りっつぁ
2023-02-17 22:29:18
7560文字
Public ホーケヴィ
 

キスされないと起きられない呪いにかかったケビちゃんの話

お題ガチャ「ご都合呪いにかかりました」で出たやつです。https://odaibako.net/gacha/8484?share=tw
ケビちゃんがキスで起こされないと目覚めないご都合のろいにかかりました。呪いは72時間=3日後に解けます。
アンホケヴィパでケビちゃんにキスしてくれるのはホくんでホーケヴィです。そんな呪いなので寝起きのシーン5連発です。
書けなかったけど、呪いがかかる条件=恋してること的な感じと思ってました。
くっつく前のホケビが甘酸っぱいと私が嬉しいです。

 いきなり目の前、しかも鼻が触れそうな近さで、彼と目が合った。ホークアイ。呆然と名前を呼ぶと、彼はすっと体を引いた。動きの悪い喉がちりっと痛む。眠っていたのだろうか。何がどうなってこうなったのか、ケヴィンは記憶を辿る。濃い緑のにおいだ。故郷の森とも違う、むせ返るような。仰向けに寝そべった視界を埋め尽くす、鬱蒼と差し交わされた枝葉。
……起きたな、本当に」
「ええ。……困ったことになっちゃったわね」
 ホークアイとアンジェラが、なんとも言えない顔でこっちを見下ろしている。ケヴィンは土の上で半身を起こした。
「えっと、……オイラ、何か、した?」
「アンタが悪いわけじゃないのよ。でも……
……だからこそ、質が悪いやつだな」
「何が、あった? ちゃんと教えて」
 歯切れの悪い様子に嫌な予感がして尋ねても、二人はそろって言い淀むばかり。不安を煽られ、手の爪が地面を削る。問い詰める口を開く一瞬前に、待って、と甲高い少女の声が割り込んだ。宿主のアンジェラから、フェアリーがふわっと舞い上がるように姿を現す。
「二人とも、言いにくいだろうけどちゃんと話してあげたほうがいいわよ。ケヴィン、落ち着いてよく聞いてね。心配しなくていいのよ、なんてことないんだから。ただちょっと呪われただけ」
「え!?」
「待て待て、フェアリーちゃん直球すぎ」
「そうよぉ、固まっちゃったじゃない。一応、順を追ってもう一回整理しましょ。私たちもついでに」
「オイラ達、神獣倒しに行く途中、で……だった、よね?」
「やだ、しっかりしてよね。どこまで覚えてるの?」
「う、……え、っと、……
 いざ尋ねられるとしどろもどろになる。ケヴィンの言葉を待たず、彼女達は口々に今に至るまでの出来事を話し始めた。
 木の神獣を探して降り立った樹海。魔物や獣が踏み固めた道を歩ければまだましな方で、行く手を塞ぐ大木を登り、わずかな足場を頼りに濁った川を渡り、神獣の気配を追おうにも一直線に進むことなんて到底叶わず迂回と方向転換の繰り返し。どこに向かっているかわからなくなるし、溜まる疲労が体を重くして、反応も鈍くなる。魔物にとどめをさして気が緩んだその瞬間に、新手が現れ魔法を放ってきた。ケヴィンが真正面から食らったそれは眠りの魔法で、取り立てて治療をせずともすぐに目が覚めるはずだった。だけど。フェアリーが眉尻を下げて言う。
「魔法が解けるのに十分な時間が経っても、アナタ全然目を覚まさなくて……だから調べてみたのよ」
「そしたら、妖精だか悪魔だか、そんなヤツが残してった呪いが、モンスターの眠りの術と一緒に入り込んじゃったかもしれないんですって。そんなことあるのねぇ」
「私もよくは知らないんだけど、術者がいなくなっても残せるような呪いって、発動するための条件があるはずなのよ。時間帯とか天気とか、どんな人がなにをしたとか。ケヴィンはその条件のどこかにはまっちゃったみたいなのね」
