ほのかな甘い匂いを嗅ぎ取って、テメノスは目を覚ました。目覚めた場所がベッドではないことを疑問に思う。食欲はないのにくぅ、と小さく腹が鳴った。
――ああ、そういえば。
遅まきに回転し始めた頭がようやく思い出す。そう、そうだ。昨晩は遅くに大聖堂から帰って、そのまま何も食べずに自室に籠ったのだ。ベッドではなく狭い一人用のソファで眠ってしまったから、あちらこちらが痛む。頭に響くような片頭痛は気圧だろうか。それともストレスか。
わずかに身を起こすと被った憶えのない毛布がずり下がった。テメノスのものではない、若干、大きめの毛布だ。いつもならくすぐったい気持ちになるそれが、今は身勝手な苛立ちしか感じなくて自分が嫌になる。
気持ちに余裕がないのも、どうにも思考が鈍いのも、身体に養分が足りていないからだ。そうと理解はできる。空腹感もある。だが、食欲がない。食べるという行為が億劫で仕方がない。
――思春期の女性でもあるまいし。
理由はわかっている。わかっているけれど、認めたくない。
かすかにかちゃかちゃと鳴る調理器具と、ざらざらと何かを洗うような音がする。思い返せば昨晩、何か荷物が届いていた気がする。一風変わった入れ物だったように思うからク国――ヒカリからだろうか。知っているとすれば今、ドアの向こうで何かをしている恋人だろうが、今は顔を合わせたくない。正確に言うなら、澱んだ心境のままでいつも通りに振る舞える自信がない。
ドアの外から香ってくる匂いを遮断するように深く毛布を被り直した。テメノスのものではない汗の匂いがして、その匂いがちりちりと胸を焼く。
無理にベッドに運ばれなかったということは、彼もテメノスが自室に籠った理由に勘づいているのだろう。というより、勘づいていないわけがない。他ならぬ、自分自身のことなのだから。
上級聖堂騎士となるための研修があるのだそうだ。
半年間の研修期間中、当然ながら本部であるストームヘイル勤務となる。専用に用意された宿舎で過ごすことが義務づけられ、研修の間はたとえ友人だろうと恋人だろうと他人と連絡を取ることは難しくなる。手紙はすべて検閲、その数もけして多くはない回数に厳しく制限される。里帰りも許されない。
妥当なことだとは思う。里心を御せない者が立つべき役職ではないし、他者と必要以上に接している人間は情報漏洩を疑われる。その上で多種多様な任務を熟し、初めて上級聖堂騎士の資格があると判断される。腕が立つだけでなれるものではないのだ。
ひと月後に開始を控えたその研修に、クリックが参加すると知ったのが昨晩の話だった。クリックが話してくれたのではない。聖堂機関から回されてきた参加申請リストの中にその名前を見つけてしまったのだ。
こめかみを金槌で殴られたような気がした。
別にその研修自体を否定したいわけではない。妥当だと思うし、必要だとも思う。いつか彼も参加するのだろうという確信もあった。それ自体は納得しているし喜ばしい。
……いいや、嘘。本当は少しだけ疎んでいるし憎たらしい。聖堂機関はすぐテメノスから可愛い子羊を取り上げる。なんて、我ながら面倒くさい感情が皆無と言ったら噓になる。でも、それはこの汚泥のような暗澹のほんの1割、2割だ。
半年間、またひとりになることへの寂しさが1割。彼にここに帰る気がなかったらという不安が1割。
残りの8割は。
「……私はそんなに信用がないんですかね」
何故、事前の相談が一切なかったのか、という困惑と不満だ。
話すようなことでも相手でもないと思われていたのか。もしくは嫌だと駄々を捏ねる恋人にでも見えていたのだろうか。どちらにしろ、打ちのめされるには十分な理由だ。
異端審問官が恋人に信用されていないと嘆くだなんて滑稽な話だ。事実、クリックと関係を築く前の自分だったなら鼻で笑っていただろう。
