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りっつぁ
2023-01-09 23:52:17
3798文字
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ホーデュ
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DTなのを密かに気にしてた話
ホーデュです。時期は特に想定していないけど旅の途中で、3人目は多分女子の3人パです。ホちゃんとうっかりそんな関係になっちゃったけど童貞なのを実は気にしてるデュくんと、ベタ惚れだけど自覚に乏しいホちゃんがいます。ほんとに事後が好きだな!っていう事後の話。
つまり、馴染んできたってことなんだろう。冗談じゃない。
がばっと半身を起こした。シーツと一緒に、肌に残る余韻を引っぺがす。急に動き出したオレを、ホークアイが不思議そうに見上げた。何かを言ってくるでもないのでそのまま無視してベッドから下りる。だるいけど、膝やら腰が抜けたりはしない。痛みもない。脱ぎ捨てた服を拾って身につけ始めると、ホークアイももぞもぞ動き始めたのがわかった。
「あ、デュランそれ取って」
「てめーで動け」
「動きたくないから言ってんのに」
ぶうぶう言いながら、ホークアイはベッドに寝そべった。上だけ適当に一枚着て、下は諦めたらしい。オレの疲れはお前のせいだけど、お前の疲れは自業自得だ。ベッドのそばに立てかけておいた剣を取った。
コイツとこんなことをした後は、大体こうして剣を手に取る。こんなことってのは有体に言えばセックスで、しかもオレがヤられる方だ。今思えば二人そろって何をそこまで思い詰めたのかわからないが、あのときは、激しい戦闘をくぐりぬけた末の興奮と暴走寸前の性欲を自分達二人だけで昇華させねばならないという結論になぜか至って、オレはコイツに譲ったのだ。上になる側、突っ込む側、言葉はどうでもいいがとにかくそっちのポジションを。だって、「どうしてもどうしてもどうしても、挿れて擦り付けてなんかぎゅっと狭いとこに出さないと明日から頑張れない」、なんて具体的かつ馬鹿馬鹿しい頼み方をされて、あまりにも情けなくて了承してしまった。こんなアホみたいな理由で万が一にもコイツの動きが鈍り、それが命取りなったりしたらたまらない。オレたち二人だけなら最悪なんとでもなるかもしれないが、仲間はもう二人(うち一人は人間じゃないけど)いるんだから。けど、この日限り、一回だけの約束だったからさせてやったのに、一回では終わらなかった。交代しろだのしないだのでもめたのは二回目だけで、そこから先は何の断りもなし。オレもこの点について文句を言うのはやめた。組み敷かれて体の中までまさぐられる感覚は、なんとも言いづらいが不快ではなく、もっと欲しくなった。尻の穴をどうこうされてちょっとでも気持ちいいと感じ始めたら、ハマるのは一瞬だった。やめときゃよかったなんてだらしないことを言う気はないが、少なからず後悔はしている。
剣から鞘を外して、刃の根本から切っ先まで目でなぞる。小さな欠けや刃こぼれがいくつか。荷袋をがさがさ探って、砥石と小瓶に入った油を取り出した。
「キミさぁ、いっつもそれやるよな。終わった後」
「いつもってほどいつもじゃねぇだろ」
「なんで?」
「特に理由もねぇよ」
使っていない方のベッドのど真ん中に胡座を組んで、剣の手入れを始める。何も考えなくても勝手に手が動く、慣れた作業。寝転がったままのホークアイが、体ごとこっちを向いた。
「寂しいんだけど、そういうの」
「何がだよ」
「あんなことまでしちゃってる仲なのに冷たくない? もうちょっとこう、事後感味わっても」
「いるか? それ」
「そりゃ厳密に言ったらいらないよ? ただね、平常心に戻んの早すぎというか」
こっちは早いとこ戻したくてやってんだ。刃を研ぎ直す指に無駄な力が入る。
考えなくてもできる作業であるからこそ、余計なことを考える。表面的には落ち着いて見えるかもしれないが、頭の中はぐるぐると、さっきまでのことやこれまでのことや、じゃあこれからどうすんだとか、そんなことが渦を巻く。体の方はもっとダメで、コイツの手や舌の感触を何度でも思い出そうとする。同じ性別で同い年で同じ人間だけど、肌触りも温度も全然違う。でも、触れ合うことへの違和感はもう無い。無くなっていった。知らない体温が心地よくなって、触られるのも挿れられるのも身構えることではなくなった。体を開かれるのが、与えられる快感を受け入れるのが当たり前になっている。
下半身に、淡く痺れるような感じが残っている。本当だったら、手入れを終えた剣を思いっきり振りたい。遠慮なくぶった切っていいものがそのへんにあればいい。オレは大丈夫なんだと確認したい。剣士で、男で、剣を振るえる。何も変わっていないんだと、コイツに何かを作り替えられたりはしていないんだと、確かめたい。