 テキパキと説明を続けるフェアリーの声が、耳を素通りしていく。相槌も打てないケヴィンの顔を覗き込み、ホークアイが気の毒そうに言う。
「こんな呪いがかかっちまうような条件、ねぇ……そういう恨み買うタイプとも思えないけどな」
「あら、呪いだからって恨みからだとは限んないわよ。呪いの主が人間じゃないってなら尚更ね」
「面白がってるだけとか?」
「そういうのもあるだろうし、……そもそも呪いの定義って何なのかしら。単に効き目が長く続く術を言ったりもするじゃない?」
 かたや好奇心の強いお姫様で、もう片方は話好きの聞き上手。この二人、話題が明後日の方向に転がり出すととにかく長い。ちょっと待ったと話を遮ったケヴィンは、一斉にこっちを向いた三人分の視線にたじろぐ。
「あ、の、……オイラにかかった、呪いって、……
 まだ大事なことを聞いていない。すぐさま答えが返ってくると思いきや、気まずい沈黙が流れた。またも言いづらそうな仲間の二人を後目、フェアリーが顔の前まで下りてくる。
「気になるわよね、当然。アナタにかかった呪いはね、誰かにキスしてもらわないと眠りから目覚められないっていうものなの」
……へ?」
「だから、ケヴィンが眠るとするでしょ。その後、誰かがキスしなかったらアナタずっと寝たままなの。そういう呪いよ」
 言われていることがわかったけど、わからない。呆気に取られるケヴィンに、フェアリーは大丈夫だと微笑む。
「そこまで強いものじゃないの。だから、呪いの効果はせいぜい三日くらいかしら。三日間くらい誰かにキスして起こしてもらえばそれで大丈夫、何か他に悪いことが起こったりはしないと思うわ」
「誰かって、……
 この場には自分を除けば後二人と、とても小さいけれどもう一人。この中の誰かと三日間、眠りから目覚めるためにキスをする? どくんと大きく脈打った心臓に気づかれないよう、俯いた。慰めるようなアンジェラの声が降ってくる。
「気にしなくていいのよ、ケヴィンのせいじゃないんだから。あ、私はしてないわよ。こんなことでキスしなきゃいけないなんてアンタちょっと可哀想だし、私とするのが一番問題あるじゃない?」
「オレとすんのも十分問題あると思うよ?」
「いいじゃない。アンタが相手だったらまだ、スイッチ押したようなもんだって言い訳も立つわよ」
「かなり無理あるだろそれは」
「じゃあ、フェアリーがするの? それもちょっと、……
「私は構わないけど」
「アンタが構わなくても私たちが構うの」
 ほら、と背中を叩かれ、ホークアイが申し訳なさそうに笑いかけてきた。
「まぁ、そういう感じでさ。呪いが解けるまではオレが目覚まし係ってことで」
……さっきのも、ホークアイ?」
「ああ」
「くち、に?」
……ごめんな?」
 ううん、と上の空で首を振った。表情を動かさないケヴィンをどう思ったのか、アンジェラが遠慮がちに説明を付け足す。アンタがどうやったら目を覚ますかわからないから、いろいろ試したの。顔のあたりを触ると魔力が動くみたいな感じがあったから、そしたらキスしたらいいんじゃないかってフェアリーが。うん、と頷いて返すけれど、言われたことが頭に全然残らない。
 ぼうっとしたまま、指先で唇をなぞる。キスした、ホークアイと。どくどくと走り始めた鼓動がうるさかった。



……起きたか?」
「うん、……ありがとう」
「礼はいいよ。その代わり、この後頼むぜ?」
「うん」
 神獣の居場所にようやく当たりがつけられて、一休みしていたのだった。樹海は夜の闇に飲み込まれ、月明かりも朧げにしか届かない。夜は、血の巡りが早くなるような感じがする。ケヴィンが獣人化できるというだけが理由で、これだけ視界が悪い中を進んでいこうというのだから、戦力としてできるだけ役に立ちたい。その気持ちが本心であるのは間違いないのだが。