けれど、テメノスはもう知っている。ひとりではないベッドの上で微睡む幸福も。沈黙したままでも心地よさを感じる柔らかな空気を。どれだけ遅くなっても家の軒先に灯されている明かりを。いつのまにか忘れていた誰かと手を繋ぐ温かさを。
半年と言えど、手離すにはちょっとした覚悟が必要なのだ。ひとりの過ごし方を思い出す時間が欲しい。
一言くらいあっていいだろう。あって然るべきだ。確かに気の利いたことなど言えない。こんな性格だから甘やかすにも素直に励ますにも向いていない。
でも、きっと、彼の幸先を祝うくらいはしたと思う。
「はあ……」
いけないなぁ、と思う。堂々巡りで女々しい。こんなことで一晩も拗ねているなんて、テメノスがなりたくない恋人そのものではないか。
ドアの外の音が止む。足音が聞こえる。ドアを開けようか、迷う気配が伝わってくる。
心配をかけているのだろう。だって、昨晩から何も口にしていない。閉め切ったカーテンから覗く陽の光が随分と強いから、もう昼が近いのだろう。
――昨晩から。
そういえば、おやすみ、も言っていない。それどころか、顔も見ていない。数ヶ月後には見られなくなるというのに。じくり、と胸の奥に仕舞い込んでいた古い傷が膿んだ。
――おやすみも、おはようも。
言えなかったら、後悔すると知っていたのに。
――それに。
それに。
ばさり、と毛布を蹴り上げた。らしくない。まったくもってらしくなかった。
「うん、そう。そうだな」
テメノスはクリックの恋人で、異端審問官だ。何故、言わなかったのか。一言くらい詰って審問する権利くらいあるだろう。その方が、ずっと、テメノスらしい振る舞いだ。
つん、と込み上げた鼻の付け根の痛みは見ないふりをする。軽く乱れた髪と衣服を整えて、ぐいと頬の肉を引っ張り上げる。一目だけ鏡を見て、余計な痕が顔に残っていないことだけを確認し、テメノスはドアノブに手をかけた。
「テメノスさん」
顔を見せるとクリックは心の底からほっとした表情をした。その目尻が赤いことに気づいてしまって、少し気まずい。
――君も眠れていないじゃないか。
的外れな八つ当たりが喉元までせり上がった。意地で呑み下す。
彼が立ち尽くしていたダイニングを横切り、繋がっている炊事場を覗く。釜戸の上で甘い湯気を吐き出す鍋の蓋がことことと揺れていた。あまり嗅ぎ馴れない香りだが、どこかで嗅いだことがあるような。なんだったか。
「……あれは?」
問いかけたテメノスに、クリックは眉根を下げて答えた。
「ヒカリさんからアズキと向こうのライスを戴いて、アズキガユを炊いていまして」
その一言で疑問が氷解する。あの旅の最中に、ヒカリが口にしていた料理だった。モンテワイズの闘技場で刀を振るっている最中だったか。
アグネアからの又聞きだが、彼の、ク国の戦士にとって特別な意味を持つ料理だと言っていた気がする。戦の前に食すもので、紅色の粥に亡き友の血を重ね、自らを奮い立たせる。そう言っていたように記憶している。
目を伏せる。瞼の裏に、暗い洞穴の中で倒れ伏す上級聖堂騎士たちの姿が浮かんだ。出来ることなら救いたかった、救えなかった命の記憶。
――ああ、そうか。
今のクリックの門出にこれ以上相応しい食べ物はない。
――愚かだな、私は。
彼のそんな意思にも決意にも気がつかないで。
「クリック君」
「は、はい」
「手伝ってください」
炊事場に立って思索する。独り暮らしをしていたとはいえ、彼が料理を習い始めたのはあの旅の最中だ。それに新人の頃とはまた別の忙しさに追われるだろう。しなくてよかった付き合いだって生まれる。どうしたって外食が多くなるのは、容易に予測できた。
――手がかからない、一食で栄養を賄える料理か。
