ayu
2024-04-14 19:18:53
1180文字
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いっときのユメ

※注意※
心中表現があるため、苦手な方はご注意ください

「...trainer、今から気分転換にどこか行かないか?」
「急な話だね」
「本当にごめん、どうしても行きたいところがあってさ!仲間の奴らを誘いづらくて。」
「まぁどうしても行きたいところがあるならわたしは付き合うよ?」
「Really!? それは助かる!」
そうやって連れられて来た場所は、学園からさほど離れていない海辺の海岸。
夏が始まるこの季節に人1人すらいないのはもの悲しい気分になったが、今の時間は夜。
時間が時間だからいないのは当然なのかもしれない。
「航海士殿!この海綺麗だろ?」
「あ、うん」
「hey! なんだよその反応。」
そこにはタップの不服そうな表情があった。
「ここの海、夜になるとキレイとか前聞いたから、航海士殿をどうにかして連れていきたかったんだ。」
「たしかにタップの言う通りかも。キレイ...」
「だろ!」

だけどタップはまだまだ私に言いたいことがあるのか、私の身体にぴったりくっついてきた。
「航海士殿は、この時間が止まればいいって思ったことってあるか?」
タップは前を進み続ける性格だとわたしは思っている。
だからこそ、タップのこの言葉には驚いた。
「たしかにわたしはよくあることだけど、最近はそうならないように気をつけてるな。」
「そうだよな、航海士殿はそうだったな!」
タップの表情が真面目な顔からいつもの笑顔に変わる。
先に立ち上がったタップに手を引かれたのもあり、タップに思わず身体を預けてしまった。
「ごめん...ッ」
わたしはタップの表情を見れなかったが、わたしを抱きしめるタップの腕は身体が僅かながらに震えていた。
「タップ...?」
「こんなことをしても、もう無理なのは分かってる。
だけどこうしないと、どこかに行ってしまうから...。」
タップは悲しさと後悔の表情を浮かべながら、私の腕を引っ張り海に向かっていく。
「タップ!?真っ直ぐ行ったら海だよ!?」
あぁ、普通ならタップの担当トレーナーで大の大人であるわたしが強く止めなければいけなかった。
しかし、このときからわたしとタップの運命は決まっていた。

「航海士殿の最後の思い出に、アタシのことを一番で思い出してほしい」
着衣のまま、タップとわたしは海に浸かりタップは変わらずわたしの手を引っ張っていく。
何時間が経ったのか分からないけど、わたしとタップは海のなかでひとつに溶け合った。
わたしたちはお互いに嫉妬深い性格で、わたしがタップが他のウマ娘と仲良くしていたら激しく嫉妬して「タップはあの子と仲良くしすぎ!」と普通にタップに言う性格だし、タップも同様。

だから、これで良かった。
タップとわたしのふたりがしあわせなら、なんでもいい気がするからタップはこの選択を選んだのだし、わたしもその選択肢を選んだ。

そう、夜の海に誓って。