 アンジェラと何やら話し込んでいるホークアイから目をそらした。顔が熱い。心臓が痛い。座り込んで木の幹に背中を預けた体勢から動けない。これだけ動揺しているのに、彼の感触をちっとも残していない唇に落胆もしている。
 馬鹿みたいだ。こんなんじゃ、戦えない。
 体と心を波立たせる感情を振り切るように、立ち上がった。



「おはよ」
 気だるそうな笑みに、胸がきゅっと苦しくなった。
「さすがに疲れたろ」
「ん、でも、……だいじょうぶ」
 ここで目覚めるのは二度目だ。ぱちぱちと、暖炉の中で薪がはぜる音。窓の外は雪が降りしきる。灰色の雲が垂れ込めて、今が朝なのか昼なのかわからない。でも頭も体もやけにスッキリしているから、それなりにまとまった時間を眠っていたのだろう。氷の神獣の棲家だった洞窟は、あまりにも寒すぎて仮眠をとることもできなかった。最深部まで一気に駆け抜けどうにか神獣を倒したときには三人とも疲れ果て、およそ半日前に出発した宿屋に戻ってきたのだった。
 誰かに起こしてもらえない限り眠り続ける。そんな呪いを受けているからか、眠りがいつもより深い気がする。夢も見ず、目覚めてもしばらくは頭がぼんやりしている。昨日のことを思い返していると、柔らかい感触が額を撫でた。ホークアイの指が、前髪を梳くようにかきわける。
「無理するなよ。今日はまるまる休むことになりそうだし」
「え、……オイラ、もう平気」
「それでも。急ぐ旅だけど、誰か体壊したりしたら元も子もないだろ。それに、肝心の姫様がテコでも動かないとさ」
「アンジェラが?」
「他に誰がいるんだよ。ほら、」
 噂をすれば。ホークアイが肩越しにドアを見やった。この部屋の様子をうかがっていたようなタイミングで、ノックも無しに扉が開く。
「あ、やっぱりケヴィンも起きたのね」
「やっとね」
「アンタがやっと起こしたんでしょ。ケヴィンは起こしてもらわなきゃ起きられないんだから」
「あんまりよく寝てたから、起こすのも忍びなくてさ」
「ああ、そういうことならしょうがないわね」
 アンジェラはうんうん頷きつつ部屋に入ってきて、ケヴィンが寝ているベッドに腰を下ろした。
「あーもう、疲れが取れないったらないわ! たっぷり寝たのにまだだるいし、足も痛いし、ケヴィンだって疲れてるみたいだし、今日は無理よ。どこにも行かない!」
「っていう感じで騒いで、フェアリーちゃんも折れてくれたわけ」
「私だってアナタたちが心配なのよ。それに、アンジェラはこうなっちゃったら何言っても聞いてくれないじゃない」
 いつの間にか姿を現したフェアリーが嘆息する。ケヴィンはのそのそと上体を起こした。こっちに背を向けてしまったホークアイの後ろ姿をぼんやり眺める。束ねた長い髪が揺れる。触ったらどんな感じがするんだろう。
「休むんだったらキミんとこの城下にでも行くかい? 手配は解いてもらえたんだろ?」
「そうね。……でも、ここがいいわ。落ち着くし、前に来たときは全然見て回れなかったしね」
「意外と元気じゃないか」
「それとこれとは別の話でしょ。魔法を使う元気が出なくても買い物には行けるわよ」
「都合が良いなぁ」
「何よ、アンタだって似たようなもんじゃない」
 この二人の会話はテンポが早くて、ついていけないなんていつものことだ。元々話すのは得意じゃないし、軽口をぶつけ合う彼らを見ているのは楽しい。でも、今は頭に重石をのせられたみたいに気分が沈み込む。
 いろいろ不満も言うけど、この人達は馬が合うんだと思う。二人して顔かたちも綺麗だし、見た目にも収まりがいい。三人でいればまだマシかもしれないが、自分が彼らのどちらかと二人でいると、一見仲間だとは思われないような気もする。
 なんか、嫌だ。