幸いにもそういったレシピには事欠かない。自分のものぐさな性格が初めて役に立った。
食材ストックの棚から材料を取り出す。ジャガイモ、ニンジン、オニオン、キャベツ。おおよそどこでも手に入る。ソーセージに手を伸ばしかけてやめた。代わりに奥まったところに残っていたコンビーフの缶を取る。
ジャガイモはよく洗って泥を落とし、芽だけをくり抜いたら皮ごと適当な大きさにカットする。ニンジンも飛び出している根だけを擦り落としたら皮ごと乱切りに。オニオンは皮を剥いたら繊維に逆らって大ぶりに。
キャベツの芯を落とそうとしてそれもやめる。そのまま包丁をいれてざっくりカットしてしまう。
そこまですればクリックも察したようで、大きめの鍋を出してくれていた。
根菜だけを先に入れ、焦げ付かない程度の加水をして火にかける。野菜から水分が出るので必要以上の水は不要だ。鍋の温度が上がり、ふつふつと煮立ってきたら火を絞ってオニオンとキャベツを投入する。面倒なので余計な香草は使わない。ハーブソルトを適量ざかざかと振りかけ、一度だけ大きく掻き回し、蓋をする。
煮込んでいる間にコンビーフの塊を4等分にカットする。
「火を通しすぎるとコンビーフが固くなるので野菜が煮えたと思ったくらいで入れてください。上等なほしにくだったらオニオンとキャベツと一緒に入れてしまっていいでしょう」
青玉の瞳が驚き揺らいでテメノスを見る。極寒のストームヘイルではソーセージよりもほしにくの方が手に入りやすい。雪山で鍛えられ引き締まった獲物の筋肉が、加工した際に噛み応えのある繊維となるのだといつかオーシュットが言っていた。
役目を終えた包丁を水桶に放る。
「だから……っ!」
食べられるときは食べなさい。
続けようとした言葉を、続けられなかった。毛布と同じ、しかしほんのり甘いものが混じった匂いに閉じ込められる。腰と背中に回された太い腕に、身体が軋むほど強く抱きしめられる。
息を止めて、歯を食いしばって、目の前の胸板に顔を埋めた。そろそろと背中に手を伸ばしてしがみつく。滲んだものは涙なんかじゃない。心の汗だ。そんな言い訳をして抱擁を受け入れた。
2つの鍋が静かに鳴く炊事場で、許されるまでそうしていた。
淡い紅色をしたアズキ粥からほこほこと湯気が上がっている。甘い匂いは赤いアズキからだけではない。ク国のライスはこちらの大陸で好まれるものよりもずっと甘くて、そのまま食べても優しい甘さがあった。柔らかく煮込まれたライスの合間にころころとしたアズキが覗いている。
クリックが淹れてくれた茶にも豆が入っている。こちらもかすかに甘い香りがしているが、それよりも香ばしさと芳しさが強い。
2人とも箸の扱いには長けていないので添えられているのは木のスプーンだ。
野菜を煮込んだポトフのスープは澄んだ黄金色。コンビーフから脂が溶けてスープにコクを与え、食欲をそそる匂いが立ち込めている。皮ごと煮たジャガイモはほっくりと仕上がり、ニンジンからは力強い甘さが香っている。オニオンは飴色に、キャベツも芯まで甘くとろとろになっているが、大ぶりにざっくり切ったおかげでしっかりと形が残っている。
食前の祈りはなかった。
なんとなく、なくてもいいだろう。そんな気持ちになった。神だってサボるのだ。一度くらい目溢しがあったっていい。
木匙を持ち上げたところでやっと空腹を思い出した。ずっと胸が詰まっていたのだ。仕方がない。
そっと粥の器を引き寄せて、匙を入れる。とろみを帯びた粥を一掬いする。粘りけが強いのか湯気が逃げていかない。
数度、息を吹きかけてから啜るように口に入れた。匂いと同じく、ふわりとした甘さとわずかな塩味が調和をもって口腔に広がった。テメノスの故郷は間違いなく彼の国ではないのに、何故か懐かしい気分にさせられる。
