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あやや
2022-01-14 10:48:56
1491文字
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ふみひら 貫之vs公忠
試合開始の鐘が鳴る。
もう、何度聞いただろうか。
あと、何度聞けばいいのだろうか。
忌々しい鐘の音を聞きながら、貫之はため息を吐く。
今回の試合は、紀貫之と源公忠の試合である。
異能の相性により、貫之は勝ちを確信していた。やるだけ無駄とまで思っている。公忠は武器を持っておらず、試合前も持って行くような素振りは見せなかった。
ふと、甘い匂いがした。
公忠の異能の毒だろう。
息を止め、刀を構える。
うっすらと紫色の煙が見える。漂ってきている方向を確認してから、異能で風を起こす。毒煙は簡単に流れ、自分の周りから無くなる。
「公忠はあっちにいるはずね
…
。」
貫之は警戒しながら煙の漂ってきていた方向へ歩いて行く。
毒煙が見えても、風で飛ばしてしまえば吸うことはない。
しかし、少しだけ、手が痺れてきた。最初にほんの少しだけ吸ってしまったものの効果が出たようだ。
「チッ
……
少ししか吸ってないのにこの効き目
…
」
貫之は公忠の方へ急ぐ。
「暇ですね!!!!!!!!」
試合が始まっているにもかかわらず、公忠は暇だとのたまう。
公忠がしているのは、毒を撒き散らしながら、それを吸わないように袖で口元を押さえることのみ。暇である。
「そういえばこの煙ってどこから発生してるんでしょう?僕から発生してるのはわかりますけど、どこから
……
」
クルクルパタパタと動く。何も分からない。
「僕から発生してるのに自分にも効くってどういうことなんでしょうね!!!不便!!!!」
面布と眼鏡を投げ捨てる。
「
………
つらゆき殿、まだですかね!」
ただ、貫之を待つ。煙の方向に向かってくるであろう貫之を待つだけ。暇である。
しばらくすると、こちらに向かってくる桜色が見えた。
「随分余裕そうね。」
貫之は紫色に包まれながら謎の舞をしている公忠を見て呆れている。
「あ、やっと来ましたね!煙のおかげで僕の場所わかりやすかったでしょう?」
「ええ、そうね。
…
あなた、戦う気あるの?」
「あっははは!いやぁ〜さすがにそれは
…
相性悪いのでね!煙がす〜ぐ吹っ飛ばされちゃいますから攻撃手段皆無です!!!」
公忠は貫之にまっすぐ向き合い、腕を広げる。
「痛いのは嫌なのでね!一撃で仕留めてください!!」
「
…
嫌よ。無抵抗の相手を斬る趣味はないわ。戦う気が無いならちゃっちゃと降参しなさい。」
「えっ!降参とかアリだったんですか?!」
「はぁ
……
するなら早くしなさいな。」
公忠に戦う気が無いとわかった貫之は、刀を納める。
公忠はそれを待っていた。
貫之の戦意が無くなる瞬間。
大きく息を吸い、一気に距離を詰める。
貫之は先の毒で動きが鈍っていることもあり、咄嗟に反応ができず懐に入られてしまう。
「っ?!何、をっ
…
?!」
面布を引っぺがして唇を重ねる。
そのまま息を吹き込んでいく。
毒が、公忠の体を経由して、貫之の中に直接流れ込んでいく。
ゆっくりと唇を離す。
「
…
油断はいけませんよ!僕は降参するだなんて言ってませんから!!」
「最悪よ、あなた。」
「何とでも言ってください!知っていたはずですよ、僕が手段を選ばない人間だと!!」
「
…
そうだったわね。今回は私の負け、ね。」
もう既に体が動かない。かなり強力な毒。動ければ斬りつけることもできたが、動けないのなら負けを認めざるをえない。
「助かりましたよ、つらゆき殿、あなたが馬鹿な人で。」
すぐに毒は回り、貫之は意識を失い、倒れる。
それと同時に、貫之以上に毒を吸っていた公忠もまた、意識を失った。
紀貫之 対 源公忠
引き分け
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