 じわりと口の中が苦くなったような気がして、唾を飲んだ。



 今日も、目が開いた。起こしてもらえた。それはいいんだけど。
 ぷちゅ、と湿った音がして、唇が離れる。ちょっと吸われた。そう思ったら、唇がじんじん脈打つような感じがしてくる。
「おはよう」
「ぅ、……お、はよ」
 ぎこちなく挨拶を返す。キスした直後の距離で、ホークアイが笑った。驚きで頭はすっかり目覚めているのに、体が動かない。身支度を始めたホークアイを、食い入るように見つめる。
「さすがにもう慣れたか?」
 投げかけられた質問の意味がわからず、目を瞬かせた。
「こうやって起こすのも。気まずそうな顔しなくなった」
……気まずい、かは、わからない。けど、……
 戸惑ってはいる。目を開ける瞬間に唇が触れていたのは初めてだから。ホークアイの態度は至って普通で、何か変わったことをしたなんて思ってもいなさそうだ。でも、彼に限って、ケヴィンが目を開けるタイミングを今朝だけ見誤るなんて、あり得るだろうか。
……ホークアイ、えっと、今、」
「慣れてきたころに終わるんだから、損したような気になるな」
「あ、……
 今日で三日目。フェアリーの見立てが間違っていなければ、明日は自然に目が覚めるはずだ。今のが最後だった。
「どうした?」
……なんでも、ない」
「起こすのが遅れたのはオレのせいだけどさ、早く準備しろよ。またアンジェラが乗り込んでくる」
「うん」
 今日は、風の回廊に向かう。遅れを取り戻すために一度は探索した場所、そしてアンジェラの希望で極端な気候ではない地域。二つそろうのはそこしかなかった。久々にゆっくり休めたし、頑張らないと。反動をつけてよいしょと体を起こし、着替えようとした手がふと止まる。
 あれが最後になるなら、覚えておきたかった。少しだけ吸い上げられる、離れる。乾いていてするりと滑らかで、柔らかい。もうほとんど忘れかけた感触を、半分以上想像で補う。もっと早く目が覚めていれば、あんなに動揺しなければ、なんだったらあのまま彼の肩にしがみついてキスをやめなければ。そんなこと出来っこない。
 指先だけで、そっと唇をなぞった。確かに、ここに触れたのに。



 多分、朝。波の音が聞こえる。質素な宿の天井に一つまばたきをして、目を閉じた。もともと寝起きはすこぶるよくて、目を開けると同時に起き上がっているくらいなのに、今日は起きたくない。
 終わっちゃった。無事に呪いが解けた安堵を上回ってあまりある喪失感。ぺしゃんこに押し潰されたみたいに、がっかりしている。だって、もう二度とキスなんてしてもらえない。部屋の中に彼の気配がないのをいいことに、ケヴィンはぐるんと寝返りをうち枕に突っ伏した。
 わかってる、わかりきってる。気づきたくなかっただけだ。男だし口下手だし知らないことばかりだし、おまけに人間なのは半分だけ。望みなんて全然ないだろうってことは、直感としてわかっていたから。でももう、知らないふりもできそうにない。
 ホークアイが好きだ。目が覚めたときのことを何度も思い出して、都合の良い結論に繋がるような記憶を拾い出すのがやめられない。目を開けると毎回、冴えたように光る金色の瞳に見下ろされた。それこそアンジェラが言ったみたいに、目が開くスイッチを押しているようなものなんだから、ケヴィンが起き出すまで待っていることなんてない。なのに、目覚めると必ず目の前にいた。愛しむように触れていった指も、わざと終わりかけを味わわせたみたいな昨日のキスも、〝目覚まし係〟がやることじゃない。
 期待したくないのに。好きだという感情をただただ煽られて、だからってどうにもできない。さすがに息苦しくなってきて、枕に埋もれていた顔を上げたとき。
「あ、っ!?」