咀嚼がいらないほど柔らかく煮込まれたライスと豆は、昨晩から何も食べていない胃に優しく落ちる。冷えていた身体の芯に熱が戻ったようだった。食欲がなくとも食べやすい。また強請りたいなと思って、半年は叶わないことを思い出し、首を振る。
レシピは憶えない。たぶん、自分が作っても物足りなく感じてしまうだろうから。半年後までお預けだ。
コンビーフで仕上げたポトフは淡白な見た目よりも野趣溢れる味になる。クリックは皮つきのジャガイモを軽くつぶしてスープに絡めていた。スプーンで崩した野菜の合間から香りと湯気が立ち昇る。噛み締めるようにひとつひとつの具材の甘さを味わいつつ口に運ぶ。
互いの器が空になるまで無言だった。息苦しさはない。ただ、無駄な口を叩いたら口の中に広がる味が、熱が、彼方に逃げていってしまうような気がして。お喋りをする気になれなかった。
クリックよりやや遅れてテメノスは空の器を置いた。腹の底がぽかぽかと温かい。鬱陶しかった片頭痛もすっかり治まっていた。腹が減っては戦は出来ぬ、とは本当のことだ。居住まいを正して彼に向き直って。
「テメノスさん」
一瞬だけ早く、クリックの方がテメノスの名を呼んだ。今日、初めて真正面から彼の顔を見る。
赤く染まった目尻。緊張気味に引き締められた眉と唇。いつでも、どんなときでも澄んでいる青玉の瞳。薄く開いた唇がすう、と大きく息を吸い、同じくらい長く吐く。男らしい喉仏が上下した。
「アズキガユは、どんなときに食べられるか、ご存知ですか?」
「ええ、少しだけ。元々、戦の前に食すものだったと」
「はい。自らを奮い立たせるのと……そして、誓うものなのだそうです。必ず〝生きて、帰らねば〟と」
「……」
真っ直ぐに瞳を覗き込まれた。
――君は、ここに帰ってきてくれるんですか。
何より雄弁に伝わってくるのに臆病な本心が邪魔をして、その一言が音にならない。
「あと」
「……?」
「アズキには厄払い……ええと、邪なもの……悪い出来事や病を払う力があるそうで。新しい年の始まりだとか、新しい環境や生活を始めるときにも食べられる……らしいんです」
それは知らなかった。知らなかったが、うん。ますます彼の一歩を祝うには相応しい。頬を叱咤して微笑む。
――君の歩む道に。
なんと言おう。聖火の加護、は空々しい。光あるように、はどんな神官でも言える。
君の歩む道に。道を。
言葉を選んでいるうちにこほん、とクリックの咳が空気を震わせた。
「……上級聖堂騎士の宿舎は規則が厳しいんですが」
「はい」
「その、か、家族だと、少し、ゆ、緩くなる……ので」
「……はい?」
脈絡と意図が読み取れなくて間の抜けた声が出てしまった。頭の中でぱらぱらと規則に関するページを捲る。
既に思い返した通り、上級聖堂騎士の研修に使われる宿舎の規則は厳しい。出るまでの間、他人はほとんど干渉できないも同然だ。
しかし、家族と認められている者なら多少は違う。手紙の回数制限もずっと緩やかなものだし、余程の非常時でなければアポイントメントを取って会うことも可能だ。
――何故、今、その話が……。
そこまで考えてはた、と気づいた。気づいて、いやまさか、とすぐに弾く。まさかそんな。あまりにも都合が良すぎる妄想はやめるべきだ。
そう思ったのに、視線を宙から戻した先で、クリックの頬が熟れた林檎よりも真っ赤になっているのを見てしまった。
「て、テメノスさん!」
「は、はい」
「て、手をっ、出してもらえますかっ?」
利き手を出しかけて左右に首を振ったクリックに止められる。攫うように逆の――左手を取られた。
常に高めの体温がさらに熱を持っているような気がする。手汗もひどい。けれど、振り払う気にはなれなかった。
