触れる箇所があります
「いつも良い子の弟さんが、まさかあんな暴君なところがあるなんて思ってなかったっす
……
」
番組の企画か何かでうちの悪魔と悪魔の弟の天使がリーダーを交代する、と聞いた時は、まさに天にも昇る心地だったのに。
まさかその無邪気に笑う天使に背中を足蹴にされるがごとく地獄に落とされるとは、思いもしなかった。
「まあ、燐音くんと血のつながった弟らしい、と言えばそうなんですけど」
所詮、悪魔の子は悪魔なのだ。弟さんは燐音くんの子供ではなくて、弟だけれど。
僕が食べ終えたハンバーガーやらポテトやらのゴミを片付けながら、弟さんが笑う。
「兄さんと僕では比較するのも烏滸がましいと思うけれど、でもそう言ってもらえるのは光栄だよ」
「褒めてないんすけどね
……
」
どうやらあどけなく微笑む天使に、皮肉は通用しないらしい。
「ていうか、ご飯抜きなんてひどいっす! 僕にとっては死活問題なのに!!」
「決められたルールを守りさえすれば、何の問題もないはずだよ?」
「正論パンチはやめてほしいっす
……
」
「パンチ? 組手をご所望なら明日のレッスンに加えようか」
「遠慮しとくっす!」
昼間の地獄のようなレッスンと惨たらしい罰を思い出すのと同じ速さで、ぶるぶる首を振る。というか、明日も今日みたいな地獄が繰り返されるのかと思うと、ご飯も喉を通らなくなることはないけれど、それくらい、げっそりしてしまう。
というか多分、実際にげっそりした顔をしていたのだろう。ゴミを捨てて戻ってきた弟さんが、僕の隣にふわりと舞い降りながら眉を下げて笑う。
「確かに、悪かったと思ってるんだよ? だからこうして、椎名さんのために食料を調達してきたんだ」
「それはありがたいっすけどね
……
ていうか、結構な量でしたけど、弟さんの自腹でしょ? せめて半分は出すっすよ?」
「構わないよ。これは椎名さんに酷いことをした僕への罰みたいなものだから」
「酷いことをした自覚はあるんすね」
自覚があるなら手加減してくれれば良いのに。
「それはそうだよ。本当にごめんね。でも、兄さんの代理として兄さんの顔に泥を塗ることはしたくなかったんだ」
そう答えた弟さんの顔は一点の曇りも疑問もなく、本当に天使みたいに綺麗だった。
一彩は情に欠ける、と燐音くんがこぼすのを聞いたことがあるけれど、こういうことなのか、と思う。
身内贔屓しないところは美徳とも言えるから、彼のそれを短所だと一口で言い切るつもりはないけれど。欲を言うなら、恋人の僕くらいにはもう少し、甘くしてくれたって良いと思う。
「でも今は」
左腕が、ほわりと温かくなる。
「今の僕は、椎名さんの恋人だからね。今日の
……
椎名さん次第では明日からのお詫びに、今は僕に何でも命じてくれていいよ」
「
……
命じる、ってのは言葉の文っすよね」
恋人に上下関係はいらない。
暗に含めてそう問うと、賢い弟さんはすぐに気づいたようだった。
「
……
そうだね。そういう言い方は良くないよね。気が回らなくてごめんね」
ほっとした。
情が欠けるのは確かにそうなのだろうけれど、情がないわけではない。
それが、実感できて。
「椎名さんのお願いを何でも聞くよ」
「何でも、っすか?」
「可能な限りは」
「じゃあ」
両腕を軽く広げて、彼の顔をしっかり見て、笑う。
「僕の心のおなかがいっぱいになるまで、一彩くんをぎゅーってさせて欲しいっす」
「え?」
「あっ、これはダメなやつでしたかね」
「そうじゃなくて」
あ、ほっぺたが少し、赤い。
「それでは僕へのご褒美になってしまうけど、良いのかな?」
そう言っていじらしく戸惑う一彩くんは、僕だけの天使だった。
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