 肩を押され、仰向けにひっくり返された。すぐ近くで、ふっと湧いて出たように強くなった彼の気配。多分、ずっとここにいた。気配を殺してこっちを見ていた。瞬時に理解して、カッと頬が熱くなる。
「ホークアイ、」
「目、まだ開けるなよ」
 ひやりと冷たいものが瞼を覆う。彼の手。なんで、目隠し? 自分のじゃない体温が鼻先まで近づいて、生ぬるい吐息が唇にかかった。
「眠ってるんなら、起こしてやれるだろ」
 えっ。思わず漏れた驚きの声が、唇と唇の間に封じ込められた。半開きの唇をかぷっと甘噛みされて、舌先が粘膜のふちをくすぐっていく。キスだ、これ。でも。昨日までと全然違う。
 目を塞ぐホークアイの腕を掴む。彼の舌が、唇も歯も通り越して口の中に入ってくる。のしかかられて、唇が深く噛み合う。薄い舌は器用に動き回り、ケヴィンの舌を絡めとる。
「ん、んっ……
 上顎を舌先でくすぐられ、喉がひくついた。ここ、ゾクゾクする。混乱と動揺が遠くなって、代わりに体が疼きはじめる。もっと舐めてほしくて顎を反らす。上顎から歯茎の裏まで、そういう生き物みたいに舌が這っていく。溜まる唾液を繰り返し飲み込む。
「っんぅ、は、ほーく、ぁい、」
 ほんの少しの隙間も許してくれないから、まともに息が吸えない。目隠しをしていた手はとっくに外れて、ケヴィンの後ろ頭を抱える。もう片方の手は首から顎の線を撫で、耳たぶを摘んだ。ぞわっとして肩が跳ねる。すぐに気づかれて、指先は耳を這い上り、内側の凹凸を丁寧になぞっていく。これ、ダメだ。体のそっち側だけに鳥肌が立つ。くっつき合った口腔の中、舌で舌を捏ねくられ、かき混ぜられた唾液がぐちゅぐちゅ水っぽい音を立てる。ホークアイはもう体ごとケヴィンに乗り上げていて、膝頭を股の間に押し込んできた。ぐいぐいと強く刺激されて、下半身が痺れる。気持ちいい、もう勃ってる、これダメだ、だめ。突然怖くなって、ホークアイの両肩を強く押し返した。
「ぷは、はぁ、……
「息止めてたのか?」
「ちょっとしか、吸えなかった、」
「鼻で吸えばいいんだよ」
 で、どうだった? ケヴィンの腹の上に座って、ホークアイは小首を傾げてみせた。どうもこうも、未知の領域だった。濡れたように見える唇を、じっと見上げる。
……すごかった」
「気持ちよかった?」
 言葉に詰まる。目をそらして頷くと、ホークアイは機嫌良く笑ってひょいと床に降りた。これで終わり? 反射的に手を伸ばし、彼の腕を取る。
「ん?」
「えっと、なんで、……
 うん、と頷き、ホークアイはこっちを見下ろしている。最後まで言わなくたって察してくれているはずなのに、待っている。今から言おうとしていることは、彼に尋ねようとしていることは、なにかまずいんだろうか。そう思って二の足を踏むが、聞かずにはいられない。
「なんで、……キス、した?」
……まぁ、お前ならそうくると思ってたけどね。でもそれ、ちょっとズルくない?」
 彼はケヴィンの手に手を重ねて、ゆっくりと腕から離させた。
「自分で考えてみな。わかりやすかったろ?」
「え、」
「わかったら教えて。オレも気が短い方じゃないけど、そんなに長くは待たせないでくれよ」
 一方的に言うだけ言って、ホークアイは部屋を出ていった。ぶっきらぼうな口調だけど、声音は優しかったような気がする。答えをくれないけど、怒ったり呆れたりはしていないようだ。わかりやすいって、それって。でも違ったらどうしよう。本当の理由は教えてくれなくていいからもう一回キスしてほしいって頼んだら、してくれるかな。いやよっぽど言いづらいだろう、キスして、なんてどんな顔して言う? それよりも、ホークアイが戻ってきたときどんな顔をしていればいい?
 朝っぱらから途方に暮れて、また枕に顔をうずめた。ああもう、いっそ叫びたい。