手のひらにきらりと光るものが見える。少々、指先を震わせ、もたつきながらもクリックはテメノスの薬指へ恭しくその光るものを通した。指のサイズなんて、いつのまに測ったのだろう。ぴたりと収まっている。
銀色の細い輪に、小粒の、しかし一目で上質とわかる青い石が嵌めこまれていた。
石をク国で探してもらって、よい銀を仕入れてもらったんです。
か細く、くぐもった声で言う。ク国の友人と元・銀鉱山の町出身の友人から届いた手紙が脳裏をちらついた。
――いや。いやいや。
それらの手紙が届いたのはかなり前の話ではなかっただろうか。まさか、あんなときから。いや、でも。
「その!」
テメノスの混乱を、強く吐き出されたクリックの一声が断ち切った。
「僕、は、家族に恵まれていたとは、言えません」
身体も、喉も、動かない。
「家族がどんなものなのか、とか。正直、理解できていないと思います」
声が、言葉が、出ない。
「でも、あなたと、この先ずっと一緒に……同じ家で、同じものを食べて、暮らしていきたい。その気持ちは本当です」
心臓が口から飛び出そうで。
「だから……だから」
君があまりにも精悍さを増した顔つきで。
「ま、毎日……では、なくていいので! 僕のために料理を作ってください! そ、それから僕も頑張るので、作ったものを一緒に食べてください!」
あまりにも可愛いまま真っ赤にするものだから。
卓上で繋いだ指が震えている。耳まで真っ赤になったクリックが、火傷してしまいそうな熱を孕んだ瞳でテメノスを射抜いてくる。テメノスの頬と耳だって熱い。今は鏡を見られそうにない。見たくない。
――ずるい。
こんなの、ずるい。ずるいじゃないか。
「手を、離してください」
クリックの顔が途端に泣きそうに歪む。違う。違うのだ。そういうことじゃなくて。
「だって、君のところに行くのにテーブルが邪魔で」
いつも向かい合って心地よい一時を過ごすこの距離が今は邪魔だ。一度、絶望した青玉の瞳が見開かれテメノスを見る。その顔がぼやけている。ああ、なんだかな。先ほどから、なんだか視界が悪くて仕方ないんだ。
「私も、君と、ずっと一緒にいたいです」
君がいなかったら、もう、何も作る気が起きない。味がしないし香りもしない。面倒なことをすべて放棄して、きっと、生きていられる最低限のものを摂取する味気ない日々に逆戻りだ。
「わたし、私には」
もう、君が必要なんです。
がたん、と椅子を蹴る音がした。がちゃん、とテーブルの上の食器が揺れて音を立てる。
手を掴んだままのクリックがテーブルを回り込んで、テメノスのもとへ辿り着く。炊事場で交わした抱擁と同じくらい、否、もっと強く、強く、抱き締められて胸が苦しい。
「勘違い、じゃないですよね?」
「何をですか」
「あなたはたまに本当にずるい逃げ方をするから」
「ずるいのは君でしょう。私が昨日、どんな気持ちだったと」
「それは……すみません。どうか、泣かないでください」
「泣いてません」
「泣いてるじゃないですか」
「心の汗が止まらないだけです」
口づけが落ちてくる。つむじに、こめかみに、額に、瞳に、鼻先に。
そして唇に。
同じものを食べていた唇は、薄っすらと塩辛くてふんわり甘い。
甘くて、甘くて、とても甘いのに全然、飽きる気配がない。たぶん、一生。ずっと味わっていられる。やめられない。誰に駄目だと言われても譲れないし、譲らない。
「手紙、遅れたら拗ねますからね」
「わかってます。ちゃんと、会いに来てくださいね」
「はい。……大好きです、クリック君」
「僕も……愛しています、テメノスさん」
君の歩む道に溢れんばかりの幸いがあらんことを。
しあわせの作り方。
まず、一緒に美味しいごはんを食べましょう。
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