ホークアイは、手を止めたオレをじっと見ている。ねぇ、デュラン。柔らかく耳を撫でる声には、冷めきらない熱が篭っているように感じた。
「折角だからやってみようか。ピロートーク的なやつ」
「やんねぇよ。大体同じベッドに寝てもねーだろ」
「まぁまぁ、広い意味で後戯ってことで」
「前戯もそんなやんねぇのにか」
「え、物足りない? お望みだったら頑張るよ?」
「いらねーよ」
くくっと喉を鳴らしたホークアイを見て、これはこれでコイツの言ったように、ピロートーク的なことになっていると思った。面白くもない。ベッドに放ってあった鞘を手に取り、剣を収めた。
「ちょっと気になってたんだけどさ。デュランって初めてしたのいつ?」
「あ?」
「初めて。初体験。開通した記念日?」
「
……
どこになにが」
「じゃ、筆下ろし記念日?」
答えず、黙り込んだ。こんなどうでもいい雑談みたいな流れで、核心をつかれた。コイツとする、受け身のセックスに慣れてしまっていることへの葛藤というか引っかかりは、この辺の事情から生じているところが大きいからだ。
「
…………
教えねぇ」
たっぷり沈黙した後、苦し紛れに言い返した。勘だけは鋭いコイツがその意味を汲まないはずもない。意外そうに目を瞬かせて言う。
「
……
もしかして、童貞?」
「
…………
」
「ここで黙られると正解ってことになっちゃうけど、
……
」
気まずそうにされるのが腹立つ。こっちだってなんとも遣り切れない気分だし、残念ながら未経験の事実は動かしようがない。こうして旅に出る前なんて今より輪をかけて剣のことしか頭になくて、この先何があってもいいようにとりあえず童貞捨てといてもいいんじゃないか、という発想すらなかった。それなのにコイツとこんなことになって、普通に脱童貞するより数段レベルが高そうな性体験を積まされ、今後男として使いもんになるのかと不安になってもおかしくないだろう。
開き直って、ホークアイを睨み据えた。奴はやたら長いまつ毛が下瞼にぱちぱちぶつかる音まで聞こえそうな瞬きを数度繰り返して、跳ね起きた。
「オレが、まるっきり初めてってこと」
答えたくない、嫌だ。嫌で仕方がなかったが、どうにか頷いた。すると、ホークアイは打たれたように息を呑んだ。眉が寄って、戸惑いとも驚きともつかない微妙な表情をする。
「
……
待って、
……
すごい嬉しいかも」
「どう見ても嬉しいって顔じゃねーぞ」
「いやほんとだって。衝撃的すぎて気ぃ抜いたら爆笑しそうだけど」
「
……
笑いやがったら斬る」
「待てって、もうおさまるから。大丈夫だから」
ホークアイは、笑い出しそうな泣き出しそうな、複雑な色をのせた目をぎゅっと閉じた。大きく息を吐いてから、コイツはいつものなんともない顔で、ベッドに座り込むオレを上から下までまじまじと見つめた。
「よし、わかった。交代しよっか」
「
…………
は?」
「だから、交代。オレがそっちやるよ」
「お前、んな簡単に言うなら、」
「最初っからやっとけって? だってあの日はすげー切羽詰まっててさぁ。それに、キミとするならいろいろしてあげたいなーって思ったんだよ」
「それはもういいのかよ」
「んー、いやもういいってことはない。でも童貞とっといてくれてるんなら今のうちもらっときたい気もする」
「お前のために取っといたわけじゃねぇよ」
「わかってるわかってる」
ホークアイはケラケラ笑って、ベッドの縁に座り直した。剥き出しの脚が床に向けて投げ出される。
「デュランがやってみたいんなら、全然代わるよ。嬉しいから今なら何でもできちゃうかも」
「お前、
……
何がそんなに嬉しいんだよ」
「初めての相手って言われりゃ嬉しいよ。どうせするなら気持ちよくなってほしいし、キミがしたいなら何でもいいし、キミとできるんならもっと何でもいいよ」
愛しちゃってるからね。
嘘つけ、お前のはヤりたいだけだ。ちんこを使おうがケツを使おうが気持ちよきゃいいってだけの、節操なしの言い訳だ。そう断じてやりたいけど声が出せない。心臓がばくばく鳴って息が苦しい、頬が熱い。その上、無防備な脚を割り開くことより、その付け根にぶら下がってるもんの方が気になって腹が疼くんだから、つまりはそういうことだ。
「
……
交代すんのは、また今度でいい」
「そう? だったらもっかいする?」
先を急ぐ旅で、加えてどうしても戦うのを避けられないんだから、どんなに欲求を抑えられない日だって一日に一回しかしない。どちらから言い出したわけでもないが、それが決まりだった。でも、今日だけ。
もう一回、したい。言ったら途端に、ホークアイがベッドを乗り移ってきて抱きつかれた。すっかり慣れた体温と、腕とか腹とかほっぺたとかの感触。こうしてくっついているだけで、溶けて混ざり合うみたいな感じがする。コイツに変えられるんなら、コイツがいいと思うように変わるんなら、それもいいかもしれない。
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